仰天!ホリエモンが「犬猿の仲」SBI北尾氏と「和解」したワケ(前)
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暮れも押し詰まった2022年12月26日、日本経済新聞電子版に載った1枚の写真を見て、思わずのけぞった。北尾吉孝SBIホールディングス会長兼社長を挟んで、ホリエモンこと堀江貴文氏と稲川貴大インターステラテクノロジズ社長が笑みを浮かべて並ぶ写真が載っていた。「マジか」と仰天した。北尾氏と堀江氏は深い因縁で知られている。ネットで「歴史的和解」と盛り上がったのも無理はない。
堀江氏と北尾氏がロケット開発で手を組む
報道によると、堀江貴文氏が創業したロケット開発ベンチャーのインタ―ステラテクノロジズ(株)(北海道大樹町)は22年12月27日、SBIホールディングス(HD)(株)傘下のベンチャーキャピタル、SBIインベストメント(株)から10億円の資金調達をしたと発表した。
インタ―ステラは、元ライブドア社長・堀江氏が13年に創業したロケット開発のベンチャー企業。国内4拠点で観測ロケット「MOMO」や超小型人工衛星打ち上げロケット「ZERO」の開発を進め、「低価格で便利な宇宙輸送サービスを提供することで、誰もが宇宙に手が届く未来の実現を目指す」と標榜する。
12月27日までに、SBIインベストメントのファンドを引受先とした第三者割当増資を実施し、10億円を調達した。研究開発費や設備投資などに充てられる。
発表はビジネスマンを中心に多くの注目を集めた。堀江氏はSNSでたびたび北尾氏を罵倒していただけに、驚きをもって受け止められた。
堀江氏と北尾氏の対立の原点を振り返ってみよう。
ニッポン放送株の買い占めで「時代の寵児」になったホリエモン
「人の心はお金で買える」
こう言い放った男がいた。愛称はホリエモン。ライブドアの元社長、堀江貴文氏である。東京・六本木ヒルズを拠点に、自家用ジェット機を乗り回す派手な生活を送っていた。
2000年代前半のネットバブルの時代、ホリエモンは時代の寵児だった。ホリエモンがスーパースターになったのは、05年のこと。(株)ニッポン放送株の買い占めに乗り出したことが契機になった。
ニッポン放送は、かつて旧・日経連(日本経営者団体連盟)が企業内部に共産主義勢力が浸透しないようにするための防波堤として設立したラジオ局だ。ニッポン放送はこれまた財界の肝煎りで発足した(株)フジテレビジョンの株式の22.5%を保有する筆頭株主であった。
ニッポン放送の企業規模はフジテレビより格段に小さいから、少ない資本で株を集めることができる。ニッポン放送を支配すれば、フジテレビの22.5%の株式が自動的に手に入る。フジテレビの経営を左右できるわけで、「親子逆転」の資本関係の隙間をホリエモンは巧妙に衝いた。
この資本のねじれに最初に目をつけたのが、M&Aコンサルティング(通称・村上ファンド)の村上世彰氏である。ニッポン放送株を買い占めて、筆頭株主となった村上ファンドは、ニッポン放送に対して自社株買いを再三にわたって要求し、売り抜けるタイミングを計っていた。
だが、ニッポン放送は要求通りに動かなかった。どうすれば、高値で売り抜けることができるか。会社側に買い取らせる方法から、第三者に売却する方法に戦術転換した。メディアに関心をもちそうなITの若手経営者を引き込んで、売り抜けるシナリオを練った。そのカモといえる1社がライブドアだった。
(つづく)
【森村 和男】
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