日本人の些細なエピソード、台湾で過大報道
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来年1月の総統選を前に、台湾では、表現や報道が、「日本」に寄るか「中国」に寄るかという「二極化」を起こしている。与党・国民党は「親中国」という基本スタンスを取っているが、それを際立たせるために「反日本」の色を出し始めた。
主席は日本植民地の歴史を否定するなどの言論を強めてきている。野党・民進党は「反中国、独立」の色が強いが、同時に「親日本」の表現も増えてきた。「日本寄り」を強めている台湾メディアもある。7月下旬には訪日した李登輝元総統が「尖閣諸島は日本のものであり、台湾のものではない」と、日本に与した発言をして注目と批判の「両極」の反応を受けている。また一方で、台湾国内では、報道内容に関しても、日本人の行動に対して過剰なバイアスを掛け始めている。
23日には、国管轄の通信社が、映画「千と千尋の神隠し」のモデル地ともなった九份で、「日本人女性観光客が紛失したスマートフォンを地元の女性警察官が見つけ出し感謝された」という些細なエピソードを記事化。5月には、「飛行機の機内で体調不良となった日本人女性が、台中市内の病院に勤める看護師に救護された」というこれまた些細な話題を記事として取り上げている。
一部の台湾人読者からは、「スマートフォンを拾ったなど些細なエピソードを記事にするのは変だ」「日本というだけで、小さなことでも大きく取り上げようとするのは逆におかしい」といった声が上がり始めている。台湾メディア関係者は「大陸と違って、台湾では昨今『日本』をキーワードにするだけで、美化される傾向がある。台北では、普通の台湾料理の店が『日式(日本式)』料理店を名乗ったりしている。メディアの奇妙な記事化も、『日台関係の良好さを強調したい』という目論見から、奇妙な形になっている。選挙前は行き過ぎた表現が増える」と話している。
【杉本 尚丈】
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