2024年11月22日( 金 )

れいわ新選組、与野党4党談合決着の救済新法に反対

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れいわ新選組、与野党4党談合決着の救済新法に反対    統一教会問題を半世紀追い続ける俳優の中村敦夫元参院議員が「お粗末すぎる法案」(『朝日新聞』12月8日付)と一刀両断した被害者救済法案に対して共産党とともに反対したのが、れいわ新選組だ。22日公開の本サイト記事で紹介した与野党4党(自民・公明・立民・維新)による“密室談合決着”に異議申立てをしたかたちだが、法案成立前日の12月9日、代表選関連の会見で反対声明を出した理由を聞くと、山本太郎代表を皮切りに大石晃子衆院議員と櫛渕万里衆院議員が次のように答えた。

 山本代表 ある意味で公害や薬害と同じ種類のものであるということです。つまり国の不作為によって拡大した被害というものは、国によって救済されるしかない。統一教会も事実上、自民党が拡大させたものです。そういった責任の取り方をする必要がある。根本的に解決をする部分が違うということです。なので国がしっかりと被害者に対して賠償していくことをれいわ新選組の方針として提案をしている。

 その提案内容は、発表済の反対声明に記載されていたが、過去の被害者が救済新法の対象外になっている“穴”を埋めるべく、最大の原因者の自民党と旧統一教会が拠出金を出して被害者救済(賠償)基金等の枠組みをつくるというものだった。

 この声明をまとめた政調会長・大石氏は次のような補足説明をしながら、ザル法成立を自画自賛した与野党4党の茶番劇的審議を「騙し絵のような状況」と評した。

 大石政調会長 カルト政治からの脱却と捉えて、原因者が負担をして、または謝罪をして再発防止をしていくのが基本だと思うが、国会主体ではなく、むしろ原因者(自民党)と一緒になって「救済しています」というような法案をつくること自体が問題だと思っている。れいわ新選組は、その本質、ここに原因がある、これを解決するのだということを常に示していきたいし、それと違う何か騙し絵のような状況、(新法が)ないよりはマシか、みたいな方に組するのではなくて、大きな原因を差し示し解決の道筋を示す。今回の声明はそういうつもりで書いたものです。

 最後にマイクを握った櫛渕衆院議員は、臨時国会で「特別調査委員会をつくれ」と訴えてきたのに実現しなかったことを問題視した。

 櫛渕衆院議員 れいわ新選組は臨時国会で「立法府の調査権を発動して特別調査委員会をつくれ」ということをずっと訴えて来ました。やはり立法府が特別委員会をつくって、膿を出し切るということや、トップにいた安倍元総理に対する調査も進めていかなければいけない。今回の法案で終わりにさせてはならないと国民は考えていることも合わせて訴えていきたいと思います。

 先の声明には、特別委設置について「加害の根絶のために、政治家と旧統一教会との癒着を徹底調査する。癒着の真相はまだまだ明るみになっていない。膿を出し切ることが必要」と書いてあり、全政党が参加可能な特別委設置によって、教団票差配をしてきた安倍元首相らの徹底調査をしようという提案だった。

 しかし実際は、共産・れいわ・社民を蚊帳の外に置く与野党4党の“密室談合”でザル法が産み落とされ、臨時国会は延長なしで閉幕してしまった。

 このような事態を招いた立憲民主党の泉代表は野党第一党党首失格と言わざるを得ない。特別委設置で少数野党を含めた野党勢力を結集、自公と対峙する場をつくるべきだったのに、与野党4党の“密室談合決着”に走って国会審議の形骸化の片棒を担いだからだ。衆参の国会審議はたった4日。山井和則衆院議員(立民国対委員長代理)が集会で全国弁連の山口広代表世話人らを前に明言した会期延長で衆院審議30時間確保も反故にしたのだ(22日の本サイト記事参照)。

 維新との共闘重視で少数野党(共産・れいわ・社民)を軽視したのではないかと泉代表に聞いたが、後ろめたさは感じていないようだった。

 ──与野党4党協議で(被害者救済)新法の調整をしたことについて、共産・れいわ・社民を排除したうえで、特別委員会設置をして議論すべきという声をも無視したことになると思うが、これも維新(「共闘」)重視の一環というふうに見えてしまう、やはり維新との「共闘」重視が法案の賛否の一因だったのか?

 泉代表 そこは国対に確認してみてください。

 ──維新に立民の政策が引きずられているのではないか。

 泉代表 それはないです。

 ──救済法案でもそうか。

 泉代表 我々は立憲民主党の政策を第一に考えて、必要であれば、政策合意をして進めていく。

 ──防衛三文書でも引きずられているという印象を受ける。

 泉代表 それは人によるかなと思います。

 泉代表の致命的欠陥が浮き彫りになった。昨年の総選挙で連携(共闘)した共産・れいわ・社民の枠組みを放棄し、維新との「共闘」重視に方針転換して、準大政翼賛会的な国会審議の片棒を担いでいることだ。その弊害は、旧統一教会問題に止まらず、敵基地攻撃能力(反撃能力)保有などの安保政策にもおよんでいる。岸田政権と対峙して暴走を食い止めるには、野党第一党の立民執行部刷新が不可欠といわざるを得ない。

【ジャーナリスト 横田 一】

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