漫画のキャラクターが『おもてなし』!(1)
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台湾角川国際動漫股份有限公司 教務総監・漫画家 すねやかずみ氏
漫画・アニメは日本を代表する文化、いわゆるクールジャパンの象徴と言われている。
しかし、日本以外の海外諸国では、漫画・アニメを商品として消費する年代層にはかなり制限がある。クールジャパン戦略の漫画・アニメの現場では実際にどのようなことが行われているのか。
台湾で漫画・アニメの文化交流に尽力される漫画家、すねやかずみ氏を「角川国際動漫教育」の台北にある校舎に訪ねた。すねやかずみ氏は昨年9月にKADOKAWA Contents Academy(株)から同校に出向、教務総監を務めている。日本の漫画・アニメは欧米と並んで、台湾、韓国、中国などアジア諸国でも人気が高い。台湾でも日本語の学習動機、日本留学動機の上位を占める。国内では、数多くの漫画・アニメに関するイベントも開催されている。第一印象は、とても親日的な国である
――台北に着任されて、どのくらい経ちましたか。台湾の印象はいかがですか。
すねやかずみ氏(以下、すねや) 私は海外で日本のマンガ制作技術を教えるという角川のプロジェクトを知り、とても興味を持ちKADOKAWA Contents Academyに入社し、その第1号である台湾校の教務総監として着任しました。開講は2014年9月27日で私はその2日前に台北にきました。
海外はいろいろな国に行った経験はありましたが、台湾は初めてです。第一印象はとても親日的な国であると感じています。まだ約8カ月ですが、日常生活で大きな不便も、ストレスも感じていません。あくまでも印象ですが、台湾人の日本語認識率は日本人の英語の認識率より高いのではないかと感じています。
同じ漫画・アニメをリアルタイムで見る
――順調なスタートが切れてよかったですね。日本の漫画・アニメは、台湾でもとても人気があると聞いています。日本の漫画・アニメに関する台湾の印象はどうですか。
すねや 台湾の若者は、日本の漫画・アニメをほぼリアルタイムで見ています。そのせいか、若者の感性は日本も台湾もほとんど一緒です。
9月に学校が開校して、こちらの学生の絵を見たとき、台湾の学生の絵が余りにも日本の学生と差がないことに衝撃を受けました。これは実力の話ではなく、描く絵の絵柄に差がないということです。すでにある程度絵が描けるレベルの高い学生が描く絵の絵柄も、まだ絵を描き始めたばかりの学生の絵柄も、両方とも日本と台湾それぞれの段階の学生の絵柄自体がほぼ同じだったのです。学生が描く絵柄は、自分が普段見ている漫画やアニメの影響を受けるものです。学生たちに確認すると、日本の学生と同じ漫画を読んで同じアニメを見ていることがわかりました。そこで改めて「そうか、日本と台湾では、ほぼリアルタイムで同じコンテンツに触れて育ってきているので感性もほぼ同じなのか!」と気づいたわけです。
漫画は子供のものという意識が一般的です
――欧米でよく話題となる、性描写、暴力描写等の規制に関してはいかがですか。
すねや 規制に関しては、欧米と同じぐらいのレベルで厳しいと感じています。コンビニなどで成人向け雑誌を見かけることはありません。漫画表現としても、過激なものもあまり見かけないです。聞いた話では、日本アニメでキャラクターが煙草を吸うシーンでは、タバコにモザイクがかかっていたこともあるようです。
この点については、諸外国が厳しいというよりは、日本の規制が緩いというか、許容範囲が広いのではないかと思います。ただ、現在世界中に認められるような作品群が日本で作り出されたのは、この「規制の緩さ」のおかげであるとも言えるのです。
恐らく日本人は世界で唯一、大人も漫画を読む国民ではないかと思います。そのために、「少年誌」や「少女誌」においても、多様な年齢層や感性に合わせた作品が作られており、規制のラインが引きづらいのだと思います。それに比較すると、諸外国同様、台湾でも漫画は子どものものという意識が一般的です。大人向け(大人が読み物として面白いという内容)のマンガの需要はほとんどありません。ですから漫画も成人以下の対象作品が基本となり、いわゆる一般的な成人規制(R-18)がそのまま漫画の規制にもなっているのが現状なのだと思います。
日本の場合、現在は規制されている部分も多いですが、漫画の創世記から繁栄期にかけて性的表現(お色気シーン)や暴力表現(バトルシーン)や宗教的な表現に関しても作品の面白さを優先するような気運が優勢で、規制は緩く自由に描けました。そのことが、いわゆる「日本の漫画文化」を発展させた1つの大きな要因と思っています。
(つづく)
【金木 亮憲】<プロフィール>
すねやかずみ氏(本名:強矢和実)
台湾角川国際動漫股份有限公司 教務総監・漫画家。『週刊少年チャンピオン』(秋田書店)で新人賞を獲りデビュー。『マガジンSPECIAL』(講談社)などにギャグ/ホラー/コメディーなどのジャンルで連載。漫画家ユニットとして集英社『週刊少年ジャンプ』公式WEBサイトでデジタルマンガを連載。携帯コンテンツ初の占いマンガ制作DoCoMo・ソフトバンクの公式占いサイトのプロデュースなどを行う。
2008年より(株)漫画家学会の取締役として、漫画家に対して新たなマンガ事業の開拓・提案や紙芝居の事業化を行っている。京都精華大学マンガ学部ストーリーマンガコース非常勤講師、総合学園ヒューマンアカデミー東京校マンガカレッジ専任講師を経て現職。関連記事
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