【癒着の福岡県政】中央政界に波及した福岡県議会問題~福岡政界の権力構図とワンヘルス議連

 福岡県議会の高額な海外視察費や、正副議長就任にあたり多額の金銭負担が求められてきたとされる問題、福岡政界の重鎮・蔵内勇夫県議会議長肝いりの政策・ワンヘルスについて全国のメディアが注目し、在京・在阪・在名メディアも連日福岡入りして大々的に報じている。

 議会棟での囲み取材にも県外の報道機関が参加しているが、自民党県議団会長の松尾統章県議への囲み取材で、名古屋のTBS系放送局・CBCテレビが社名を名乗って質問している。愛知県や三重・岐阜両県の広域放送局だが、福岡の人間にはなじみが薄い。「CBCテレビはどちらの放送局ですか」と松尾氏が聞き返し、CBCの記者は「RKBと同じTBS系で名古屋からきた」と答えている。

 福岡県政の話題で、県外の報道機関が大挙して押し寄せてきたのはおそらく初めてではないだろうか。県外メディアは現地の記者クラブに加盟しておらず遠慮なく取材活動ができるのは間違いない。

国会でも取り上げられた福岡県議会問題

 記者は15日から取材などで上京しているが、東京でも福岡県議会問題が大きく報じられており、面会した人に福岡から来たことを伝えると、県議会の話に触れる人が少なくない。

 同日の衆議院厚生労働委員会でも福岡県議会問題が取り上げられ、元福岡県議会議長の栗原渉厚生労働政務官は「何も存じ上げない」と答弁した。また一部週刊誌が、麻生太郎副総裁に近い吉松源昭県議と、蔵内氏ら自民福岡県議団と古賀誠元幹事長、武田良太元総務相の勢力争いとの見方を報じるなど中央政界にまで波及している。

 一方、金銭授受を告発した吉松源昭県議は麻生太郎氏に近く、安倍晋三元首相夫妻とも近しい関係にあった中村明彦氏と会派を組んでいる。長い間、自民党福岡県連は、古賀誠氏や太田誠一氏ら宏池会に所属する議員が多かった。県連執行部を握る自民党県議団からすると、安倍・麻生両氏を背景に県連と異なる動きを行う中村氏を快く思ってこなかった。

 吉松氏も24年の衆院選に立候補して落選後、再び県議補選で県議に戻ったが、自民党に戻れなかった。

国策推進の裏に自民党ワンヘルス議連の存在

 中央政界に福岡県議会問題が波及しているのには理由がある。麻生氏と蔵内・古賀・武田氏らの覇権争いだけでなく、ワンヘルス事業が事実上、国策になってきたからである。

 自民党にもワンヘルス推進議員連盟が結成(2023年3月)されており、林芳正総務相が会長を務めている。最高顧問は麻生太郎氏、会長代理は松山政司氏、副会長は大家敏志氏、幹事長代理は井上貴博氏、副幹事長は藤丸聡氏、事務局長は古賀篤氏など福岡選出議員が多い。

自民党ワンヘルス議員連盟設立総会で挨拶する林芳正氏
自民党ワンヘルス議員連盟設立総会で挨拶する林芳正氏

 4月に東京国際フォーラムで開催された第41回世界獣医師会大会の開会式に、天皇陛下がご臨席され、ご一家が保護犬や保護猫と生活してこられたことに触れつつ、ワンヘルスの重要性についてもお言葉を述べられている。

 詳細はYouTubeの宮内庁ページの動画をご覧いただきたいが、天皇陛下よりお言葉を賜り、蔵内氏は感慨深かったことだろう

【天皇陛下のおことば】第41回世界獣医師会大会開会式

 また、25年11月の臨時国会において、高市早苗首相がワンヘルスの理念を踏まえた政策実現への強い意欲を示す答弁を行っている。「ワンヘルスと名がつけばなんでも予算が付く状況があった」と服部誠太郎知事が反省の弁を述べたが、国のお墨付きがあったことも間違いないだろう。

 ワンヘルスの理念自体は尊いもので、当社でもその活動をたびたび報じてきた。しかし、事業内容を精査していくと「これははたして妥当なのか」と思われるものもある。

 ワンヘルスを推進してきた林総務相は、17日の閣議後の記者会見で、福岡県議会の正副議長ポストをめぐる金銭授受問題について「地方議会に対する信頼が揺らぐことはあってはならない」としたうえで「自ら説明責任をはたしてほしい」と述べた。

 地方自治を所管する総務大臣として当然の発言であるが、一部週刊誌に自身と福岡政界との関係が言及されており、これ以上、中央政界への広がりを避けたいのではないかとの見方もできる。

 今や福岡ローカルの話ではなくなった福岡県議会問題について国民・県民の納得がいく調査を行う必要がある。

【近藤将勝】

関連記事