統一教会問題が直撃、沖縄県知事選
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現職の玉城デ二ー知事(立民・共産・れいわ・社民・沖縄社会大衆推薦)と元宜野湾市長の佐喜眞淳候補(自公推薦)と元衆院議員の下地幹雄候補の三つ巴の戦いとなった「沖縄県知事選」が11日に投開票され、玉城氏が2期目の当選を決めた。
11日付の琉球新報は「基地、経済政策に審判」という見出しで報じたが、県政ウォッチャーは「統一教会問題が直撃した選挙戦」と指摘。公明党沖縄県本部代表の金城勉県議も最終日の10日、「統一教会問題がボディブローのように効いた」と囲み取材で述べていた。佐喜眞氏が那覇市内での最後の街宣を終えたときのことだ。先の県政ウォッチャーはこう続けた。
「参院選沖縄選挙区では、自公支援の古謝元太候補が敗北したものの、元宜野湾市長の伊波洋一参院議員に約3,000票差まで迫った。佐喜眞陣営は『県知事選でも接戦となる』と勢いづいていましたが、蓋を開けてみると大差で惨敗。4年前の7万票差と同程度だった。統一教会問題の影響としか考えられない」
実際、今回の県知事選は異例のスタートとなった。告示日の那覇街宣で佐喜眞氏は統一教会問題について次のような釈明をしたのだ。
「連日、統一教会の報道がなされております。たしかに私は、旧統一教会の関係団体の行事に参加をしてまいりました。ただし、会費(の支払い)であるとか、資金の提供を受けたことは一切ございません。ただし、多くの方々に不安を与え、誤解を招くような行動をしたことについて真摯に反省をしております。この場をお借りしまして、旧統一教会関連との一切の関係を今後行わない。(関係を)断つということをお約束させていただきます」。
自民党の得意技は“争点隠し選挙”。都合の悪い争点には触れないことで重要な選挙を乗り切ってきたが、今回は違った。統一教会問題に触れないと有権者が納得しないところまで追い込まれていたといえるのだ。
佐喜真氏が3年間で8回統一教会や関連団体の行事などに参加したことは地元紙も報じており、なかでも2019年9月に台湾で行われた合同結婚式にも出席した画像はネット上で拡散していたのだ。
「『4年前の県知事選と違って、今回は公明党支持者(創価学会員)からの電話がかかってこなかった』という声も聞きましたが、学会関係者の運動量が落ちたのは明らかです。自公の“必勝パターン”である期日前投票が前回に比べて5ポイント以上も落ちたのも、このためでしょう」(県政ウォッチャー)。
4年前との違いはほかにもあった。前回は小泉進次郎・元環境大臣が3回も沖縄入りするなど大物議員が続々と佐喜眞氏の応援に駆け付け、当時の官房長官だった菅義偉・元首相が県庁前街宣で携帯電話値下げを口にするなど“全力投球”をした。
ところが今回は、告示日と最終日に小渕優子・元大臣が応援演説をしたものの、最強の“客寄せパンダ”の小泉氏の沖縄入りはなし。菅元首相の応援演説も2日に予定されていたが、台風の影響で延期され、翌週に再設定されることはなかった。
玉城氏と大差がついて猛追の兆しもないことから自民党は途中で惨敗を確信、敗北のダメージが大きくなるのを避けるべく、全力投球を止めたように見えるのだ。
玉城氏勝利を確信していたのは、日本維新の会も同じ。投開票2日前の9日午後9時、「解禁9月11日(日)の当確後解禁」と断って、次のような沖縄県知事選の結果についてのコメントを報道関係者に送ったのだ。「沖縄県知事選の結果を受けて 現職の玉城デニー候補が再選を果たされた。わが党は候補者の擁立・推薦を見送ったが、玉城氏の勝利を沖縄県の民意として尊重したい」。
一方、玉城知事陣営は最終日の10日、推薦した野党5党幹部が勢ぞろいをする街宣を県庁前で行った。野党と自公との力の入れようの違いは歴然。すでに勝敗の行方は最終盤で決していたのは確実だったのだ。沖縄県知事選惨敗が永田町に激震を与えるのは間違いない。
当確後、再選を決めた玉城知事に「統一教会問題は追い風になったと思うか」と聞くと、「そう思う」と答えた。統一教会問題が今後の選挙にどこまで影響を与えるのかが注目される。
【ジャーナリスト/横田 一】
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