分譲地販売の陰に地場業者との馴れ合いの構図(1)
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ガーデンヒルズ松陽台は、鹿児島県住宅供給公社が開発販売を手がける大型開発住宅地。しかし、販売不振を背景に、既存の住民の反対を押し切って県営住宅を建設した過去がある。そして昨年秋には地場土木工事業者数社が分譲地を1区画ずつ購入したことが判明。公社のなりふり構わない販売の影に地場業者との馴れ合いの構図が見えてきた。
販売計画の頓挫と住民の反発
鹿児島市の西側に位置するガーデンヒルズ松陽台(以下、松陽台)は、総計画面積約11万7,681坪(38万8,348m2)。総計画戸数796戸という大型の住宅開発案件である。この事業は、鹿児島県の外郭団体である住宅供給公社(以下、公社)が開発販売を手がけてきた。
松陽台は、鹿児島中央駅からJR九州鹿児島本線の上伊集院駅まで電車で約10分、南九州西回り自動車道松元インターまで車で約4分というロケーションを持つ。全区画60坪以上という広めの区画整理で、3台以上の駐車スペースが確保できることや、多数の公園設備や太陽光発電などによる照明設備などの環境が売りだ。公社が作成したパンフレットには「松陽台に住んでみた感想は?」というコーナーがあるが、「JR上伊集院駅や松元ICが近くにあり、鹿児島市街地へのアクセスも気になりません。市街地を離れて暮らしたいと思っていた私にとってはとっても良い所です」など、称賛する感想が述べられていた。果たして、そうなのか――。
この松陽台は、販売と同時に大きな希望を持って生活を開始してきた住民の期待を大いに裏切ってきた。公社の当初の計画では「最高の住環境」を謳い文句に、『戸建住宅』の用地として470区画を販売する計画をしていた。ところが、すぐに販売は頭打ちになる。そのため、「最高の住環境」の1つであった「店舗等用地」の3区画の土地と松陽台で最大の面積を占める区画を、県が約30億円で購入し県営住宅に転換。今もなお商業店舗が建つ見込みがないまま時間だけが経過している。この様相から見て、老朽化が進む県内の県営住宅からシフトしたい県の意向と、売れない土地をどうしても販売したい公社の目論見が一致した格好となった。
この松陽台で念願の戸建住宅を購入し、将来のまちづくりに夢を抱いていた住民たちにとっては、このような強引な方針転換に対して納得はいかない。しかも反対運動に立ち上がった自治会に向けて、県などが説明会を開いてきたようだが、住民側の説明要求をはぐらかし、回答をしないなど、不適切な対応で誠意が見えなかった経緯がある。
それでも、公社は手がける250区画を販売。順調に売れ出して残りは34戸となった。なぜ、販売が加速し出したのか―。
(つづく)
【道山 憲一】
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