世界の未来を左右しようと目論む欧米投資ファンドの凄腕
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NetIB-Newsでは、「未来トレンド分析シリーズ」の連載でもお馴染みの国際政治経済学者の浜田和幸氏のメルマガ「浜田和幸の世界最新トレンドとビジネスチャンス」の記事を紹介する。
今回は、3月10日付の記事を紹介する。現在、世界は先の読めない時代に突入しています。ウクライナ戦争1つを取っても、ロシアとアメリカとの代理戦争の様相を呈しており、停戦交渉は一向に進まず、犠牲者の数は増える一方です。
誰もが一刻も早い和平と復興を望んでいるはずですが、戦争の長期化と国際関係の緊張を意図する一部の集団がいることは否定できません。そうした集団は軍産複合体と言われがちですが、実は、それ以上に影響力を行使しているのが「ブラックロック」に代表されるような欧米の金融投資ファンドに他なりません。
日本では関心の外のようですが、彼らはウクライナのゼレンスキー政権にも深く食い込んでいます。戦争の終結が見通せないにもかかわらず、こうしたファンドの経営トップはキーウに相次いで乗り込み、「戦後復興計画」の売り込みに熱心です。ゼレンスキー大統領を巧みに説得し、すでに「1兆ドル規模の再建プラン」を公表しています。
しかも、G7のなかで国家元首がウクライナを訪問していないのは日本だけであることに言及しながら、日本から多額の経済支援を獲得するシナリオを伝授している模様です。岸田首相は5月の広島でのG7サミットを前に、ウクライナ訪問を検討しているとのことですが、いいカモにされるのではないかと気になります。
日本政府はウクライナ向けに8,000億円の経済援助を提供する考えのようですが、欧米の投資ファンドからすれば、「その10倍は負担してもらいたい」ということになるでしょう。
欧米諸国からウクライナに提供されている武器や経済支援は鰻登りです。昨年1月から本年1月までの1年間で約20兆円の軍事・金融・人道支援が提供されました。そうした支援があるからこそ、ウクライナはロシアとの一進一退の戦いを演じることができていることは間違いありません。
しかし、その多くはウクライナの闇市場を経由し、アフリカや中東の紛争地域に横流しされています。アメリカ議会でもそうした「不都合な真実」から目を反らすことが難しくなってきました。内部告発が急増しているからです。
とはいえ、問題視するアメリカが派遣している査察団は実態解明には至っていません。そのため、ウクライナ支援を見直すべきとの声も出ており、アメリカといえども、無尽蔵にウクライナ支援を継続するのは難しくなりつつあります。そのため、手を変え、品を変え、日本からの資金を得ようと目論んでいるに違いありません。
いずれにせよ、「戦争ほど儲かるビジネスはない」ということです。「アメリカ・フロンティ・ファンド」などはアメリカ政府や議会の意思決定にも関与しており、アメリカの国防予算から対外的な財政支援計画を自分たちに有利になるよう差配しています。
こうした欧米の投資ファンドは「ウクライナの次は台湾有事」とのメディア・キャンペーンを展開しており、「終わりのない戦争=大儲けのチャンス」を目指しているわけです。
同様の観点から、そうしたファンドは食糧、エネルギー、感染症、自然災害、資源争奪など、あらゆる危機を演出することで、政府からも企業、個人投資家からも莫大な資金を調達しています。
気候変動問題を取り上げ、石油、ガス、石炭からグリーンなエネルギー源への移行を促す政策にも力を入れており、石油関連会社への投資を控えるように働きかけを強めているわけです。その結果、過去2年間で油田開発や製油所建設分野から1兆ドルもの投資が引き上げられたとのこと。その分を、環境に優しいエネルギー開発に転換しようというわけです。
国連が促進する「アジェンダ2030」の応援団として、地球環境の保全という錦の御旗を掲げながら、新たなエネルギー開発企業への投資を加速させています。彼らの合言葉は「今、投資すれば、数年で倍に増やせます」というもの。
たとえば、米中経済対立が軍事衝突に発展するとの前提で、「中国からのサプライチェーンが寸断されることは確実。アメリカでも物流に支障が生じる。だから、その代替ルートを確保中」との触れ込みで、新たな投資の呼び込みに熱心に取り組んでいます。実は、日本政府や日本企業も、これまでそうした欧米の投資ファンドに巧みに操られてきたと言っても過言ではありません。
次号「第334回」もどうぞお楽しみに!
著者:浜田和幸
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