2024年11月23日( 土 )

南海トラフ×台湾有事 九州を含む2つの地図を載せた朝刊記事

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 地元紙の朝刊紙面を見て朝イチから憂鬱になった。我々の生存に大きく関わるであろう記事だった。

南海トラフ再認識

地震 イメージ    まず、西日本新聞の2面、東北大学などの研究チームが10日に、いわゆる南海トラフ巨大地震が発生した場合、その直後の1週間に同規模の後発地震が起こる確率を2.1~77%とし、平時の99~3,600倍に高まると発表したというのだ。

 東海沖から九州沖におよぶ範囲で、フィリピン海プレートおよびユーラシアプレートが接する海底の溝状の地形区域を「南海トラフ」というが、そこでマグニチュード(M)8~9級の大地震が30年以内に起こる確率は70~80%とされる。これはこの記事をご覧の皆さんもすでに何度も聞かされていることだろう。ちなみに1995年の阪神・淡路大震災の直下型地震はM7.3。2011年に東日本大震災を引き起こした東北地方太平洋沖地震はM9.0だ。

 東日本大震災のときは、本震(M9.0)の発生後、当日中にM6.0以上は11回、そのうちM7.0以上が3回発生した。被災者は本震と津波に破壊された街のなかで、何度も押し寄せる津波と余震に耐えながら救助を待った。朝刊記事は、まさにその光景をわが身の問題として再度つきつけてきたのである。

 データ・マックスでは過去にも南海トラフをめぐり、少しでも被害を食い止めようと各地で行われている取り組みなどを取材してきた。ぜひタグ「南海トラフ」をクリックして過去記事も参照いただきたい。

台湾有事再認識

 もう1つはその隣の3面。想定される台湾有事の抑止のため、即応部隊をあらたに沖縄駐留軍に創設するという記事だ。本記事中には説明がないが、我が国の南西諸島から台湾の東沖を通り、フィリピンとカリマンタン島の北東沖までぐるりと東シナ海と南シナ海を囲むラインは、中国の軍事戦略上、「第1列島線」と呼ばれ、最重要海域を示す。もう1つ、「第2列島線」というものもあるのだが、これは我が国の伊豆諸島を起点に、小笠原諸島、グアム・サイパンを経て、パプアニューギニアに至るラインである。あくまでも我が国の戦略ラインではない。中国の対米戦略上の軍事目標ラインである。それはいずれも日本を起点の1つとして設定されているのだ。

 台湾有事は人の所業であり、外交や防衛戦略によってできる限り最悪の事態を避けて欲しいが、 ロシアによるウクライナの軍事侵攻という大国によるあからさまな実力行使が現代でも行われうるという証拠は、ウクライナに次ぐ国際紛争の舞台として、いやがうえにも台湾海峡の緊張に対して世界の関心を集中させているのが現状だ。

南海トラフ×台湾有事=迫りくる危機再認識

 2つの記事には、いずれも我が九州を含む地図が使用されている。国際的な関心はもっぱら「ネクスト・ウクライナ」とみられる台湾海峡だが、日本には同時に南海トラフ地震が控えていることをまざまざと思い知らされた。

 憂鬱に浸っていてはいけない。何か行動をしなければ。災禍に備えた取り組みを、自分1人でできることから実行に移さなければいけない。災禍に対処できる人間同士の協力関係を再構築するのだ。そしてこれからも関連する情報に対するアンテナを研ぎ澄ますことが、何より心の準備につながるだろう。

【寺村朋輝】

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