【徹底告発/福岡大・朔学長の裏面史(26)】放漫財政篇4:人件費削減が叫ばれるなか病院部門だけポスト爆増
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2019年12月の就任以来、栄えるのは医学部と病院部門だけで十分といわんばかりに、我田引水丸出しの施策に強権をふるってきた朔啓二郎・福岡大学長。今度は唐人町の旧福岡市立こども病院跡地での新病院開院を目論んでいるようだ。目論見通りに落札をはたすとして、これが福岡大の未来にプラスになるのだろうか。そもそも、いまの福岡大にそんな余力はあるのか。【徹底告発/福岡大・朔学長の裏面史】シーズン4となる本連載では、朔学長の舵取りの危うさ・無謀さを、財務状況から明らかにする。
病院部門はそうした巨額の設備投資に加え、人員の面でも豊富な資金を注ぎ込まれてきた。
福岡大ではかねてより人件費の高さが問題視されてきた。にもかかわらず、じわじわ上がり続けて2018年には400億円を突破。経常収入に対する比率も、前年度までは全国平均を大きく上回る50%台前半で推移していた(【表8】および同「参考」)。朔学長が就任そうそうこの状況の改善に乗り出し、21年度に事務再編を強行したことは既報の通りである──ただし、医学部以外の学部部門で。
だが、本務教職員数を部門ごとにみると、総数の半分以上を占めてきたのは病院部門である。しかも、過去10年間で学部の教職員数は13人増にとどまる一方、病院部門はなんと454人も増えているではないか(【表9】)。つまり、福岡大は人件費抑制が叫ばれるなか、10年間で498人の人員を増やしてきたが、そのうちのじつに9割超が病院部門なのだ。
病院職員(事務職員、技術職員、看護職員、労務職員)の増加は、患者へ行き届いた医療サービスを提供するため必要だったかもしれないが、病院教員の異様な増え方はいったいどういうわけか。
法人全体の本務教員数は、12年度の1,547人から21年度1,688人へと、過去10年間で141人増加している。これを部門ごとにみると、各学部が教員ポストをできるだけ増やさないようにするかたわら、病院部門は20年度までほぼ毎年コンスタントに10人以上増え続け、12年度の438人から21年度535人へと10年間で97人も増加している(【表10】)。
その内訳をみると、「助教」「助手」の増加ぶり──10年間で合計85人増──には目をみはらされる。とくに「助教」、すなわち、専門分野について研究および学生の教育指導および上司(教授、准教授、講師)の講義を手伝い、大学病院では第一線で診察・治療にも当たるこの常勤教員ポストの増え方は著しく、21年度こそ20人も減らしたが、それまでの9年間で62人も増えていた(【表11】)。
学部を問わず、「助教」にはその大学の出身者が採用されるのが慣習となっている。しかるに、福岡大の病院部門で助教ポストが爆増していったのは朔学長の医学部長時代である。「福岡大医学部は福岡大医学部出身者で盛り立てる」を掲げて支持を集め、権力固めに邁進してきた朔氏のこと。「自分のところの学生の就職先を確保するために、病院でポストをどんどん増やしてきたとすれば、到底納得できるものではありません」と、学部のある教授は憤る。
設備にせよ人員にせよ、大学資金をこれほど投入されても各病院の患者数はコロナ前から減少の一途をたどってきた(【表12】)。我々もこれまで報じてきたように、医学部長時代の朔氏による不当な九大医学部出身者排除も、その一因をなすと指摘する関係者もいる。こんなお粗末な経営で、しかも福岡記念病院や福岡山王病院といった大きな病院とも競合する地区で病院をもう1つ新設しようとは、まったくもって、正気の沙汰と思えない。
たしかに医療収入は増加してきたが、医療経費も10年間で25億8,500万円(18%)増加している(【表13】)。本業である教育研究費が4億4,300万円(4.1%)の増加にとどまることにかんがみるに、病院部門へのさらなる投資となるこの案件が、医学部・病院関係以外が大多数を占めるステークホルダーからの十分な理解を得られるとは到底思えないのだが・・・。
(つづく)
【特別取材班】
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