西武ホールディングス、普通の会社に!堤家に続いて、サーベラスも全株を売却(後)
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株式再上場によるポストサーベラス体制
(株)西武ホールディングス(HD)は2014年4月、東京証券取引所一部に再上場を果たした。04年12月に西武鉄道が有価証券報告書への虚偽記載で上場廃止になって以来、10年ぶりの復帰だ。
サーベラスは保有株式を売却して、回収に入る。第1弾は15年5月。保有する35%強のうち約10%を、証券会社を通じて複数の投資家に売った。売却額は約1,100億円。初期の投資額1,000億円は全額回収した。残り25%は、株価をにらんで段階的に売却していく。いくら売却益を積み上げていくかだ。
焦点は、ポストサーベラスに移った。バス会社の国際興業(株)を買収したサーベラスは撤退する際、経営権を創業家の小佐野家に渡したように、西武HDも創業家に戻すことになるだろうというのが大方の見方だ。堤義明氏と後藤高志氏の“密約説”とは、再生後は、経営権を戻すという内容だと信じられていたからだ。
このとき、想定外の大逆転が起きた。
堤義明氏は間接・直接保有していた西武HD株を全株売却
西武HDは16年2月10日、有価証券虚偽記載をめぐって、堤義明氏ら旧経営陣5人に求めていた損害賠償金を全額回収すると発表した。回収額は255億円に上る。
西武鉄道が上場廃止となり、株主が株価下落や上場廃止にともなう損害買収訴訟を提訴。これまで西武HDは合計309億円(元本226億円+利子83億円)を支払った。株主に支払った元本分についての負担を旧経営陣に求めていた。
堤義明氏は、個人でNW社の株式36%(時価に換算して214億円相当)を持っていた。ほか元役員もNW社株を手放して、248億円を代物弁済で支払った。堤氏は、個人名義で持っていた西武HD株を7億円で売却して弁済に充てた。その結果、堤義明氏は、直接、間接を含めて西武HD飲む持ち株はゼロになった。これで、西武HDは創業家の堤家とは完全に縁が切れた。一方、サーベラスは段階的に保有株の売却を進めてきた。残る2.35%を今年8月10日に売却して撤退した。サーベラスが一連の株式売却で得た売却益は、初期投資の1,000億円を上回ったとみられている。西武HDへの投資で、2倍のリターンがあった計算だ。
最大の勝利者は、後藤高志社長だ。コクドを介して堤家が支配していた「西武王国」は解体され、筆頭株主のサーベラスとの関係も切れた。大株主のくびきから脱して、西武HDは普通の会社に生まれ変わった。
(了)
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