【コロナ禍で鍛錬、再武装(1)】コメコメバーガーのヒットストーリー
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(株)益正グループ
代表取締役 草野 益次 氏1993年の創業以来、福岡県内で複数の飲食店を展開する(株)益正グループ。新型コロナウイルス感染症が社会生活にいまなお影響を与えるなか、2022年3月にコメコメバーガー福岡長尾店をオープンさせた。「飲食業界を、もっと面白く」というポリシーのもと、人々を驚かせる商品企画や店舗コンセプトで新たな食のカタチを提案し、挑戦を続けている。常に逆境に立ち向かい、未来を切り拓く草野益次社長に、コメコメバーガーのヒットストーリーと今後の経営戦略について聞いた。
(聞き手:(株)データ・マックス 代表取締役 児玉 直)
──コロナ禍の経営について。
草野益次氏(以下、草野) やはりコロナ禍の経営は厳しかったですね、飲食業界はどこもだいたい同じだと思います。営業自粛、材料の値上げ、人材不足、と三重苦です。忘年会、新年会、歓送迎会などがなくなり、団体客はゼロになりました。支援金があっても、都市部の大型店舗には焼け石に水です。一方でテイクアウトの需要は急上昇し、急速な方向転換が必要でした。当社では、コロナ以前から社会の変化にいち早く順応するために18年に佐賀県に工場を設立していました。店舗経営だけではなくフランチャイズ事業やコンサルティング事業、外販や通販の強化も進めていたので、こちらを利用していこうと考えたのです。
──コメコメバーガーの誕生ストーリーを教えてください。
草野 コロナ以降、テイクアウトをどの店舗も取り入れましたが、現実はファーストフードが1人勝ち状態です。これは、多くの経営者が口をそろえていっていることです。そんななかで、私が目をつけたのは「米」でした。米は今のところ価格高騰の影響を受けていません。日本人に最も馴染みのある食材でもあり、ファーストフード業界でもとても人気です。さらに、国内に専門店はまだありません。これだ!とすぐに動いたのですが、大きな問題に直面しました。ライスバンズ製造機の確保です。スチールショックで半導体の価格が高騰して資材が揃わないので難しい、といわれました。交渉を繰り返しながら何とか完成したのが、オープンの一ケ月前でした。
2022年3月に福岡長尾店が開店しました。バンズは九州産「ひのひかり」を100%使用しています。地元の飲食業界の経営者と力を合わせてコロナ禍を駆け抜けたい、という想いでその他の食材も基本的には九州のものを使用しています。その後フランチャイズで3店舗が出店し、テレビ、ラジオ、新聞、雑誌、などさまざまなメディアで取り上げられました。東京の日本橋兜町店がTBSテレビの「王様のブランチ」やフジテレビの「めざましテレビ」で紹介された後は、HPアクセス数も通常時の約40倍になりましたね。現在、加盟希望の商談が追いついていない状況です。
──アフターコロナの見通しは。
草野 飲食業界の経営の舵取りは一層、難しくなるでしょう。今後の見通しは経営者によって分かれています。もちろん、一言で飲食業界といえども業態やサービスも様々です。事業縮小を余儀なくされるところもあるでしょうし、微修正をしながらコロナ前のように継続していく場合もあるでしょう。それぞれの選択、経営判断が今後を左右します。今後もテイクアウトの需要は続きますし、先行きは不透明です。当社も通販業や外販の強化を図りながら、柔軟に展開していきたいと考えています。
──その原動力、バネは何でしょうか。
草野 あきらめない心、でしょうか。1993年11月に26歳で創業してもうすぐ30年になります。あっという間だった気がしますが、まだまだ挑戦は続いていきます。経営は鍛錬の連続ですね。自分の心身を鍛え、面白いこと、新しいことへの探究心をもつことが大事です。支えてくれた家族や、コロナ禍の厳しいなかでも付いてきてくれた社員、お客さまのためにも常に前を向いていかなければと思っています。
──30年を振り返り、転機だったと思う出来事は?
草野 1つ目は、2008年の北京進出ですね。日系企業が多い北京市三元橋のオフィス街に和食がメインの店舗を構えました。現地の法人とともに合同会社を立ち上げスタートしたのですが、日本とは違う経営の難しさがあり、さまざまなことを学びましたね。
2つ目は、17年の工場設立です。個食が進む時代に対応した、ミールキット商品の開発を進めるため、佐賀県みやき町に益正グループオリジナルの製造ラインとして立ち上げました。グループ店だけでなく、外販、通販、FC加盟店への供給も行っています。食品ロスの解消、コスト高や人手不足に苦しむ店舗の支援にもつながっていくと考えたからです。
──今後の経営戦略について。
草野 仲間づくり、だと思っています。良い刺激を受けて学び続けるためには、飲食業界だけではなくさまざまな業種の方と交流することが大切です。商品力やサービスの質はもちろんですが、企業理念など「志」に共感してくれる人もいますので、そういった仲間を集いたいです。地元の同業者と競争するのではなく、業種を問わず同じ志のもとにチームを組んで困難を乗り越えていきたいです。
時代と人はどんどん変わります。現在、グループの業態としてはいいかたちにできたと思いますが、これから人不足は一層進みますし、人材育成の方法や環境整備への投資なども時代に合わせていかなければなりません。外国人労働者の増加への受け入れ体制も必須で、柔対な対応が求められています。状況を見極める冷静な目はもちろん、アイデアや直感も必要となるでしょう。益正グループは、これからも挑戦を続けていきます。
【文・構成:清家 麻衣子】
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<プロフィール>
草野 益次(くさの ますじ)
福岡県出身。東京に本社がある全国展開の居酒屋チェーンに入社。洗い場からスタートするも、めきめきと頭角をあらわして店長に抜擢され、全国トップ成績を取るまでになる。1993年11月に博多駅前に九州の素材にこだわった居酒屋レストランをオープンして行列のできる店として話題を集める。常に新しい価値の創造に挑戦し続け、現在は9店舗を経営しながら、FC事業やコンサルティング事業も手がけている。法人名
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