2024年12月23日( 月 )

あのディズニーも倒産の瀬戸際!原因は何か?

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 NetIB-Newsでは、「未来トレンド分析シリーズ」の連載でもお馴染みの国際政治経済学者の浜田和幸氏のメルマガ「浜田和幸の世界最新トレンドとビジネスチャンス」の記事を紹介する。
 今回は、12月9日付の記事を紹介する。

 ウォルト・ディズニーもあの世で地団太を踏んでいるに違いありません。

 というのもコロナ禍の影響もあって、ディズニーの損失は15億ドルを突破し、収まる兆しが見えないからです。
 1年前と比べ、赤字幅は10億ドル近くも増加したことになります。
 当然でしょうが、同社の株価は急落し、40%もダウンする有り様です。

 ボブ・チャペク前CEOは幹部に宛てたメモで「会社は倒産の瀬戸際にきている」と危機感を露にしました。
 これから社員の大量解雇の嵐が吹き荒れると思われます。
 すでに新規雇用はストップし、社員の商用での旅行も制限されており、経費削減の波に飲み込まれているとのこと。

 チャペク氏は責任を取り、前任のボブ・イガー氏をCEOとしてカムバックする要請を下しました。
 コロナ禍という想定外の環境悪化も一因でしょうが、チャペク氏の管理能力の欠如が大きいとの指摘が相次いでいます。

 ディズニーといえば、1970年代から豊かで上品なアメリカン・ライフを象徴するテレビ番組や映画の制作、そして娯楽の殿堂といわれる「ディズニーランド」の経営でエンターテインメント界の王者として君臨してきました。
 アメリカのみならず、ヨーロッパや日本、そして中国には世界最大のディズニーランドをオープンさせ、飛ぶ鳥を落とす勢いで成長してきたはずです。

 そのディズニーがコロナの影響はあるにしても、倒産の淵にまで追い込まれてしまったのはなぜでしょうか?

 その最大の理由として挙げられているのが「性的マイノリティーへの過剰な配慮」と言われています。

 本年夏には映画『バズ・ライトイヤー』を公開しましたが、同性愛者のキスシーンなどが織り込まれていました。
 「時代の先を行く作品」とディズニーではキャンペーンを展開しましたが、アメリカをはじめ世界で総スカンを食らってしまったようです。
 2億ドルを投じた映画でしたが、興行収入は大失敗で1億ドル以上の損失が発生したと言われています。

 実は、ディズニーの社員の間では同性愛や小児性愛が当たり前で、チャペクCEOも積極的に「性的マイノリティーの職場環境を守りたい」と訴えてきました。
 その過程ではフロリダ州のデサンティス知事と全面対決することになり、未来のアメリカ大統領最有力候補を敵に回したことも経営上の大きな足かせになったことは否めません。
 「夢の世界」の再建は“いばらの道”となりそうです。

 来場者を増やそうと必死の取り組みを展開するディズニーです。
 その一環として、東京ディズニーリゾート(TDR)では「ワクワリ」という入場料20%割引サービスを始めました。
 これはコロナ用のワクチン接種証明(最低3回分)を提示すれば得られる特典です。
 3日以内のPCR検査の陰性証明でも割引が得られるとのこと。
 12歳以下の子どもの場合は、同伴の大人がワクチン接種証明書をもっていれば特典をゲットできるといいます。
 負けてはならないと、ユニバーサルスタジオジャパンでも同様のサービスを始めました。

 いずれにしても、ワクチンの接種率が頭打ちとなっている状況下で、接種希望者を増やす試みの一環とも見られます。

 一方、アメリカのフロリダ州にあるディズニーワールドでは園内での食べ歩きや飲み物を一切禁止するという通達を出しました。
 マスクの着用も厳格に求められており、違反した場合には即退場となるそうです。
 2歳以上の子どもにもマスクの着用が義務付けられています。

 もちろん、園内には「リラックス・ルーム」が設けられており、そこではソーシャル・ディスタンスを維持すればマスクを外してもOK とのこと。
 現在、アメリカのディズニーでは入場時にウェアラブルのセンサーを配布し、常時、来場者の行動を監視する仕組みを検討している模様です。
 別の入場者との距離が近くなり過ぎた場合には警告を発するというもの。

 しかし、これでは「夢の世界」も「監視社会」になりかねません。
 LGBTQへの過剰な配慮から来場者がそっぽを向き始めていることへの反省や見直しが求められるのではないでしょうか。

 創業者ウォルト・ディズニーの時代には想像できなかった、社会の変化を先取りしようとしたディズニーの「性的マイノリティー優遇」の試みですが、このままでは会社の倒産という最悪のシナリオも否定できません。

 次号「第321回」もどうぞお楽しみに!


著者:浜田和幸
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