経済停滞の兆し?人民元切り下げ
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中国人民銀行が人民元の対ドル為替レートの算出方法を変更し、約2%の「切り下げ」に踏み切った。対米ドル基準値を、2013年4月以来の水準まで引き下げ、この下落率は過去最高となる。ここへ来ての中国の経済政策は、中国が「輸出減少」や「内需低迷」による成長の鈍化に焦燥感を持っていることが浮き彫りになったかたちだ。
切り下げの背景として、「輸出拡大」を図る狙いがある。ある台湾メディア関係者は「そもそも大陸の急激な経済発展は『無理』や『泡沫』を含んでいた。今後は政府の調整能力にかかってくるが、これまでの政策からもわかるように大陸のコントロール力は世界基準で見れば奇妙に映る点もある。『露骨な誘導』にも見えるため、対中国貿易赤字を抱えるアメリカなどから批判を招く可能性もある」と指摘する。
「人民元の国際化は後退した」との見方も広がるなか、中国は、投資と貿易のてこ入れ強化と再建を図る。停滞している投資の促進を図るため、地方政府向け債務交換プログラムを拡大。国有銀行に資金を投入し経済への資金流入を促している。人民元の対ドル相場は急落を続け、11日の下落幅は、1994年の市場開設以降で、過去最大を記録した。
また、この切り下げに、日本株式市場も反応している。投資家に中国経済の先行きに不安が広がり、12日は日経平均株価も影響して、大幅に下落。中国の消費が減速する懸念から自動車等の輸出関連株を中心に売られた。前述の台湾メディア関係者は「これまで実質がないと言われてきた『投資依存型』から、実質性の高い『内需主導型』の経済へ切り替えたい大陸だが、世界からの批判が向きやすい性質があるためスムーズにはいかないだろう。習近平国家主席や李克強首相の手腕にかかる部分もあるだろうが、大陸が『経済停滞』のステージに入ったのは間違いなさそうだ」と話している。
【杉本 尚丈】
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