不動産を再生し、付加価値を付与 着実な積み重ねで目指すはIPO(後)
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(株)SOSOGooホールディングス
代表取締役CEO 帆足 太一 氏福岡市中央区に本社を置く(株)SOSOGooホールディングス。2011年7月、不動産仲介事業を手がけるフォーサイトプランニング(株)の設立を起点とし、SOSOGooグループの歴史が始まった。18年5月には持株会社制への移行のため同社が設立され、グループ全体の成長を見せている。これまでの軌跡や現在の姿、今後の展望について同社代表取締役CEO・帆足太一氏にうかがった。
(聞き手:(株)データ・マックス 専務取締役 緒方 克美)
付加価値を高め他社にない魅力を(つづき)
帆足 もう1つはシステムやITを駆使していることです。不動産業界は煩雑な構造をもつため、業務支援サービスがさまざまに存在します。多機能なものからシンプルなものまでありますので、それらのなかから自分たちに合ったものを精査し、利用していくことが必要不可欠です。業務を効率的にこなしていくことができなければ、せっかく獲得した案件を完了させることができません。
外部サービスだけでなく、自社開発のシステムの構築も毎月300万円程度かけて行っています。ここでつくっているのは、オーナーさんの家賃送金履歴や明細をウェブで見られるサービスです。基本的な部分を構築しながら試行錯誤し、その利便性を高めている最中になります。この業界は「工事の管理の煩雑さ」の課題を抱えています。1日に何件もクレームが来るなかで、工事の進捗管理や大家さんへの報告義務があります。これらのサービスが連動することで、お客さまにかかる負担を軽減することができると考えています。費用対効果が合っているかはまだ不明ですが、このシステムをつくらないことにはどのみち生き残れません。ほかの会社よりも効率化を追求していることは当社の強みであり、差別化を図るところになります。
システム構築はお金がかかりますし、その工程が煩雑で大変です。1つのシステムを構築するにも、具体的にどのようなことが必要なのか、それを実現するために何をしたら解決できるのかを逐一考えなければならないのですが、それが正しいのかわからないのです。先の見えないまま進まなければならない分野ですが、将来的にこのシステムを活用するにはこれを乗り越えなければなりません。ITに対して理解のある担当者がいれば問題ないのですが、中小企業では必ずしもそのようにはいきません。DXが進まなかったり、ITシステムを入れていても効果を得られなかったりする会社には旧態依然の姿勢が感じ取れます。やはり、社長自らが動かなければ進まないのではないでしょうか。福岡の不動産業界において、同程度の規模の企業で当社ほど動けているところはまだ少ないと思います。
SlackやGoogleといったサービスも利用していますが、効率化を図れている半面、基本料金が高く感じます。パート雇用なども行っていますが、マンパワーが増える分、このITコストが増加していると感じますので、少し頭が痛いところです。
当社では現在、システムエンジニアが入れ替わったとしても困らないようにすべく、誰もが取り扱い可能なマニュアル化したシステムをつくっています。以前からこれに取り組んでいますが、この1年は本腰を入れて取り組んでいます。
──不動産市況についてどのように感じていますか。
帆足 利回りは福岡市内であれば6%、とくに新築であれば6.5%。郊外では6.5%以上ある印象です。ファミリータイプなどの土地が広く、評価が高いところであれば6%以上で売れるのではないでしょうか。超都心部の新築ビルであれば4%台もあり得ます。
市況についてどのように見るかは非常に難しいところです。ピークに達している感覚はあるのですが、福岡はほかの都市とは異なる様相を見せるとみています。このピークを保って横ばいで進むか、金利の調整次第で少々落ち込むかと。ただ、福岡は海外からのお金が入ってくる状況にあるので家賃が上がれば横ばいとなる可能性があります。これらの可能性を五分五分で見ているので、当社は積極的にも消極的にもなることなく、現状の水準を保ちながら活動しているところです。
IPOを目指して
──今後の展望をお聞かせいただけますか。
帆足 今期をN-2期(上場審査申請期の2期前)として、2〜3年後の福証への上場を目指しています。以前は東証と福証の同時申請を目指していましたが、東証の市場再編でそれが難しいと判断しました。しかし、東証への上場は変わらず目指していくつもりですので、まずは目の前の目標である福証上場のため、1つひとつの壁をクリアしていきます。
IPOを通じて、資金調達と人材採用の効率性アップを図りたいと考えています。時間や労力など、IPOのためにはさまざまなコストがかかります。それらを鑑みてIPOに挑戦しないことも考えられましたが、挑戦しないままにリスクとリターンを天秤にかけるのもまた違うなと思っていて。IPO前後でどれくらい変わるのかを見てみたいのです。
ただその一方で、自分のなかで線引きも同時に行っています。「この期間でできなかったらやめよう」「ここまで自由度がなくなるのだったらやめよう」と、時間や事業の質への影響や効果を推し量り続けています。現時点ではこれらの基準に抵触していないため、上場への姿勢は変わっていません。
仕入の市場については厳しい場面となることもありますが、順調です。取引会社との縁を深めながら、よりユーザーの声に応えられるようにしたいです。また、施工を行う職人さんなど、現場の方々がいかに働きやすく働いてもらえるかを考え、それをオーナーさんに伝えながら間を取り持っていくなど、当社に関わるすべての人が健やかにいられる働きをしていきます。
(了)
【文・構成:杉町 彩紗】
<COMPANY INFORMATION>
代 表:帆足 太一
所在地:福岡市中央区渡辺通5-24-30
設 立:2018年5月
資本金:777万円(グループ合計:6,331万円)
売上高:(22/6連結)約20億円
URL:https://sosogoo.jp/
<プロフィール>
帆足 太一(ほあし・たいち)
1986年生まれ、大分県玖珠郡出身。理学療法の専門学校を中退。複数の企業で勤務後、フォーサイトプランニング(株)(現・(株)ソソグー不動産)を設立。「投資の普及」をテーマに投資用中古アパート・ビルの再生・販売を手がける。2018年5月には(株)SOSOGooホールディングスを設立、持株会社制へ移行した。関連記事
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