人生はたまたまの連続 捉え方次第で未来は変えられる(後)
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(学)国際学園
九州医療スポーツ専門学校
理事長 水嶋 章陽 氏北九州市小倉北区に本部を置く(学)国際学園は、柔道整復学科や鍼灸学科、看護学科といった11学科で専門教育を推し進める北九州屈指の医療系専門学校グループ。傘下には九州医療整形外科・内科リハビリテーションクリニックなど9つの法人や組合などが顔を並べる。そして今年は和歌山県有田市に新たな専門学校を開校する。水嶋章陽理事長に話を聞いた。
(聞き手:(株)データ・マックス 執行役員 鹿島 譲二)
宿命・運命・使命 すべてを前向きに
──水嶋理事長は非常に精力的に活動をされています。そのパワーの源は何でしょうか。
水嶋 実のところ、若いころは何の目標も見い出せていませんでした。ぼんやりとですが、自分はサラリーマンには向かず、普通の人と同じ道を歩んでも遅かれ早かれドロップアウトするに違いないだろうと思っていました。当時、寿司店を経営していた父親からは随分期待をかけられていたのですが、随分いい加減な息子だったと思います。しかし、当時ある柔道整復師と出会うことでその道を志すことになります。資格を取れば独立開業もできる。患者さんからは先生と呼ばれる。これは天職だと思いましたね。柔道整復師という仕事について知った時も専門学校に無事に入学できた時も、大事なところで必ず父親の存在がありました。父親とはよくぶつかっていたのですが、自分がいちばん頼りにしていた存在です。
その後無事に開業でき、それなりの生活ができるようになったのですが、今度は父親が大きな苦労をすることになりました。事業に失敗し、6,000万円の借金を背負うことになったのです。さらには大きな病も患い八方塞がりの状況でした。私はもっと稼がないといけないと考え、整体の塾であるナショナル整体学院を開校し生徒を募りました。さらにはメディカルネットサービス(株)を設立(01年)し、整骨院の多店舗展開を始めたのもこの時期です。専門学校や多くの整骨院を手がけることになったのは、すべてはここが始まりです。
実は18年に長年連れ添った妻を病で亡くし、その看病をしている間はしばらく現場から離れていました。そんな生活が終わったとき、息子2人は成人していましたが娘がまだ中学生で、そこからは主夫と仕事の二刀流です。それまで家庭のことはすべて妻任せで、子どもたちは甘やかしているだけという父親でしたが、母親を亡くして心が揺れ動いていた娘との二人暮らしは、私にいろいろな気づきをもたらしてくれました。
人間が成長するために本当に必要なものは何かというと、それは小さな成功体験に違いなく、これこそが成長の糧になると実感しました。それまでの私は、たとえてみるなら釣りの技術を教えることなく釣った魚を与えてしまっていました。本人に何かを学んだという実感がなければ成長はないということを、娘との暮らしを通して学んだのです。
専門学校では挫折する人が多いんですね。国家資格を取得するためには学習して記憶することが欠かせませんが、そこで行き詰まってしまう学生が必ずいます。単純にいえば努力が足らないわけですが、背景には集中力がないということがあります。その対策のためにと、たとえば独自の「百マス計算アプリ」をつくりました。単純な計算に取り組むことで集中力を身につけさせるわけですが、この力を身につければ学習だって苦にならなくなるに違いありません。また、昨年からは教壇にも立ち、学生たちを直接指導していますが、そこで彼らと直接向き合うことを通して、挫折しないための小さな成功体験を一緒になって積み上げていきたいと思っています。
父親や妻、娘、そして多くの人たち──振り返ってみればすべての出会いが私の人生の糧となっています。命には3つの意味があると思っています。たとえば男に生まれるか女に生まれるか、これは自分では選べない「宿命」です。しかし自分が行動し変えることができるのが「運命」です。運命の結果として生まれてくるのが「使命」です。うまくいかないことを他人のせいにしてはいけません。原因は自分にあるのですから、すべてのことを前向きに捉え、歩いていって欲しいと思います。人生はたまたまの連続ですが、自分がそれをどう捉えられるかが未来を左右します。たとえ100歳まで生きたとしても後悔ばかりでは意味がありません。学生たちにはそうした思いを一所懸命に伝えています。
──今もその勢いは変わりませんね。
水嶋 紆余曲折はありましたが、創業期から今に至るまで私の情熱は変わっていません。現在も、学園の勢いはどんどん増しているという印象をもっています。ZERO-100プロジェクトにおいても専門学校のカリキュラムにおいても、新たな挑戦をどんどん実行していく予定であり、これからもっと充実するでしょう。今まで以上に地域と深く関わり、社会全体の発展に寄与していく所存です。
(了)
【文・構成:天野 祐次】
<INFORMATION>
九州医療スポーツ専門学校
理事長:水嶋 章陽
所在地:北九州市小倉北区馬借1-1-2
設 立:2008年4月(国際学園)
URL:https://www.kmsv.jp
<プロフィール>
水嶋 章陽(みずしま・あきひこ)
1961年北九州市生まれ。82年、行岡保健衛生学園卒業(柔道整復師免許取得)、87年、湯川整骨院開業、98年、ナショナル整体医学院開校、2001年、(有)メディカルネットサービス設立、02年、統合整体北九州(協)設立、04年、柔道整復師教員免許取得、06年、メディカル社を株式会社化、08年、(学)国際学園九州医療スポーツ専門学校開校、13年、(公財)日本健康スポーツ連盟副理事長就任、16年、同連盟理事長就任。法人名
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