2024年11月23日( 土 )

今日のお弁当はどこで買う?消費者目線で見る「ほっともっと」の行先

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 持ち帰り弁当では店舗数最多の「ほっともっと」。やよい軒やMKレストランと同じく(株)プレナスが展開するFCチェーンだ。近年はコスト増対策や人手不足、競争激化などに晒されて、ほっともっとの店舗数は徐々に減っている。プレナスは22年に上場廃止を選択、組織改革を含めた立て直しを図っている。

 消費者は弁当にどんなことを感じ、望んでいるのか、30~40代の男女5名で対談を行った。

A…40代男性 独身 一人暮らし
B…40代男性 独身 一人暮らし
C…40代男性 独身 実家で親と同居
D…30代女性 既婚 夫と2人暮らし
E…30代女性 既婚 夫と2人暮らし

ほっともっと 看板    ──ほっともっとの利用頻度は。

 A 週1、2回はほっともっとに行きますね。ちょうど昨日も行ってました。

 B 数回利用したこともありますが、自炊中心のため使っていません。

 C 私も以前は時々行っていましたけど、今はまったく行っておらず、コンビニがほとんどです。ほっともっとだと、翌朝のものとかをついでに買うことができないので。

 D 一人暮らしのときは時々行っていましたけど、今は通勤路にないので、行かなくなりました。結婚後は、親族から野菜をいただくようになって、自炊が増えました。

 E 私も引越しをしてからは行かなくなりました。そこまで遠い場所ではないんですが…。

 ──ほっともっとの魅力。

 A 揚げたて、できたてがやっぱりいいですよね。価格が手軽なので、ありがたいです。

 B 毎日利用できる値段設定なのはよいと思います。

 E 昔勤めていた職場でお弁当注文係だったとき、お盆やお正月でも配達してくれるので助かっていました。唐揚げ弁当はおいしくて大好きです。

 C 配達はやっぱり便利ですよね。あと、24時間営業の店舗があるのもいいと思います。

 ──コロナ以降、自身や弁当事情に変化を感じていますか。

 D コロナ以降、飲食店が出すお弁当がおいしいので、そこも利用するようになりました。専門店だし、安心感もあります。

 A 安心感は分かりますね。とくにコンビニは工場でつくられていて、添加物とかも心配です。その辺の信用は飲食店のほうがあります。

 E 私は応援の意味も兼ねて、知人のお店に行ったりしましたね。当時は一人暮らしで、職場で少し話すくらいしかしない日もあったので、お店でちょっとした会話があると、人とのつながりみたいなものを感じさせてくれました。

 A 福岡は人もお店も多いですよね。私は中心部に住んでいることもあり、自宅近くでさまざまなテイクアウトの利用が可能です。高価ではありますが、デパ地下もおいしいです。今天神ビッグバンで、天神周辺ではランチ難民が増えているそうです。とはいえ、オフィスビルの下ではお昼時にお弁当販売もされていますので、うまく活用できますね。

 E 私は九州の福岡県以外の2つの県に住んだ経験がありますが、地方ではやっぱり駐車場があるかどうか、出入りしやすいかどうかが、大きく利用頻度を左右する気がします。

 B 駐車場事情が大事だというのはよく分かります。博多や天神から離れるとどこも似たようなものでしょう。コロナ禍でミールキットの宅配やスーパーやコンビニでの冷凍食品の扱いが増え、選択肢が増えてきていて、弁当はそうした変化と比べると遅れていると感じます。

 C 受け取りがコンビニなど、他の場所でできると嬉しいのですが…。やはり揚げ物を多く取らなくなって、わざわざ行くことはなくなりました。

 ──ほっともっとの弁当の味に変化は感じていますか。

 A ほっともっとは揚げ物が多くて、年々きついなと感じています。野菜も入ったバランスの良い食事を取りたいので、最近は意識して揚げ物は避けています。お店に来る人を見ていると、同じようにヘルシー志向の人が多いように感じます。

 E ご飯小盛りにできるほか、昔に比べて汁物やサラダなどのサイドメニューも増えてはいますね。

 D 昔はコンビニ弁当=体に悪い、というイメージでしたが、以前よりはそれらも変わってきていますよね。ジムに行っていたころは、コンビニで低カロリー高タンパクなサラダチキンをよく購入していました。かなりおいしいですし、調理もしやすいです。

 ──自宅に弁当を買って帰るとなると、同居家族のことを考えますね。

 C 同居の親は、やっぱり揚げ物が多いからなのか、ほっともっとの弁当を欲しがらないですね。自分が子どものころはよく買っていたと思うんですけれど。

 D 私も自分が小さいころは、親に連れられて家族の分を買っていた記憶があります。ほっともっとは、そもそも高齢者を顧客の主なターゲット層に入れていないんでしょう。

 E うちの夫は味覚が鋭い人で、仕事も不規則なので普段から別々に食事することが多くて。2人分のお弁当を買うことはあまりないです。

 C 高齢者向けの宅配などがあればいいのに、と思うことはあります。田舎だととくに需要があると思います。

 ──弁当についても、キャッシュレス支払い、ウーバーイーツが浸透してきていますね。

 A 今はもうほとんど現金は使わないです。スマホで予約から支払いまで済ませて取りに行く感じです。多くの人が同じだと思います。

 E 私もスマホで予約と支払いを済ませて店舗へ行ったことがありますが、とても便利ですよね。

 A ウーバーもよく使いますよ。オプションをつけると、サービスの質がちょっと上がるんですよね。自転車のイメージが強いと思いますが、車やバイクの配達員も増えています。

 D 知らない人と対面するのは怖いという場合は、玄関前に置き配の設定にすればいいですしね。配達員の現在地をスマホで確認することもできるし、便利です。

 ──これからほっともっとを利用しますか。

 A 使うと思います。色んな選択肢のなかの1つですが・・・。

 B 自炊やほかの選択肢があるので、あまり利用しないと思います。

 C 私はコンビニ派のままだと思いますね。

 D 通勤路の近くにできたら、利用することはあると思います。

 E 私も選択肢の1つとして、利用することもあるかなと。イベントも好きなので〇〇フェアとかはいつも気になりますね。


 ヘルシー志向の人が増えるなど、多種多様な価値観があり、男女問わず自炊もする時代。コロナ以降、飲食店のテイクアウトも急増し、消費者の選択の幅は大きく広がった。その結果、お弁当といえば、ほっともっと…という人は減り、選択肢の1つという認識になっている。店舗の接客やメニュー内容が昔から変わっていないので安心感がある反面、今の時代に合わなくなっていると感じる人もいる。一定のファンや固定客が離れない工夫と、時代の流れに沿った戦略が必要ではないだろうか。

【清家 麻衣子】

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