2024年11月09日( 土 )

葬儀業界における異端力~ブルーオーシャン戦略を考えてみる(1)

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(株)ラック 代表取締役社長 柴山 文夫 氏

ブルーオーシャンとは何か?

(株)ラック 代表取締役社長 柴山 文夫 氏<

(株)ラック 代表取締役社長 柴山 文夫 氏

 冠婚葬祭ビジネス業界は、まさに「椅子取りゲーム社会」に突入していることを、最近、実感しています。「椅子取りゲーム社会」では、マーケットから1人、また1人と、順番に脱落していくのです。これが、最後の1人が勝ち残るまで続いていくのです。私たちのブライダルマーケット、あるいはフューネラルマーケットの「仕事という名の椅子」が、今後、ますます減らされていくのです。このままでは私たちのビジネスは、ますます生きづらくなる一方なのです。

 さて、そこでです。この「椅子取りゲーム社会」で生き残るためには、従来の方法で競争してはいけないことに気付いています。競争とは疲労するものです。また、競争に勝っても、あまり良い結果を生まないものです。だから、新しい価値を生み出して、競争から抜け出さなければならないのです。

 今、P・ドラッカーのことを思い出しました。彼の著書「マネジメント」のなかで、こう述べています。
 「企業の目的は、顧客の創造である。したがって、企業は二つの、そして二つだけの基本的な機能を持つ。それが、マーケティングとイノベーションである。マーケティングとイノベーションだけが成果をもたらす」と。
 この言葉を考えながら、生き残るための方法は2つしかないことを知りました。

 その1つは、競争に勝つことです。とにかく最後まで、競争に勝ち抜くことですね。その「競争に勝つ」という局面において重要なのが、情報を得ること、すなわち「マーケティング」です。だけど、競争に勝った者が生き残ることは、あえて強調する必要のないことです。
 そうすると、もう1つの方法となってきます。重要な企業が生き残るためのその方法は、「競争しないこと」です。競争をせず、新しい分野、新しい領域、新しいフィールドをつくることです。そして、このことを、ドラッカーは「イノベーション」と呼んだのです。

 この「イノベーション」こそ、企業の有名な生き残り策の1つとしての「ブルーオーシャン戦略」のことです。新しい価値を生み出し、競争相手のいないブルーオーシャンをつくる、ということです。「レッドオーシャン」で、血で血を洗う抗争を広げるのではなく、自らが争いのない「ブルーオーシャン」をつくり上げ、そこで製品やサービスを提供していこうということです。

 ここで、もう少しだけ「ブルーオーシャン戦略」のことを考えてみます。
 現在、カナダが世界に誇るパフォーマンス集団に「シルク・ドゥ・ソレイユ」という集団があります。私は、アメリカのラスベガスでシルクの「カー」や「オー」というサーカスを見たことがあります。シルクの公演はすばらしく、世界90都市4,000万人の人々を魅了したと言われています。シルクは、サーカス業界が100年以上をかけて到達した売上高を、わずか20年足らずで達成したと言われています。当時のサーカス業界は、観客の減少に歯止めがかからず、売上と利益も下り坂でした。サーカスに動物を使うことで、動物愛護団体からの反発も強まっていました。
 それで、シルクは、従来のサーカス業界での競争ではなく、競争者のいない新しい市場を創造して、競争を無意味にしたのです。シルクは、大人や法人というまったく新しい顧客層を惹きつけたのです。これらの顧客は、従来のサーカスの何倍にものぼる価格を支払って、かつてない新しい娯楽体験を提供したのです。それらは、サーカスの再発明でした。

 シルク・ドゥ・ソレイユが成功したのは、なぜでしょう。輝かしい未来を手に入れるためには、競争から抜け出さなければならないと悟ったのです。競争他社に打ち勝つただ1つの方法は、相手を負かすという試みをやめたことです。つまり、シルク・ドゥ・ソレイユは「赤い海」である競争社会からの脱却を試みたのです。ブルーオーシャンたる「青い海」は、今はまだ生まれていない市場、未知の市場空間をつくり出すことです。

 私が葬儀業界で、ブルーオーシャン戦略を展開したいと意図しても、残念ながら、ブルーオーシャンについて海図などは存在しないのです。これまでの私や西日本典礼・大分典礼は、レッドオーシャンの世界で絶えず泳ぎ続けることを考え実践してきました。ライバル企業との競り合いに勝ち続けることだけ考えてきました。
 しかし、ここで過当競争のフューネラルマーケットのなかから、血生臭い競争から抜け出すには、どうすればよいのだろうか。ブルーオーシャンを生み出す方法は何か。ブルーオーシャンを切り開いて、好業績を保つためのアプローチはあるのだろうか。

 そこで考えたことが、葬儀マーケットの境界を引き直して競争を迂回し、ブルーオーシャンを創造する、ということです。私は、今年度の方針として、第1の矢「売上の拡大」、第2の矢として「顧客の拡大」を実践しています。そこで、第3の矢として「葬儀式の新たな創造」にテーマを絞ったのです。この面でのブルーオーシャンの展開を考えたのです。

(つづく)

<COMPANY INFORMATION>
(株)ラック
代 表:柴山 文夫
所在地:福岡市博多区東比恵3-14-25
設 立:1967年12月
資本金:6,575万円
TEL:092-473-0101
URL:http://www.j-lac.com/

 

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