顧客支援の総合的なメディアとして販売促進ツールの充実化、多様化を(後)
-
アド印刷(株)
代表取締役社長 古賀 照也 氏印刷市場は近年進行するマルチメディア化、ペーパーレス化に加え、新型コロナウイルス感染症による会議・商談のオンライン化により、縮小が加速化している。国内印刷市場はピーク時の約9兆円から約4兆円にまで縮小している。一方で情報を何らかの媒体で発信することの需要は減っていない。来年設立45周年を迎えるアド印刷(株)は顧客の販売促進を支援する総合メディア業として、安定した受注を獲得し続けている。今夏に2代目社長に就任した古賀照也代表取締役社長に業界の展望、今後の抱負などを聞いた。
(聞き手:(株)データ・マックス 代表取締役 児玉 直)
総合的な販売促進支援を
──冬になると、再びコロナ感染者が増えるとの予測があります。
古賀 たしかにそうした予測があります。ただ、印刷業界においては、今夏のコロナ第7波による人流の減少は、実はそれほど影響がありませんでした。それよりも影響が大きいのは円安と物価上昇であり、それによる買い控えの動向に対して注意しています。当社が顧客に提供するサービスは、紙であれウェブであれ、ほぼすべてが販売促進に関するものだからです。
当社も自社の強みのあるサービスを提案して新しい受注を増やせると思っています。顧客1社あたりの受注額は減るかもしれませんが、顧客数を増やすことは可能だと思っています。DMについて、今後、顧客1人ひとりに合わせた「One to Oneマーケティング」が普及していくと、DMを顧客の要望に合わせて作成する需要は引き続き存在していくでしょう。当社はそれを軸として、他社との差別化を図っています。チラシとは別にマーケティングの要素も含めて提案をしていきます。
──主な顧客企業はどのくらいの規模でしょうか。
古賀 売上高数億円から100億円ぐらいの規模の顧客が当社のメインの顧客層であり、今後もそうした企業を新規のターゲットとしていきます。DMで全国の大手印刷会社が九州で参入してくるとしても、手間を厭うでしょうし、かといって広告代理店が手がけるのも同様に手間がかかる割に利益が少なく、敬遠するでしょう。大手が積極的に参入しない事業で基盤を築いてきたのが当社の強みだと思います。
──社長就任に際しての抱負をお聞かせください。
古賀 会社として地域、世の中に必要とされる仕事を増やしていきたいです。今ある事業も含めて、ただ新たに印刷するのではなく、印刷の受注先の顧客とDMを受け取るお客のことまでを思いながら仕事ができているかと問い続けることが必要であり、社員には、日本を少しでも明るくしようという意識をもってもらい、皆でモチベーションを高めていければと思っています
田平会長は営業で奔走してきました。自分は一生懸命働き、皆に伝えていくしかないと思っています。社員が感じるアド印刷の良さは多様であり、たとえば営業のメンバーからは、会社を良くしていきたいという思いをとくに強く感じます。中堅以上は田平会長と一緒に歩み、お世話になったと意識をもっています。私と一緒に営業をしていた世代からは、しんどい時期を経験したが、会社を今後盛り上げていきたいという意欲を感じます。一方、その下の若い世代は厳しい経験をしていないため、彼らに会社の方向性をしっかり伝えていく必要性を感じています。
コロナで社員との交流がなかなかできずにいましたが、直接会って話さないといけないと思い、1年ぐらい前から、東京と大阪を含め、各現場での月1回の研修に参加し、若い社員に直接会い、思い描く会社像と取り組みについて話すようにしています。若手には現場で原価を1円でも減らすよう頑張ってもらいたいなどと話しています。
自身も本州や北海道など直接競合しない地域の印刷企業を視察させてもらい、経営者とざっくばらんに戦略やコスト削減の方法などについて意見・情報交換を行うなどして、新しいことにチャレンジするための勉強を続けていきます。
──事業面では、何に注力していきますか。
古賀 事業面では柱を3本くらいに増やしたいと思っています。印刷、DMが柱となっていて、現在はウェブの売上高が全体の約1割になりましたが、これを約2割の10億円台から約20億円に伸ばしたいと思っています。今後、主要な顧客層である通信販売事業者のためになる付帯事業を増やしていきたいと思っており、今年からピッキング事業を始めました。こうした方向性で、かつ顧客と競合にならない分野で新たな事業を検討していく予定です。ある事業において不測の事態が発生した場合でも、柱となる事業がいくつかあれば、会社は倒れずに継続させられます。
通販で学んだDMのノウハウを流通、店舗販促に生かしていこうと思っています。今後、コロナ関連の補助金もなくなり、販売促進の受注をとって自力で収益を確保していく必要があります。たとえば顧客が通販もやりたいということあれば、インフラの仕組みを全部作って用意することもできます。当社は商品を扱って発送することも、インバウンドのコールセンターを顧客先から紹介することもでき、コンサルティングのような業務ができるだけのノウハウとネットワークを築いています。印刷という企業名称に関係なく、支援ができる企業としての特徴と強みを突き詰めていきます。目指すは「販促といえばアド印刷」というポジションです。
(了)
【茅野 雅弘】
<COMPANY INFORMATION>
代 表:古賀 照也
所在地:福岡市博多区榎田1-3-23
設 立:1978年7月
資本金:4,000万円
売上高:(22/2)66億1,600万円
TEL:092-472-9871
URL:https://www.ad-printing.co.jp/
<プロフィール>
古賀 照也(こが・てるなり)
1979年生まれ、福岡県筑後市出身。久留米工業高等専門学校卒業。2008年アド印刷(株)入社、Web事業部長、取締役を経て22年8月、代表取締役社長に就任。法人名
関連記事
2024年11月29日 14:302024年11月28日 12:102024年11月20日 12:302024年12月4日 12:302024年11月27日 11:302024年11月26日 15:302024年11月18日 18:02
最近の人気記事
まちかど風景
- 優良企業を集めた求人サイト
-
Premium Search 求人を探す