16年ぶりの市長交代 鳥栖市長に向門慶人氏
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任期満了にともない、19日、鳥栖市長選挙が行われた。即日投開票が行われ、新人で元県議会議員・向門慶人氏が、現職と新人1人を制し初当選をはたした。
16年ぶりの選挙となった鳥栖市長選は、5期目を目指す現職に新人2人が挑む三つ巴の戦いとなった。候補者は、5選を目指した現職の橋本康志氏(67)、新人で幸津町区長・豊増直文氏(64)、新人で元佐賀県議の向門慶人氏(52)のいずれも無所属3人。
投票率は44.44%で、2019年の前回選挙より0.14ポイント低く、過去最低の投票率。当日有権者数は5万8,989人。期日前投票者数は前回選挙より2,111人(30.9%増)多い8,946人だった。
鳥栖市は、佐賀県東部に位置するが、南は久留米市、東は小郡市、北は筑紫野市や那珂川市と接しており、福岡県と交流が深い。市民も佐賀県民というより、むしろ福岡県民としての意識が強いという。市内中央部には、九州自動車道鳥栖ジャンクションがあり、市内の東西南北に高速道路が走っている九州の交通の要衝でもある。交通の利便性から、年々、人口が増えており、今年1月時点で7万4,496人。福岡市へ通勤通学する市民も多い。
鳥栖ジャンクションを起点とした半径10kmエリアでは、21年3月、鳥栖市の日清製粉鳥栖工場跡地に三井不動産(東京都中央区)の九州2カ所目になる「ロジスティクスパーク鳥栖(MFLP鳥栖)」が完成するなど大型物流施設の進出が相次いでいる。
今回の市長選においては、鳥栖駅周辺の開発や市街地の交通渋滞緩和、子育て支援策の充実などが争点となっていた。
「選挙期間中、『鳥栖市を頼む』と多くの市民に言われた。新しい鳥栖、魅力ある鳥栖をつくっていかなければならない」
当選後、このように向門氏は述べ、市民の期待が強いことを強調。同氏は、衆議院議員秘書、鳥栖市議を経て、佐賀県議を4期務めた。今回、自民党の推薦を受けて、「現市政では鳥栖市は変わらない」「チェンジ」を掲げて市政の転換を訴えた。一部の自民系市議は現職の橋本氏を応援したが、向門氏は多選に対する批判票を取り込み、1万2,971票を獲得した。鳥栖市と接する筑紫野市長選でも5期目を目指していた現職が、元県議の新人に敗北したが、長期政権に対する不満が今回の結果にも表れたかたちといえる。
現職は、草の根の市民党を掲げ、後援会や女性会が活発な活動を展開。選挙前の地域集会でも、向門氏よりも多く人が集まっており、今回も現職が乗り切るとの見方もあった。
長年の懸案となっていた鳥栖駅周辺の再開発に進展がみられないことへの批判が地元商工会などにはあり、国や県とのパイプを生かして、市政を刷新することへの期待が、今回の結果につながった。
【近藤 将勝】
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