有田芳生氏の出馬で激戦となった山口4区補選(中)
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(有田)「第2の争点はアベノミクスです。皆さん、振り返ってみてください。2012年12月に第2次安倍政権ができて、そして2013年になってエコノミストが言った『アベノミクス』について新聞各紙が毎日毎日報道した。テレビのワイドショーまで毎日毎日、アベノミクスと言ってきた。アベノミクスが成功すれば、日本の私たちの暮らしは変わっていくのだ。これまでの経済とは違った世界が見えるのだと多くの人たちが思っていた。2013年の安倍さんの発言、安倍元総理は当時、こう言っていました。「今から10年経てば、国民の年間所得は150万円上がりますよ」と何度も毎日毎日語っていたから、テレビのワイドショーもそういう報道をしてきた。
だけれども皆さん、あれから10年経ちましたよ。どうですか。働く人たちの年間所得、150万円上がりましたか。上がるところではありません。G7の統計を見ても、平均賃金は1997年を100として、2020年には93.3ですよ。先進7カ国のなかで日本だけがそういう経済になってきた。全国各地を私が歩いていても、昨日、下関の街を歩いてもシャッター通りが当たり前になってしまった。
非正規労働者が増えた。多くの人たちが苦労している、この日本。安倍さんが思っていた経済を実現して、もう一度、働く人たちが報われる社会をこの山口からつくっていかなければならないと私は考えています。
岸田政権になって『新しい資本主義』という言葉が出ましたから、多くの人たちがまた期待した。だけど岸田政権、岸田さんはそういう言葉さえ、言わなくなってきた。実際に子育て支援とか、いろいろなことを言っている。だけど結果的に予算を見ても何の根拠もない敵基地攻撃能力(保有)の下で防衛予算だけがどんどん増やされようとしている。それでいいのかということも私たちは考えていかなければならない。そういう意味でも、安倍さんがこの日本を良くしたいと思ったアベノミクスをもう一度この土地から振り返って、もう一度、新しい経済政策、新しい日本をつくっていかなければならないというのが、私が訴えたい2点目の争点です。
3番目が安倍晋三元総理もずっと解決したいと思っていた北朝鮮による拉致問題。あるいは、プーチン大統領を長門に呼ばれて解決しようとした領土問題。私にとっては拉致問題の解決を何としても前に進めないといけないと思いましたから、最初に申しましたように予算委員会でも何度も何度も安倍さんに問うてきました。(中略)その3つを争点に選挙戦を戦いたいと考えています」。
さらに個人的なエピソードを有田氏は披露した。県連幹部にも伝えていなかった話を出馬会見で初めて語ったというのだ。
「私の父は1930年生まれ。93歳になりました。今も京都で頑張っています。私の母は1929年生まれ。鳥取の出身です。父は島根の出身でした。1950年、農林省に就職しましたが、朝鮮戦争が始まり、レッドパージで職を追われました。学生時代に父と母は付き合っていました。母はそういう時代の下で山口県下関にきて、下関の保健所で働いていました。父はレッドパージで農林省を追われたために母を追って、この下関にやってまいりました。親切な方がいて大林組の鉄筋運びの仕事をやっていました。その父と母が1950年11月21日、この下関で兄弟を含めて4人で結婚式を挙げました。そして、その父母の下で私は生まれ、今日、こうやって皆さんにお話をしています。おばさんも山口県にいます。そういう土地で闘うこと。個人的には因縁があるなと思っています」。
最後に有田氏は「自民党王国の山口で選挙を戦うことは無謀だ」という声に対して次のように反論をした。ここで「第三次奇兵隊」に通じる思いを語っていたのだ。
「この山口の土地は、明治維新を振り返っても、全国のなかで一番厳しい状況に置かれていたけれども、今でも山口の皆さんが『先生』といえば、吉田松陰さん、吉田松陰先生の影響の下で、高杉晋作さんたちがわずか数十人の人たちで、世の中を変えていかなければならないということで立ち上がった。そういう土地です。司馬遼太郎さんの言葉でいえば、『長州は奇兵隊の国』。初めに行動をし始めたのは、数十人の志のある人たちだったのです。その土地で戦えることを私はとても誇りに思っています。希望をもってあきらめることなく、戦っていきたいと考えています。高杉晋作の時世の句、『面白きなき世を面白く』を皆さんと一緒に心に秘めて、この山口から新しい日本をつくっていきたいと考えています。
この山口では統一教会問題がタブーになっていると聞いています。だけど私はタブーに挑戦をして、黙することなく戦っていくつもりです。この選挙戦のテーマは『黙することなく戦う』。その思いで仲間の皆さんとともに、新しい日本をこの山口からつくっていくことを伝えまして、私の出馬宣言に代えさせていただきます」。
(つづく)
【ジャーナリスト/横田 一】
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