2024年07月16日( 火 )

変容するモバイル業界 営業力と柔軟な組織体制でさらなる成長を(後)

記事を保存する

保存した記事はマイページからいつでも閲覧いただけます。

印刷
お問い合わせ
法人情報へ

(株)ジャパンネットワークグループ
代表取締役 齊藤 拓也 氏

 福岡をはじめとした北部九州および中国地方の一部エリア、関東エリアでソフトバンク、au、ワイモバイルショップの運営のほか、モバイル周辺機器の販売をグループで手がける(株)ジャパンネットワークグループ。2021年9月に齊藤拓也氏が代表取締役社長に就任し、約1年が経過した。毎年成長を重ねる同社を継承した所感と今後の方針について齊藤氏にうかがった。

(聞き手:(株)データ・マックス 専務取締役 緒方 克美)

会社は新たな展開へ

 ──「法人営業部」についてお聞かせいただけますか。

 齊藤 「法人営業部」はもともと、私が入社する前から存在する部署ではありました。ただ、所属している人数が少なく、組織化されていない状態で、対法人の案件に対して1つひとつ個別に対応していました。このような状態が何年も続いていたのですが、時代の変化や市場の動きを見ていくなかで、本格的なBtoB事業への参画が当社には必要だと考え、2年前から本格的に組織づくりがスタートしました。

 この事業部では携帯電話の販売はもちろん、コロナ対策グッズの販売も行っています。実は(株)ジャパンソリューションサービス(同社の子会社)ではモバイル関連製品以外も取り扱うほか、Apple製品をはじめとしたPC関連商品などもあります。取り扱う商材の種類が多過ぎて、法人営業部の社員でさえもすべての把握が難しいほどです。幅広い展開を行っていることから、千差万別の案件に柔軟に対応していくことができています。

(株)ジャパンソリューションサービスでは
モバイル関連事業のほか、
コロナ関連グッズの取り扱いも手掛ける

    現在はこれに止まらず、DX推進の免許の取得を考えています。この免許を保有する事業者はクライアントに対し、DXのための方策を提案することができます。今は主業である「携帯電話」が入り口となってさまざまな営業活動を展開していますが、これからはそれが「DX」となってもいいのではないかと。これまで以上にお客さまの需要に対応できる商品を準備していきたいと考えています。

 当社では、提案力にはかなり自信をもっています。実は、これまで懇意にさせていただいている企業さんや新しくクライアントになってくださった企業さんから良い評判をいただいています。徐々に成果が上がっていっている段階で、今後に期待ができる部署です。人もお金もかけて大きくしていきたいと考えています。

 ──成長の要となっている営業力が特徴的ですが、育成研修を積極的にされているのでしょうか。

 齊藤 法人営業部にいるほとんどが基幹事業の携帯電話販売の代理店から引き抜かれた社員になります。店舗の方では座学・実技の研修を多く行っており、相応の経験も積み重ねています。もちろん、同じ営業活動といえど、個人に対するものと法人に対するものでは要領が異なります。ですから、SPIをはじめとした適性検査を通して各個人の能力を精査するほか、クライアントとの相性や継続力・忍耐力なども同時並行で選抜しています。まさに「精鋭」といえる7人が現在所属しています。

先を見越した変容を

 ──IT、IoTの世界は日夜、研究開発が行われており、ビジネスのなかでもとりわけ変化のめまぐるしい世界になります。

 齊藤 モバイル業界もかなり動きが早く、3年前と今とではまったく異なる様相を見せています。1つの未来の姿として、10年後の携帯電話が「医療」になっているということも考えられるのではないでしょうか。脳に直接埋め込み、電話やインターネットを脳内で済ます。そのような未来も「ない」とは言い切れないくらいのスピード感で時代が進んでいるのです。私たちはこのような時代の変化を見越し、別の動きを常に用意していかなければなりません。

(株)ジャパンネットワークグループ
代表取締役 齊藤 拓也 氏

    実際に、携帯電話本体はもう売れなくなってきているのです。3年前に比べたら3割程度減少しています。その代わりとして今売れているのがSIMカード。もしSIMカードしか売れないという時代が到来するのであれば、我々が次にとるべき動きは「デバイス屋になること」。たとえば、エアコンや電子レンジなどにSIMが入る時代が来れば、帰宅前にエアコンをつけることができます。このような生活スタイルが普及していくのであれば、エアコンやモニターなど、SIMカードが入るものすべてを商材とする企業になっていなければならないと考えます。こうなると、携帯電話やSIMカードよりも大きく複雑なものを取り扱うことになりますので、今以上に強い資金力がなければならないと感じます。この時代と需要の変化に耐えうる組織をつくり上げることが喫緊の課題です。

 私が一番危機を感じたのは2年前、iPhoneのブームが弱まった時です。以来、常にさまざまな業界に目を向けながら思案しています。携帯電話が売れない時代なら、その次の手を考えなければなりません。

 ──今後の展望をお聞かせください。

 齊藤 現在のグループ全体の売上高は約120億円です。これまで「親子2代で1兆円の企業になろう」と先代と話していました。この大きな目標達成を私自身、本気で目指しているのですが、それまでには必ず過程を経なければなりません。第一目標となるのが、現在の売上高の2.5倍となる「300億円」です。3~5年でこの数字を達成したいと思っていて、社員たちにもこの指針を共有しています。これを達成することができたら次に目指すのは1,000億円。この命が尽きるまでには売上高5,000億円には必ず到達させる所存です。大きな目標に向かい、歩き出したところです。

 現在、多岐に渡る商材を扱っていて、「携帯電話に限らず、300億円を目指そう」と社員たちに話しています。もちろん、中心になるのはモバイル・通信関係だとは思いますが、それ以外の分野も伸ばしながら、第一目標の達成を目指します。

(了)

【文・構成:杉町 彩紗】


<COMPANY INFORMATION>
代 表:齊藤 拓也
所在地:福岡市中央区赤坂1-10-9
設 立:1996年1月
資本金:1,000万円
売上高:約120億円(グループ合計)
URL:https://www.japannetworkgroup.com/


<プロフィール>
齊藤 拓也
(さいとう・たくや)
1989年1月、福岡県飯塚市出身。近畿大学経済学部卒業後、2011年4月に新卒で(株)ジャパンネットワークグループに入社。16年12月からは子会社の2社で代表取締役社長を務め、21年9月よりグループ全体の代表となる。

(前)

関連キーワード

関連記事