韓国経済ウォッチ~韓国半導体産業、成長の限界?(前)
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日韓ビジネスコンサルタント 劉明鎬(在日経歴20年)
半導体とは、電気を通しやすい「導体」と電気を通さない「絶縁体」の中間の性質を持っている物質のことをいう。半導体はある条件の下では電子を通し、あるときには電気を通さない性質を持っている。このような性質を活用して、トランジスタなどがつくられている。半導体はパソコン、デジタルカメラ、携帯電話などのキーデバイスとして豊かな生活に大きく貢献している。半導体は“産業の米”と呼ばれるほど、電子産業をはじめ、各産業でなくてはならない中心技術である。
半導体がこのように重宝されることによって、半導体産業は、直近10年間で2倍の成長を続け、2014年の世界市場規模は3,398億1,100万ドルになっている。今後は、医療用などの新しい領域に需要が拡大していくことだろうし、中国、インドなどの新市場での著しい成長も見込まれている。日本は、1980年代には半導体分野において世界をリードしていたが、87年の市場シェア50%をピークに下降の一途をたどっていて、今は20%を下回るほどにシェアを落としている。14年度の半導体売上高の世界上位ランキングを見ると、インテル(15.0%)、サムスン(10.4%)、クァルコム(5.6%)、マイクロン(4.9%)、SK Hynix(4.7%)となっていて、東芝(3.4%)は6位にやっと登場する。上位の顔ぶれは、数年間それほど変化していない。
この半導体市場に中国が参入すると表明していて、半導体市場に“ビックバン”が発生する可能性が出てきた。中国はどのような背景で半導体市場に入ることになったのか、それは半導体市場にどのような影響をもたらすのかを考えてみたい。
韓国の半導体産業
14年の韓国半導体の輸出額は626億ドルで、半導体は単体で600億ドルを上回った最初の品目になった。モバイル向けのDRAMの需要増加とメモリ市況の好調により、サムスン電子とSK HynixはD-RAM分野で世界1位、2位になり、2社の世界市場シェアは初めて70%を上回るようになった。
サムスン電子の14年の第4四半期の半導体部門の売上高は、10兆6,600億ウォン、営業利益は2兆7,000億ウォンを記録した。ディスプレイ部門との営業利益合計は3兆1,300億ウォンで、会社全体の営業利益5兆2,900億ウォンの70%を半導体が占めるようになった。
携帯電話部門の業績悪化のショックを、半導体が営業利益でシェア1位になることでうまく吸収している。SK Hynixも前年同期対比51.2%の伸びで、営業利益は5兆1,094ウォンを上げている。2年連続の好成績である。過去には、半導体の市況は、パソコンの買い替え時期と正確に同期するパターンであった。5~6年を周期にこのサイクルは繰り返された。しかし、モバイルが登場することによって、市場の性格は大きく様変わりした。モバイルの場合、サイクルは2年に短くなった。それに、スマホ、タブレットPCなど需要先も増えてきた。
需要先が増加すると、以前とは違って需要者よりもサプライヤーが影響を持つようになった。すると今度は、サプライヤー同士の激しい競争が始まった。供給過剰と価格暴落の生き残りをかけた激しい戦いが繰り広げられ、競争に絶えられなくなった企業が淘汰された。
このようななかで、サムスンとSKは果敢な巨額の投資と微細工程の開発に力を入れ、生き残るようになった。(つづく)
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