2024年11月22日( 金 )

九州地銀グループの実力度を検証(8)

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 前回に引き続き【表1】九州地銀(18行)の2015年3月期決算の概要を見ていただきたい。
 【表2】は南日本銀行と筑邦銀行の概要である。

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(7)南日本銀行(鹿児島市)

・預金残高12位の南日本銀行は7,009億円(前期比3.8%)で、256億円の増加。地銀平均の3.8%と同率の伸び。

・貸出金残高は5,587億円(前期比3.3%)で12位。地銀平均の5.7%を大きく下回り、180億円の増加にとどまっている。鹿児島銀行(前期比1,131億円増)の攻勢を受けて、伸び悩んでいるのがわかる。

・当期純利益も25億7,800万円(前期比▲1.2%)で、▲3,300万円。わずかながらの減益だったが、16年3月期は15億円(前期比▲41.8%)の大幅な減益予想。九州FGが本格始動すれば、収益環境は今後さらに悪化するものと見られる。

(8)筑邦銀行(久留米市)

・預金残高13位の筑邦銀行は6,464億円(前期比3.3%)で、増加額は204億円と低迷。地銀平均の5.7%を大きく割り込んでいる。第一地銀64行のうち、筑邦銀行はブービーのボリューム。
 ちなみに、最下位は富山銀行(富山県高岡市)で、預金残高は4,320億円。

・貸出金も4,284億円(前期比2.4%)で、増加額はわずか99億円にとどまっており、預金集めと同様に苦戦を強いられている。

・当期純利益は12億円(前期比▲19.1%)で、3億円の減益となった。16年3月期は10億円(前期比▲15.7%)を予想している。預貸金のボリュームが小さく、単独では生き残ることができない経営状態になってきている。

南日本銀行と筑邦銀行の経営統合の行方

・南日本銀行の前に大きくそびえ立つのは、鹿児島銀行である。鹿児島銀行の預金残高は3兆5,461億円、貸出金は2兆6,682億円、当期純利益136億円。3部門とも南日本銀行と比べてほぼ5倍強のボリュームがあり、南日本銀行が健全銀行に戻るためには、経営統合による効率化を図るしか道はないものと思われる。

・南日本銀行の筆頭株主は、整理回収機構の27.03%。2位はみずほ銀行。3位に南日本行員持株会、4位には福岡銀行が2.53%出資している。果たして南日本銀行は、どこと提携すれば良いのだろうか。
 考えられるのは、(1)筆頭株主の整理回収機構の意向に従う、(2)4位株主の福岡FGとの経営統合――この2つの案が考えられるが、南日本銀行の財務内容を熟知しているのは金融庁であり、必然的に大蔵省出身の谷川浩道頭取が率いる西日本シティ銀行グループに支援を要請するものと見られる。

・筑邦銀行の筆頭株主は筑邦銀行従業員持株会。第3位は佐藤清一郎頭取の出身母体であるみずほ銀行。第4位には十八銀行と続く。筑邦銀行が経営統合を模索する相手は、どこになるのだろうか。
 (1)共同システムで提携している十八銀行、佐賀銀行の3行と経営統合する、(2)その後九州FGと合流する、(3)十八銀行、佐賀銀行と共に九州FGへ参加する――この3案が考えられる。だが、いずれにせよ、ふくおかFGや西日本シティ銀行グループが、店舗が重複している筑邦銀行を経営統合するメリットはなく、その対象にすることはなさそうだ。

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(つづく)
【北山 譲】

 
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