米国債全額売却しない岸田内閣
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NetIB-Newsでは、政治経済学者の植草一秀氏のブログ記事を抜粋して紹介する。今回は、「日本政府は保有米国国債の全額売却を決断し、実行するべきだ」と訴えた10月16日付の記事を紹介する。
日本円の暴落に歯止めがかからない。
日本円の暴落とは日本円が価値を失っているということ。
通貨価値の喪失だ。
日本国民は生活のために円を使用している。
賃金を円で受け取り、保有する資産も大半の国民は日本円で保有している。
このとき、日本円が暴落すればどうなるか。
日本国民は甚大な損失を蒙る。
日本銀行法は物価安定を日銀の責務としているが物価安定とは通貨価値の維持を意味する。
通貨価値が暴落していることは他通貨の暴騰=インフレであり、日本国民が購入する国際物資のインフレを意味する。
この事態を日本銀行が放置することは許されない。
日本円の実質実効為替レートは52年前の1ドル=360円時代よりも円安に振れている。
見かけ上は1990年以来の円安とされているが、海外諸国よりも日本の物価上昇が小幅であったため、日本円の購買力はかつての1ドル360円時代よりも低くなっている。
9月に政府はドル売り介入を実施したが、円安是正=円高誘導の金融政策と併せて実施しなければ効果は長続きしない。
9月23日付ブログ記事
「暖房全開で冷気注入のドル売り介入」
https://bit.ly/3eFp53zに記述した通り、円安是正効果は短期間で消滅した。
日本の食料自給率はカロリーベースで38%。
国民が生きてゆくために必要な食料エネルギーの62%を海外に依存している。
石油、石炭、天然ガス等のエネルギー資源もほとんどを海外に依存している。
日本円の暴落はこうした生活必需品の購入コストを一気に引き上げている。
輸入金額の激増から日本の経常収支黒字がほぼ消滅する事態が発生している。
日本円の暴落を海外から見ると、日本のすべての価格が暴落していることを意味する。
米国人は日本に来れば、マクドナルドのビッグマックを米国での購入代金の半額以下で購入できる。
半額以下に値下がりしているのはビッグマックだけでない。
日本のさまざまな資産価格がすべて暴落価格になっている。
不動産、ゴルフ場、水資源、企業などのすべてが暴落価格=大バーゲンセール状態に置かれている。
1980年代後半に米国で生じたジャパンマネーによる米国買い占めと真逆の現象が日本で進行中だ。
80年代後半は日本円が急騰し、ジャパンマネーが米国を席巻した。
米国有数のホテル、ランドマークタワー、ゴルフ場、映画会社、優良企業がジャパンマネーに乗っ取られた。
1988年の大統領選に出馬したブッシュ(父)は
「ストロングアメリカ=ストロングダラー」のスローガンを掲げた。
日本の力が突出した主因が円高進行にあることを見抜いたのである。
同時に日本の金融力の沸騰は「円高=金利低下=資産価格上昇」のメカニズムにあることも洞察した。
日本弱体化を実現するには、これの逆スパイラルを誘導すればよい。
「円安=金利上昇=資産価格下落」を誘導して日本弱体化を図ることが画策された。
1988年の大統領選でブッシュが勝利した。
その瞬間から円安が始動して1990年4月にかけて日本円は大幅下落した。
これに連動して日本のバブル崩壊が始動したのである。
※続きは10月16日のメルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」「米国債全額売却しない岸田内閣」で。
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