2024年12月22日( 日 )

維新との連携で“ゆ党化”する立民泉代表、安倍派にも同調

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立憲民主党 泉 健太 代表    立憲民主党の泉健太代表と日本維新の会の馬場伸幸代表は1月18日、通常国会での共闘継続について正式合意をした。キャッチフレーズは「防衛増税反対」だが、岸田政権(首相)が国会審議なしで決めた安保三文書(防衛費倍増や敵基地攻撃能力保有など)自体には斬り込まない“ゆ党的対応”。櫻井よし子氏基調講演の軍拡促進集会(12月15日開催の「防衛力の抜本的強化を求める緊急集会」)で馬場代表は、償還期間見直しによる“国債財源論”を主張。増税反対・国債活用の自民党安倍派と息の合ったところを見せたが、野党第一党の立民までが増税反対で足並みをそろえ始めたのだ。

 軍拡邁進の安倍派にすり寄り始めたとしか見えない立民の不可解な政策変更は、維新との党首会談で合意した「対策チーム」設置でも浮き彫りになった。その検証テーマの1つが「防衛費増額の財源確保に向けた行財政改革の推進」であり、米国兵器爆買いなど防衛費増額のムダ撲滅が最優先課題になっていなかったのだ。

 この維新との連携継続(強化)は、12日の立民の安住淳、遠藤敬・両国対委員長会談がきっかけで具体化。合同国対や協議会(対策チーム)設置などの具体的中身についても、「立憲と維新、防衛費増税や通常国会の『共闘』継続で一致」(1月12日の毎日新聞)など各紙が6日前に報じていた。

 そこで1月13日の泉代表会見で、維新との連携強化について聞いてみた。

 ──維新と立民の合同国対、協議会ですが、櫻井よし子さんが基調講演をした軍拡拡大集会に参加した維新と連携強化することは、立民の支持者に「リベラル路線の否定」と映って立民の支持者を失って、統一地方選や次期総選挙への悪影響も懸念されると思うが、そうお感じにならなかったのか。(通常国会での維新連携強化を)決めるに当たって(党内)国会議員や地方議員に意見を聞いて決めたのか。安住国対委員長が暴走したのではないか。3点目が維新との連携強化で支持者が離れて統一地方選で敗北した場合、泉代表は責任を取って辞任するのか。馬場代表は目標を設定して(未達なら)辞任すると明言しているが、これだけの立民の路線変更をして責任を取らないのはあり得ないと思うが、3点についてお願いします。

 泉代表 まず、安住さんの暴走ではない。維新のことをいろいろ攻撃されるような発言の一方で馬場さんのその部分だけは評価されるのは面白いなと思うが……。(「是々非々」と反論)立憲民主党としては統一(地方)選挙については現有議席を上積みしていく。その目標に向かって頑張りたいと思う。

 よく、かつての前回総選挙のときの共産党とのやり取りについてもそうだが、私は立憲の支持者の人にお伝えしたいのは、どこと一緒になったからそっちに引っ張られるとか、どこと一緒にやったからそっちに影響を受けるとかばかりを述べるのではなくて、両方あり得るわけです。立民が他党と何かをすることは、立民の主張がほかの政党にも伝わっていくことでもある。そういった意味では一方的に何か影響を受けて、あっちに引っ張られこっちに引っ張られというのはそもそもおかしい話で、立民の考え方を広く伝えていく。私は、そういう取り組みとして受け止めていただきたい。


 3点のうち1つしか答えていなかったので、残り2点の再質問をした。

 ──国会議員、地方議員に聞いて決めたのか。(統一地方選敗北で代表辞任の)責任は取らないのか。

 泉代表 我が党は通常のコミュニュケーションを取っている。

 ──どういう決定プロセスだったのか。

 泉代表 質問された以上はお答えしますので。聞いてください。

 ──(統一地方選敗北の)責任論について答えていないではないか。

 泉代表 聞いていただけないなら止めます。

 ──聞きますよ。

 司会 以上で終了します。


 「聞きます」と強調したのに会見を打ち切られたので、声かけ質問を続けた。

 ──(マスクをつけて立ち去ろうとする泉代表に向かって)答えていないではないか。責任を取るのかどうか答えてください。責任論はどうなのか。(統一地方選敗北なら)辞めるのか。(代表継続の)目標を設定しないのか。全然責任を取らなくて、”代表長くやりたい病”にかかっているのではないか。(国民民主党の)玉木代表と同じではないか。立憲らしさを失っているのではないか。(目の前を通りすぎる泉代表に向かって)立憲らしさを失っているのではないか。泉さん、責任を取らないのか。立民のリベラル路線否定ではないか。

 こう声かけ質問を続けたが、泉代表は無言のまま会見場から立ち去った。

 この日の会見で泉代表は、維新の「身を切る改革」を評価する問題発言もしていた。

 ──(月刊誌「ファクタ」の宮嶋氏)参院選後の総括で立憲は「『身を切る改革』というのは格差拡大を助長したり、行財政の機能低下を招く」という総括をされたが、これは「大きな大局的な意味でやはり大阪の政党は認めて、ある意味で連携を深めるという大きな判断をされた」と私は思うすが、「身を切る改革」についての評価、再評価されたのか。

 泉代表 1つのキーワードとして「身を切る改革」を大阪で民意を得た事実はあるだろうし、全国的にも1つの言葉として伝わってくるものはあるのだろうなと。もちろん、その言葉にすべての人が納得をするわけではないだろうし、その言葉が指す意味についてすべてを知っている方は恐らく限られるというふうに思う。印象、イメージとしては、しかしながら「身を切る改革」の必要性は一定認めるという方が多いのではないかと思っている。

 だから立民は、維新のいう「身を切る改革」すべてについて賛同という意思表示をしたわけではないが、私はとくに取り出すとすれば、国会議員だとか議員の「身を切る改革」といわれるものについてはより多くの国民の共感があるだろうし、「公務員の給与をただ下げればいい」という考え方には立民は立たないが、しかしながら事業の見直しと言ったことは当然、あってしかるべきという考え方をもっているので、やはり何らかの歳出改革はしないといけない。水膨れになってはいけない。こういう視点については共有をしたうえで、そして具体的・個別に斬り込んでいくことはできるのではないかと思っている。


 維新との連携強化(すり寄り)を鮮明に打ち出し始めた泉代表や安住国対委員長ら立民執行部。防衛費倍増(岸田軍拡)に正面から反対しない腰抜けぶりに対して支持者が反発、統一地方選で敗北する可能性は高まる一方なのではないか。今後、党内リベラル派国会議員や地方議員や支持者の反発がどれだけ強まっているのかが注目される。

【ジャーナリスト/横田一】

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