2024年11月22日( 金 )

【徹底告発/福岡大・朔学長の裏面史(25)】放漫財政篇3:学部部門の黒字を病院部門が吹き飛ばす

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 2019年12月の就任以来、栄えるのは医学部と病院部門だけで十分といわんばかりに、我田引水丸出しの施策に強権をふるってきた朔啓二郎・福岡大学長。今度は唐人町の旧福岡市立こども病院跡地での新病院開院を目論んでいるようだ。目論見通りに落札をはたすとして、これが福岡大の未来にプラスになるのだろうか。そもそも、いまの福岡大にそんな余力はあるのか。【徹底告発/福岡大・朔学長の裏面史】シーズン4となる本連載では、朔学長の舵取りの危うさ・無謀さを、財務状況から明らかにする。

 これについて、しばしば指摘されてきたのが病院部門の赤字体質である。

 福岡大はこれまで4つの病院を運営してきた。本院である福岡大学病院(1973年8月〜、2023年1月現在の病床数915床・診療科数26科)、筑紫病院(1985年6月〜、同310床・17診療科)、博多駅クリニック(2016年4月〜21年3月、外来のみ、閉設時の診療科数16科)、そして西新病院(18年4月〜、23年1月現在の病床数117床・5診療科)の4つである。

 福岡大の収支状況を部門別にみると、これら福岡大学に附属する4病院を合わせた経常収支は、16年度が合計△33億6,300万円、17年度△21億300万円、18年度△27億8,400万円、19年度△36億7,200万円と、たしかに毎年巨額の赤字を垂れ流してきた。これが学部の経常黒字(16年度27億8,000万円、17年度34億7,600万円、18年度18億12万円、19年度32億6,300万円)を吹き飛ばしてしまうために、法人全体で利益が残らずにきたのだ(【表6】)。

【表6】福岡大 部門別経常収支状況(過去6カ年)(単位:百万円)
【表6】
福岡大 部門別経常収支状況(過去6カ年)(単位:百万円)

 朔執行部体制となった20年度から全体の収支は黒字に転じ、経営が改善されたように見える。実際、朔学長は大学役員らを前に、これを自分の功績であるかのごとく高らかに報告したそうだが、とんでもない。19年末の就任直後から始まったコロナ禍で、病院部門に巨額の補助金が注がれたからにすぎない(【表6】「参考」)。

 コロナ関係補助金がなければ、病院部門の20年度の経常収支は△53億5,100万円の大赤字(福岡大学病院△27億7,600万円、筑紫病院△20億7,600万円、西新病院△4億9,900万円)であった。外来患者が戻ってきたコロナ2年目の21年度にしても、△29億4,800万円(福岡大学病院△14億4,300万円、筑紫病院△13億3,800万円、西新病院△1億6,700万円)と、例年並みの赤字額である。自分たちが出す黒字を丸ごと病院部門の穴埋めに使われてきた学部の、とくに文系諸学部の教員たちは、朔執行部が「こども病院跡地」への応募を内輪で進めているとの噂に、このうえまだ新病院を建てるつもりかと憤るが、無理もない。

 じじつ、福岡大はこれまでも病院部門に巨額の設備投資を行ってきた。近年では福岡大学病院新診療棟(10年12月竣工、11年1月開院)と筑紫病院棟(13年1月竣工、同5月開院)を新築。そのために日本私立学校振興・共済事業団(以下、私学事業団)から借りた資金を毎年5億6,800万円ずつ返済してきたほか、1億円以上の利息を払い続けてきた。私学事業団からの借入残高は21年度末の時点でまだ48億5,000万円もある(【表7】および同「参考」)。

 さらに、21年10月からは「福岡大学病院新本館(仮称)」の新築が建設費約235億円で始まっている。このため福岡大は福祉医療機構から15年返済で50億円の借り入れを行い、21年度末の有利子負債は私学事業団借り入れ分と合わせて総額98億5,000万円、負債・純資産合計における比率は3.9%に跳ね上がった。設備費も合わせると、これに係る費用は300億円近くに上るだろうと言われ、同機構からさらに100億円の借り入れを行うのではと話す関係者もいる。

【表7】福岡大 有利子負債およびその返済状況(過去7カ年)(単位:百万円)
【表7】
福岡大 有利子負債およびその返済状況(過去7カ年)
(単位:百万円)

(つづく)

【特別取材班】

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