2024年12月22日( 日 )

【福岡市長選】王者への挑戦(7)過去データに基づく予測

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 11月20日投開票の福岡市長選に立候補者3人が出馬表明をしたところで、過去の市長選データを読み解き、このたびの市長選の行方を予測してみる。

過去3回の投票数・率

 福岡市選挙管理委員会が公表している直近3回の市長選のデータから当選者と次点者の得票動向を見てみる。

●第18回(2010年11月14日(日))
・当選者 高島宗一郎 得票数:20万9,532票 得票率:43.07% (史上最年少36歳)
・次点者 吉田 宏  得票数:14万4.828票 得票率:29.77%
・当日有権者数 :112万7,359人
・当日投票者数 :49万2,277人
・当日投票率  :43.67%

●第19回(14年11月16日(日))
・当選者 高島宗一郎 得票数:25万6,064票 得票率:56.83% (史上最多得票数)
・次点者 吉田 宏  得票数:11万6.630票 得票率:25.89%
・当日有権者数:117万8,607人
・当日投票者数:45万6,508人
・当日投票率 :38.73%

●第20回(18年11月18日(日))
・当選者 高島宗一郎 得票数:28万5,435票 得票率:75.14% (史上最多得票数)
・次点者 かみや貴行 得票数:9万4,437票 得票率:24.86%
・当日有権者数:124万2,438人
・当日投票者数:39万0,370人
・当日投票率 :31.42%

直近3回の平均値からの予測

 次回21回目の市長選を予測する方法として、まず、予測投票率と高島氏の予測得票率を、直近3回を平均してそれぞれ投票率(37.94%)、高島氏得票率(58.35%)と設定し、当日有権者数は今年6月12日の「選挙人名簿登録者数」(福岡市選挙管理委員会)から129万5,448人とすると、以下のように試算される。

●第21回(試算)
 高島宗一郎 得票数:28万6,786票 得票率:58.35%
 当日有権者数 :129万5,448人
 当日投票者数:49万1,493人(全数を有効投票数と見なす)
 当日投票率 :37.94%

田中慎介候補が必要な得票数

 上記で試算した高島市長の得票予測を基に、挑戦者の田中氏が勝利するために獲得しなければならない目標数を検討してみる。

 検討の材料として、挑戦者が現職を破った過去例(高島氏以外)として、1998年11月15日の第15回執行の福岡市長選挙で現職の桑原敬一市長と挑戦者の山崎広太郎候補が戦った選挙を参考にみてみる。当時の政治体制や細かな事情などに多少の違いはあるだろうが、当日の有権者総数が98万2,881人 投票率43.49%であった背景の投開票結果は、
・現職  桑原敬一  得票数:16万7,679票 投票率:39.62%
・挑戦者 山崎広太郎 得票数:18万8,539票 投票率:44.55%
となり、山崎氏が当選した。

 この市長選で敗れる前の桑原氏の過去の選挙戦をたどってみる。桑原氏初当選時、当時現職の進藤一馬市長を破った1986年選挙では、本人得票率:73.25% 得票数:23万4,328票。次の1990年、現職初の選挙では本人得票率:77.01% 得票数:22万3,069票、最後の当選となった1994年は、本人得票率:73.86% 得票数:21万1,186票となっている。
 高島市長も第20回では得票率75.14% 得票数28万5,435票と史上最多得票数となった。

投票 イメージ    さて、前回の第20回の選挙結果と、次回の第21回の予測を比較してみる。前回の高島氏の得票数:28万5,435票 得票率:75.14%に対して、次回の予測は28万6,786票 得票率:58.35%と出ている。得票数はほぼ近い数字であるが、得票率が違う。これは当日投票率が大きく異なるためである。これは前回高島氏へ投票した人と同数が、次回も高島氏に投票した場合の予測と見える。その場合、得票率:58.35%とあるように、これでは挑戦者に勝ち目はない。

 しかし今回の選挙では、現時点でもうひとり、会社員の熊丸英治氏が立候補している。選挙戦が三つ巴となったことにより、前回の高島氏圧勝とは異なる可能性があるとすれば、それはどのような結果だろうか。(以下では簡便に、各数字を万単位に置き換えて試算する。)

 投票者数を50万票とした場合、高島氏以外の候補者が勝つためには、少なくとも、高島氏の予想得票数(29万票)から8万票が切り崩されなくてはならない。たとえば、熊丸氏がまるまる8万票を高島氏から切り崩した場合に、高島氏と田中氏は21万票同士で拮抗する。しかし、これがいかに難しいかはお分かりだろう。

 高島氏の過去の善戦から言って、田中氏が勝利するには、上記から20万票を大幅に超す得票数を獲得する勢いが求められ、かなり厳しい選挙戦となることは確実だ。

 そして田中候補が、この厳しい必達目標を達成するために全面的な応援をする各支援団体の力量も、この市長選で間違いなく試されることになるだろう。

【岡本 弘一】

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