なぜ2023年が大転換の年なのか(3)
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NetIB‐Newsでは、(株)武者リサーチの「ストラテジーブレティン」を掲載している。
今回は1月1日号の「なぜ2023年が大転換の年なのか」を紹介する。(3)2023年、日銀のYCC脱却がリスクテイクを鼓舞する
金利上昇を容認しリスクテイクを鼓舞する
昨年末に市場を驚かせた日銀のYCC変更政策も、投資家と企業のリスクテイクを促進し、デフレ脱却に寄与するだろう。
YCC修正に3つの解釈
市場やメディアで表明されているYCC変更に対する見方は3つに大別される。
① 日銀敗退説(日経新聞、WSJなどの大半のメディアが主張) ⇒ヘッジファンドの日本国債売りに追い込まれた金融緩和。デフレ脱却を果たせないままの利上げは日本経済と市場の懸念要因になる。株価にとってはマイナス。
② 異次元の緩和継続説(黒田総裁の説明、前内閣府参与本田悦朗氏) ⇒経済のファンダメンタルズは変わらず政策も変わらず、との見方で株価に中立。
③ 日銀攻め説(武者リサーチ) ⇒事実上の利上げ、異次元の緩和の出口に向かう第一歩。デフレ脱却が進展し成長率高まる。株高要因になる。今市場で優勢なのは①の日銀敗退説で、日銀はヘッジファンドの挑戦によってさらなる利上げに追い込まれ、ファンダメンタルズが改善しないのに金利上昇だけ起きる懸念があるとの解釈である。それは企業活動や株価にとってマイナスである。この悲観的解釈をはっきり否定できない環境の下で株価が低迷している。②は苦しい説明で、明らかに市場金利が上がるのであるから、引き締め効果をもつことは否定できない。黒田総裁が緩和政策は不変と頑なに主張しているのは、投機筋に言質を取られまいとした用心によるものであろう。
日銀が勝ってYCCが終わる可能性大
これらに対して武者リサーチは今回のYCC変更は金利上昇の長期トレンドを示唆し、投資家のaction変更=リスクテイクを促す、という点でポジティブと考える。日経新聞は「投機筋に追い込まれた日銀、ブルーベイアセットによるJGB売り奏功」(12月22日 )と日銀が負けたように描いたが、まったく違う。日銀は投資家や企業にブルーベイのように動いてほしいのだ。JGBショートとは「金利が低い今のうちに借りておこう」(=債務の増加)と同義であり、利上げがリスクテイクを促進することを期待している。そもそもYCC導入は円高阻止のために導入されたのであるが、円高の懸念が払拭され円暴落の心配もない今は、正常化に向けての好機であった。
(つづく)
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