自民市議が語る~提案されなかった「旧統一教会決別決議案」(前)
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11月3日付の西日本新聞1面に、「九州の地方議会 教団巡り温度差 意見書案 福岡、熊本市は否決」という見出しの記事が掲載された。しかし、この記事は重要な話について触れていない。旧統一教会などの反社会的活動を行う団体を念頭においた決議案が存在していたことである。そこで、決議案が提案に至らなかった経緯について、調崇史市議(自民党市議団)に、話を聞いた。
旧統一教会などを念頭にした決議案
──11月3日の西日本新聞に、10月10日の福岡市議会における最終本会議で、共産党市議団が提案していた意見書案が否決された経緯が載っておりました。旧統一教会と政治の関係が問題となっておりますが、まず、9月議会での経緯をおうかがいしたいと思います。
調崇史市議(以下、調) 表に出なかった話があります。共産党さんが提案したものですが、9月議会では最初、議会運営委員会(議運)の理事会に出された意見書案と決議案がありました。これを受けて会派から議運に参加しているメンバーを中心に、どうしましょうかという議論を部屋(会派のこと)のなかで、議論しました。つまり、共産党案を会派で検討して、修正を加えたうえで全会一致の可決を目指したのですが、西日本の記事には、決議案のことはほとんど触れられていませんでした。
──言及されていなかったわけですね。
調 うちからも署名のあった記者さんに対し「それはないんじゃない」という話をしたようです。旧統一教会について社会的な関心、率直にいうと自民党に対するお叱りの声が高まっていることは当然承知しております。国民の皆さまには「生ぬるい」とお叱りを受けるかと思いますが、反省すべき点について、国の動きを注視しているところです。共産党さんの立案で意見書と決議の案が出てきたのは、社会的な関心を市民の皆さんがもっていらっしゃるからだと思います。福岡市議会として第一義的に、国が「どうするこうする」という前に、我々がどういうメッセージを発するかが大事ではないかと考えました。
メディア(市政記者クラブ加盟)は議運にも取材に入っていたかと思います。共産党提案のものは、旧統一教会と政治の関係の断絶を求めるものでした。私どもが、その中身を吟味したときに、旧統一教会は霊感商法をやったり反社会的な活動をしたりしている。議員が挨拶したり会合に出席したりすることによって、教団の信用を高めることにつながってしまい、被害を拡大させた恐れがあることが問題の本質にあると、我々は認識しております。そういう認識から、「反社会的な活動をする団体等と関係をもたない」ということをしっかり謳いあげる決議を出すことが、市民に対する説明責任をはたすことではないかと考えました。会派としてその認識のもと、旧統一協会だけにとどまらず、統一教会という言葉はあえてとった(削除)うえで、反社会的な活動を行う団体と関係しないことを宣言する決議案を修正提案しました。自民党市議団として、修正案の全会一致での可決を目指して議運の理事である津田(信太郎市議)さんがしっかり汗をかいて動かれました。従って我々は、後ろ向きであったという認識は、もっておりません。
──意見書と決議の違いはどういったものでしょうか。
調 意見書は、地方議会から、地方自治法99条の規定により、国会や関係行政庁に意見を送ることができるものです。基本的に国に対して「ああしろ、こうしろ」ということが書いてあります。それを決して軽んじるわけではありませんが、大事なことは、我々市議会として、これからどうするか、ということを市民に示していく、これは1つの説明責任であり、ちゃんとやらないといかんでしょうと。そういうことで決議を示し、国に対する意見書に関しては賛同することは見送り、決議に関しては修正案を提示するという方針で、我々(自民党市議団)は固まりました。
(つづく)
【近藤 将勝】
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