呆れた福岡市議、統一教会との関係を示す“なりすましビラ”配布
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「偉大なる韓鶴子(ハン・ハクチャ)様に祝辞を述べさせて頂きました」。
オレンジ色の特徴的な字体に、元衆議院議員の名前と旧統一教会との関係に言及したビラが8月、福岡市博多区内において配布された。しかし、そのビラを配布したのは、元衆議院議員とはまったくの別人であった。安倍元総理銃撃事件で、統一教会と政治との関係が明るみになり、統一教会と政治家の関係が連日報じられている。そのようななか、現職の福岡市議会議員が、ライバルの元衆議院議員の名前を騙って、旧統一教会(世界平和統一家庭連合)と関係があるかのように記したビラを配布していたことが判明し、たちまち全国ニュースとして報じられた。
ビラを作成・配布したのは、堀本和歌子前福岡市議(博多区選出、本日辞職)。26日まで日本維新の会に所属し、市議会では福岡令和会の総務会長を務めていた。なりすましビラをまかれた元衆議院議員は、現在参政党福岡支部長・新開裕司氏。代議士時代は自民党に所属していた。ビラが配布されたのは8月8日未明から早朝にかけてで、博多区内の自治会長宅など特定の民家や集合住宅に配布されている。
新開氏は、ビラを配布した事実はなく、配布先の防犯カメラの映像などを確認したところ、堀本市議が所有する車が確認され、9月、福岡県警博多警察署に告発した。堀本氏は運転手役を務めた男性とともに、私文書偽造容疑で任意の事情聴取を受けている。
ところで、ビラの字体のオレンジ色は何を意味するのか。参政党は、オレンジ色(党内では、橙色と呼んでいる)がイメージカラーで、のぼりや党員の着用するTシャツなどにも使用されている。明らかに、新開氏と所属する参政党のイメージダウンを狙った謀略ビラといってよい。
現在、旧統一教会は、2012年に死去した教祖、文鮮明(ムン・ソンミョン)氏の妻で、総裁を務める韓鶴子(ハン・ハクチャ)氏が、事実上の最高指導者として君臨している。
今年7月の参院選前後に、新開氏が19年に訪韓した際に統一教会の記念行事で祝辞を述べるとともに韓総裁と面会した映像がネット上で話題となった。新開氏は「日韓友好議員連盟の関係で自民党関係者の薦めもあり参加したが、現在は統一教会との関係は一切ない」という。
堀本氏は、本日午後3時過ぎから始まった記者会見において、統一教会に対する献金問題や2世の苦しみなどに対する正義感から、その広告塔になった政治家の無責任な発言を批判するために行ったと主張。
2019年の市議選において、堀本氏は新開氏を124票と僅差で上回り当選した。市議選におけるライバル関係を意識したものではないと繰り返す堀本氏だが、本当に来年の統一地方選挙を睨んだ動きではなかったのか。なお、車を運転していた男性も、来年の統一地方選に立候補を予定している。
堀本氏は会見で、「当該男性(新開氏)を貶めるために行ったものではない」「真実を知ってほしかった」と涙声で釈明した。一方で「なりすましでやったつもりはない」と自己弁護に努める一幕もあった。160万人福岡市の市議会議員の行動として、市民の信頼を失わせるものでしかない。
【近藤 将勝】
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