2024年11月24日( 日 )

河野太郎大臣の記者排除予告~カルト規制新規立法は実現するか

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河野太郎デジタル相
河野太郎デジタル相

    「突破力」「発信力」に秀でていると報じられ、世論調査でも「次の首相1位」(9月18日の毎日新聞)に躍り出た河野太郎デジタル相(消費者庁担当も兼任)だが、旧統一教会問題では「客寄せパンダ大臣」「パフォーマンス見守り大臣」と呼びたくなるほどの待ちの姿勢を続けている。紀藤正樹弁護士らがメンバーの「霊感商法等悪質商法への被害対策検討会」を立ち上げ、初回会合から新規立法を求める声が出たのに「臨時国会での法案成立に全力を尽くす」といった意気込みをいまだに語ることはないのだ。

 10月11日の記事「自民党は旧統一教会とのズブズブの関係を断てるのか」で紹介した通り、新規立法(消費者契約法改正など)の日程について河野大臣会見で何度聞いても、「検討会の議論を見守りたい」という回答を繰り返すだけ。11日の会見でも同じ答えが返ってきたので、痺れを切らして「政権担当能力を疑われる」「本気度不足ではないか」と再質問をすると、河野大臣は「記者会見ですから個人の誹謗中傷をするなら次回からご遠慮ください」と記者排除を予告したのだ。

河野大臣会見(10月11日)

 ──(横田)消費者契約法改正の時期だが、岸田総理から「加速」の指示があったときに日程感、スケジュールについてはとくに言及はなかったのか。「臨時国会中に何としても成立させる」というような決意表明などは岸田総理からはなかったのか。

 河野大臣 検討会の議論を注視してほしいと思う。

 ──「(臨時国会で成立しないと)銃撃事件から半年も経って法改正がなされない」という事態だと、政権担当能力を疑われるのではないかと。「統一教会とのズブズブの関係を断ち切ろうとする本気度不足ではないか」といわれると思うが、それでもいいのか。

 河野大臣 記者会見ですから個人の誹謗中傷をするなら次回からご遠慮ください。

 ──誹謗中傷ではなくて、(新規立法実現は)元信者の方とか、検討会でも臨時国会に提出すべきだという声が出ているのを受けて聞いているが、それでも「(検討会の議論を)見守る」としかいえないのか。

 河野大臣 検討会が議論をしているのはご存じの通りです。

 ──もうすぐ結論が出るわけだから、スケジュール感、臨時国会で成立させるのかどうかの考えについては。

 河野大臣 無言(司会者が「ここで終わらせて欲しいと思う」と言って会見を打ち切った)。

 見かけ倒しとはこのことだ。先の記事で書いたように私は、「突破力が“売り”の河野大臣ならば、紀藤弁護士提案の『旧統一教会問題(カルト規制)特命大臣』に名乗り出て新規立法の牽引車役をするのではないか」という見立てを基に質問をしてきたが、その予測はことごとく外れたのだ。

有田芳生・前参院議員(銃撃事件後の立民ヒアリング)
有田芳生・前参院議員
(銃撃事件後の立民ヒアリング)

    呆れたのは私だけではない。統一教会問題に長年取り組んできた有田芳生・前参院議員も、ツイッタ―で厳しく批判していた。「(9月13日のニュース23に出演した)河野太郎大臣は、『信仰二世』の苦悩にについてまったく理解できず、何も答えませんでした。予想通りですがひどいものです。番組もどうして真剣に質問しないんでしょうか」

 この日のニュース23には信仰二世の女性が登場。「恋愛は地獄に落ちると言われた」と振り返ったうえで、「具体的な法整備をして規制してくれないと、これからも被害者が増え続けてしまう」「国としてちゃんと、しっかりとした法律や規制はつくってほしい」と訴えていた。この発言を受けて元朝日新聞記者の星浩氏が「新規立法の可能性についてはあるのか」と質問したが、河野大臣は「いま検討会できちんと議論をしてもらっているので、その結果で必要な対応を取ることを考えることになる」としか答えなかったのだ。

 岸田政権(首相)の魂胆が透けてみえる。「臨時国会での新規立法を実現する」という具体的発言(決意表明)をしなくても、河野大臣がメデイアに頻繁に登場していれば、「やっている感」演出はできると高を括っているのではないか。“検討使”総理と“見守り”大臣のコンビで、来週月曜日(17日)からの予算委員会を乗り切ることができるのか。与野党激突の臨時国会での論戦が注目される。岸田政権(首相)の魂胆が透けてみえる。「臨時国会での新規立法を実現する」という具体的発言(決意表明)をしなくても、河野大臣がメデイアに頻繁に登場していれば、「やっている感」演出はできると高を括っているのではないか。“検討使”総理と“見守り”大臣のコンビで、来週月曜日(17日)からの予算委員会を乗り切ることができるのか。与野党激突の臨時国会での論戦が注目される。

【ジャーナリスト 横田 一】

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