2024年11月22日( 金 )

日本の農業を憂う福岡県議、原竹岩海氏は語る

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 福岡県議会議員で、立憲民主党、民主県政県議団の原竹岩海(はらたけ・いわみ、現在5期目)氏が、22日に投開票を迎える筑紫野市長選挙を前にして、筑紫野市選出の県会議員として、選挙後の新市政における県議としての役割と、4月に行われる県議選で6期目を目指す意気込みについて語ってもらった。

(聞き手:(株)データ・マックス代表取締役・児玉直)

原竹岩海氏    ──筑紫野市長選挙には、現職で4期目を目指す藤田陽三氏(80)、県議を3期つとめた新人の平井一三氏(68)、元筑紫野市議の浜武振一氏(57)の3名が出馬を表明しています。

 原竹岩海氏(以下、原竹) 3名のうち、現職の藤田氏と平井氏は自民党であり、保守分裂の様相である。3名のいずれが選挙に勝っても、新しい市政と連携して県政とのパイプ役をはたす人間がとても重要になってくる。これは自民党であるとか、立憲民主党であるとか、無所属であるとか関係がない話で、市民のために市政と県政をつなぐパイプ役として、5期務めた経験を生かして全力で取り組みたい。

 ──筑紫野市は、どのような問題を抱えていると思いますか。

 原竹 筑紫野市は昨年市制50周年を迎えた。かつて筑紫野市が誕生したとき、周辺の町村が集まってギリギリ3万人を超え、何とか市になることができた。それが今や、10万人を超える都市にまで成長した。しかし、年々大きくなる人口規模に対して、それにふさわしい道路等の整備が追い付いていないのが現状である。南北の交通についてはある程度整っている。しかし東西の道路には多くの問題が発生している。

 たとえば、南北の主要な交通である西鉄の路線はとても重要だ。しかし、東西の交通をスムーズにするためには、どうしても西鉄路線の高架化が必要だ。これは市のみ、県のみだけでは取り組むことができず、市と県そして西鉄の間を緊密に調整することが必要で、そして何より市民の理解を得なければならない。それについてぜひとも力を発揮していきたい。

 ──筑紫野市と太宰府市との将来的な合併構想を訴えておられますね。

 原竹 筑紫野市の市民のためのより良い市政の発展は筑紫野市のみの力で実現することは難しい。県のみならず周辺自治体との協力が不可欠である。とくに太宰府市との関係は重要である。これは太宰府市の立場から見ても同じである。太宰府市には歴史と文化がある、筑紫野市は経済力と二日市温泉がある。この二都市がもつ力をさらに有効に発揮させるためには、大きな構想をもって都市交通の計画を立てねばならない。

 さらに国が進めているスマートシティ構想を合併市で進めることにより、より高度な未来都市の建設を目指す。市民へのサポートと、総合的な市の開発環境が整えば、地域住民に対する最適な市政と住、交通環境の提供ができるものと考えている。そのためにぜひとも、筑紫野市と太宰府市の合併を実現したい。ただしそれはすぐにできるというものではない、私としてはまず、筑紫野市、太宰府市、そして県との信頼関係のさらなる深化、その先に誰にとっても望ましい合併が実現するものと考えている。そのために市民と連携して力を尽くしたい。

 ──日本の農業政策に対しても危機感をもっておられますね。

 原竹 現在、日本の農業は危機的な状況である。TPPの推進により、自動車の輸出を優先した貿易環境がととのいつつあるが、そのかわり、農業が犠牲になる可能性が高まっている。TPPに参加していない、アメリカとの二国間の交渉においても同様である。種苗法の廃止はその結果として最たるものである。アメリカは日本に、モンサントを代表するアメリカの農薬会社から農薬と種をセットで日本に対して売りつける方法を確立しようとしている。日本の食料自給率は現在、カロリーベースで37%であるが、先進国のなかでもとくに低い。さらに種までその保護を取り払われてしまえば、実質の自給率はさらに低くなるだろう。これは安全保障上の大問題である。

 ロシアによるウクライナの侵略以降、世界的に食の安全保障の問題がクローズアップされた。そのなかで日本のこのような動きは、安全保障の方向性としてまったくずれている。日本の食を守るため、法律の廃止によって危険にさらされた種をまもるため、条例の制定によって早急に対応を立てねばならない。また、それと並行して、日本の食を支える農家がこれからも農業に従事することができるように、支援していく必要がある。

 原竹氏に次回県議選へ向けた意義込みを直接カメラに向かって訴えていただいた。動画内では、氏が県議に初当選する以前より、関心をもち、長年にわたって取り組んできた山神ダム上流の産業廃棄物処分場問題や、最近、取り組んだ福岡県手話条例などについて語っている。

【寺村朋輝】

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