佐賀空港、オスプレイ配備に向け最終段階へ
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佐賀市長容認により、地権者との本格交渉へ
陸上自衛隊の輸送機オスプレイを佐賀空港へ配備する計画案について、地元自治体の坂井英隆・佐賀市長は2月27日、「苦渋の思いだが受け入れはやむをえない」として、計画を受け入れることを表明した。坂井市長は同日の午前中、佐賀市役所を訪れていた井野防衛副大臣との会談において、佐賀空港へのオスプレイ配備について協力を求める副大臣に対し計画を容認する考えを伝えていた。
一方、佐賀県はすでに2018年の段階で、現職の山口祥義知事が受け入れ容認を表明している。その際、佐賀県と国は、民間空港としての佐賀空港の使用と発展に影響をおよぼさないことを条件とすることや、国が毎年5億円、20年間で計100億円の着陸料を支払うことなどで合意している。
佐賀市が配備計画の受け入れを表明したことで、県と防衛省は佐賀空港に隣接する33haの地権者に対し、用地買収と補償に向けた交渉を本格的に開始する。地権者の多くが所属する佐賀県有明海漁協は、県ならびに防衛省による長年の説明に対して受け入れ容認姿勢を示しているが、一部には計画に反対する地権者もいる。3月はちょうどノリ漁の終わりに当たるが、今季は雨不足によって河川から流入する栄養分が不足し、歴史的な不作になるとの見方が強い。ノリ漁の不安も背景に、今後の地権者との交渉の行方が注目される。
南西諸島の防衛体制の一環
佐賀空港へ配備予定のオスプレイは17機。長崎県佐世保市にある陸上自衛隊・相浦(あいのうら)駐屯地所属の「水陸機動団」と一体運用される予定で、南西諸島防衛の一端を担う。本来18年に配備する計画であったが、計画の遅れにより、現在は千葉県にある陸上自衛隊の木更津駐屯地に暫定配備されている。暫定配備の期限は25年7月までであり、防衛省は急ぎ用地取得と施設整備の準備を進めるとみられる。
一部には南西諸島の防衛体制強化を急ぎ進めており、その1つである鹿児島県の馬毛島については既報の通りだ(「馬毛島、基地建設ついに着工 防衛拠点と翻弄される地域」)。最新の報道によると、1月12日から始まった同島の自衛隊基地工事によって、対岸の種子島では工事関係者が急増し、住民生活への影響が懸念されているとのことであり、政府がいかに体制強化を急いでいるかがうかがえる。馬毛島基地に常駐する自衛隊員は150~200名程度が見込まれ、駐屯する自衛隊員とその家族が居住するための宿舎も種子島に整備される。
ちなみに、馬毛島はアメリカ軍の訓練にも利用される予定だが、佐賀空港の駐屯地へはアメリカ軍の常駐計画はないことが確認されている。
【寺村朋輝】
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