2024年11月22日( 金 )

【旧統一教会問題】“検討使”総理と“見守り”大臣の汚名返上なるか

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岸田首相
岸田首相

    「河野太郎大臣の記者排除予告~カルト規制新規立法は実現するか」と銘打った10月14日の本サイト記事が出た4日後の18日、旧統一教会問題に対する政府方針の変更が明らかになった。岸田首相が衆院予算委員会で、高額献金の被害者救済に向けた消費者契約法改正案の提出を目指す考えを述べたのだ。今国会召集時には提出予定法案に入っていなったかったため、野党の追及が明確な成果として現れたかたちだ。

 先の本サイト記事では、10月11日の河野太郎大臣会見を紹介。「検討会の議論を見守る」という紋切型回答に痺れを切らした私が「(臨時国会で成立しないと)銃撃事件から半年も経って法改正がなされない事態になる」「政権担当能力を疑われるのではないか。統一教会とのズブズブの関係を断ち切ろうとする本気度不足ではないか」と迫ると、河野大臣が「個人の誹謗中傷をするなら次回からご遠慮ください」と記者排除予告をしたのだ。この質疑応答を紹介したうえで、こう締め括った。

「“検討使”総理と“見守り”大臣のコンビで、来週月曜日(17日)からの予算委員会を乗り切ることができるのか。与野党激突の臨時国会での論戦が注目される」

 すると、予算委二日目の18日に岸田首相は臨時国会での法案提出を初めて口にした。通常国会では遅すぎると判断、前倒しで批判を和らげようと考えたのは明らかなのだ。

 これに呼応するように、新規立法を加速させる動きも始まった。自民と公明と立民と維新の与野党四党は10月21日、被害者救済法案を検討する協議会の初会合を開き、臨時国会での成立を目指すことを確認した。「法案提出」からさらに「成立」へとさらに踏み込んだのだ。

 しかし「“見守り”大臣」という異名をつけた河野大臣の姿勢に変わりはなかった。10月25日の会見で同主旨の質問をしたのだが、「臨時国会での法案成立に全力を尽くす」といった決意表明を聞くことはできなかったのだ。

河野デジタル大臣
河野デジタル大臣

    ──旧統一教会問題について、消費者契約法の改正や被害者救済の新規立法について今国会で提出・成立させるべきという考えでしょうか。日程感に対する考えを聞きたいのですが……。

 河野大臣 準備ができたものからこの国会に提出しようと思っています。

 ──与野党四党で「(新規立法について)今国会で提出・成立を目指す」という合意がされていますが、これと同じ考えではないのでしょうか。

 河野大臣 国会のことは国会にお聞きください。

 ──今国会で成立しないと(安倍元首相銃撃事件から)半年以上、法案が成立しないことになるが、それでもいいという考えなのでしょうか。

 河野大臣 国会のことは国会にお聞きください。

 ──大臣の考えを聞いているのですが……。

 河野大臣 無言(司会者が打ち切り)

 河野大臣に同じ質問を繰り返しているのは、「突破力」「発信力」に秀でていると報じられることが少なくないため、「新規立法の牽引車役を買って出ても不思議ではない」と考えたのだ。しかし私の予測は的中しないまま、今に至っている。

柚木議員
柚木議員

    対照的に歯切れが良いのが野党国会議員だ。復活した国対ヒアリング(旧・野党合同ヒアリング)にほぼ毎回出席している立民の柚木道義衆院議員は10月21日、次のように明確な期限を切っていた。ヒアリング終了後、被害者救済対策の日程について聞くと、こう答えたのだ。

「旧統一教会の被害者救済のために、まず悪質献金救済法案を今国会で成立させることが1つ。もう1つが解散命令請求。岸田首相が初めての質問権行使を表明しましたが、解散命令請求までやらなかったら、国民は岸田政権を許しません。30年間放置してきたのだから年内がリミットです。岸田政権の本気度を示す試金石になると思います。本気で被害者救済をやる気があるのかどうか。もう『ミスター検討』というのは返上していただかないと」

 岸田首相が「ミスター検討(“検討使”総理)」の汚名を返上できるのか否かは、今国会での被害者救済法案(新規立法)成立と解散命令請求にかかっているのだ。臨時国会の論戦から目が離せない。

【ジャーナリスト 横田 一】

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