M&A戦略を推進して事業を拡大 持続可能な社会の実現にも注力(後)
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OCHIホールディングス(株)
代表取締役社長執行役員 越智 通広 氏建材・住宅設備機器の販売や住宅用木材の加工・販売を手がけるOCHIホールディングス(株)。近年は積極的にM&Aを行い、2022年11月現在、全国各地に83拠点を展開している。同社の越智通広社長に今後の展望などを聞いた。
(聞き手:(株)データ・マックス 執行役員 鹿島 譲二)人材定着のための環境を整備
──人材の採用・定着が多くの企業にとって課題となっています。業容を拡大していくなかで貴社はいかに人材を採用・定着させて成長につなげているのでしょうか。
越智 当社にとっても課題といえば課題なのでしょうが、比較的人材が定着しているようには感じます。しかし、それはこれまでのグループ企業が総じて努力して頑張ってきた結果であり、今後も業容を拡大していくためには、これからの取り組みが何よりも重要です。ですので、今までの採用方針に関しましては、グループ採用などを含めて検討していく時期に差しかかっていると考えています。
定着のためには収益力を高めて報酬を上げていかなければなりません。また、社員の働き方にも配慮しなければならないでしょう。たとえば「転勤したくない。福岡でずっと働きたい」といった要望がある人は、そのエリアに根付いた企業に在籍していれば、自ずとそうした要望も通りやすいと思います。我々は、地元に根付いた企業を各地で運営しておりますので、そうした点は、人材定着面で有利なのかもしれません。
──近年は報酬の多寡よりもワークライフバランスの充実を求める人が増えてきたように感じます。
越智 たしかに社員の意識がずいぶん変わってきたような印象を受けます。たくさんの人材を採用することも難しい時代になりましたので、採用した人材に定着してもらえるような環境整備を心がけていかなければなりません。
──女性が働きやすいような環境の整備もしているのでしょうか。
越智 女性活躍も課題の1つですが、まだ道半ばといったところでしょうか。当社では現在女性の取締役を2名選任しています。管理職についても女性の比率を高めていかなければならないと感じています。
CLTの普及促進にも注力
──SDGsに積極的に取り組まれていますね。
越智 持続可能な森林経営の推進のために木質資源の活用促進を行ったり、エネルギー自給率の向上、地球温暖化対策のために太陽光発電システムと蓄電池の普及促進を行ったりするなど、種々な取り組みを行っています。
──木質資源の活用促進でいうと、なるべく国産材を使っていこうという流れになっています。
越智 日本の森林資源を守っていくためにも国産材の使用率を上げていかなければなりません。近年、国産材のCLT(Cross Laminated Timber:直交集成板)を活用した建造物が増えてきています。CLTを積極的に利用している企業ともタイアップしてCLTの普及促進にも力を入れていくつもりです。
──ESG活動も展開されています。
越智 ESGのE(Environment:環境)に関しましては、端材・おがくずのリサイクルを行っています。端材は製紙チップ製造工場で回収・加工されて製紙原料として利用されていますし、おがくずは酪農家に提供し、牛舎を清潔に保ち、健康な牛を飼育することに使われています。また、その後の牛のフンが混じったおがくずは、屋外で1年かけて良質なたい肥となり、有機農業に利用されます。ほかにも楽天市場で国産材を用いた人・猫・環境に優しい「木質猫砂ペレット」を販売しており、おかげさまで好評です。
S(Social:社会)では、昨年3月末には(一財)広智奨学会を設立しました。経済的な理由などで学費を払うことが難しい理工系学部の大学生に返還不要の奨学金を寄付しています。ちなみに22年度は19名の学生に1人あたり月額3万円の奨学金を給付しています。また、防災備蓄品をフードバンクなどに寄付しています。G(Governance:ガバナンス)では、全取締役の過半数を独立社外取締役が占めています。また、先ほども少し述べたように女性の取締役を2名選任するなど、多様性にも配慮しています。
非住建分野の充実で、住宅需要減少をカバー
──昨年、新たな中期経営計画を策定されました。
越智 住宅需要は、今後徐々に減少していくものと思われます。中期経営改革では、住宅需要の変化に影響を受けにくい企業体質を確立すべく、建材・加工事業以外の非住建分野の売上費比率を30%以上に高めることを目標に掲げました。具体的にはエンジニア事業分野でのM&Aの推進、脱炭素関連商材の拡販、リフォーム・リノベーション需要の取り込みなどを掲げています。要するに住宅需要に左右されない分野の売上を増やすことで、住宅着工の減少をカバーすることが狙いです。
──外部環境に合わせて迅速な意思決定をするために上場廃止する企業が増えてきているように感じますが、貴社はいかがですか。
越智 当社はM&Aによってグループを拡大している最中です。M&Aを望まれる企業もどちらかというと上場している企業のほうが安心だと思いますので、M&Aを推し進めている限りは上場を維持していくつもりです。上場していると決算を3カ月ごとに発表しますし、外から見てもわかりやすい。その辺りが上場のメリットだと思うのです。
──23年、「ここに力を入れていきたい」というものはありますか。
越智 ROE(自己資本利益率)を高めることや、PBR(株価純資産倍率)が1を上回ることなど、力を入れなければならないことはたくさんあります。
──中期経営計画では27年3月期に売上高目標1,350億円を掲げています。さらにその先の展望などはあるのでしょうか。
越智 収益をもっと高めていかなければなりません。27年3月期以降の具体的な目標についてはこれからですが、収益を高めるためにも売上高をもっとのばさなければならないでしょう。
(了)
【文・構成:新貝 竜也】
<COMPANY INFORMATION>
代 表:越智 通広
所在地:福岡市中央区那の津3-12-20
設 立:2010年10月
資本金:4億円
売上高:(22/3連結)1,118億7,500万円
URL:https://www.ochiholdings.co.jp/
<プロフィール>
越智 通広(おち・みちひろ)
1957年生まれ、福岡市出身。早稲田大学政治経済学部卒業後、79年4月に福岡銀行に入行。87年6月に越智産業(株)に入社し、91年6月に同社代表取締役社長に就任。2010年10月、OCHIホールディングス(株)の設立にともない、代表取締役社長に就任。15年12月に同代表取締役社長執行役員に就任。法人名
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