2024年12月26日( 木 )

有田芳生氏の出馬で激戦となった山口4区補選(後)

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 質疑応答で私は次のような質問をした。

 ──相手の予定候補が安倍元総理の意志継承と言っているのに対して有田さんは「安倍政治の検証」と。「安倍回顧録」に書かれていない悪い面、弊害についてもきちんと検証するという立場の違いと理解していいのでしょうか。

有田芳生氏    有田 いま4区から立候補される予定の自民党の候補者の方は安倍政治を継承するという発言、2つのテーマを出されています。1つは憲法の改正を実現したい。もう1つは拉致問題を解決したい。もしお話をする機会があれば、そこはかなり議論ができればなと思っています。安倍路線のままでは拉致問題は解決しません。なぜかということはいくらでもその方にもお伝えしたいと思っています。安倍路線が変わらないから日朝交渉は進まない。日朝交渉が進まないから拉致問題は解決に向かわない。横田滋さんは87歳で3年前の6月5日に亡くなりましたが、今年2月、横田さきえさんは同じ87歳になりました。報道されていませんが、体調に関して大変な問題を抱えていらっしゃいいます。時間がないのです。一刻も早く日朝交渉を前に進めるために、相手候補の方とお話する機会があれば、十分に何が問題かということを伝えたいと考えています。

 ──争点として3つ挙げられたうちの統一教会問題について、これは安倍政治のメデイアの問題も含まれるのでしょうか。有田さんが「教団の捜査が政治の力で止まった」ということをテレビで言ったらテレビ局から呼ばれなくなったとか。今の放送法解釈変更問題で、要は、安倍政権は批判的メデイアを抑え込んで統制すると。実際にメデイアが委縮しているという状況も、この選挙のなかで争点にしたいと考えてもいいのでしょうか。

 有田 2つあります。1つは1995年に地下鉄サリン事件が起きて以降、私は警察省・警視庁の最高幹部と交流する機会がありました。そしてオウム事件が裁判に移行した段階で警察省・警視庁の幹部に呼ばれて全国の公安警察のトップに統一教会問題についてレクチャーをしました。そのときに警察省・警視庁の最高幹部は私にこう言いました。「有田さん、オウム真理教の問題はほぼ決着がついた。次は統一教会なのだ。準備が始まっている」ということを言われました。しかし残念ながら、それから10年、ほとんど何も動きがありませんでした。そして10年経って警視庁の幹部に「何もなかったですね」と聞いたところ、「政治の力」ということを言われました。

 そのことを昨年7月18日、テレビ朝日の「羽鳥(慎一)モーニングショー」で話しました。玉川さんに質問されたから。そうしたらネットの報道によると、「スタジオが凍り付いた」という状況がたしかにあって、それからテレビ朝日には呼ばれなくなったということを含めて、テレビではほかの番組でも「有田さん、政治の力は言わないで」というふうに言われました。それが1つ。

 もう1つは昨年夏以降の統一教会報道に深く関わっていて、テレビにも関係をしてきて、テレビのプロデューサーから「政治の力は言わないでください」と言われた。「自分でそう言っているの?誰が?」と聞くと、「テレビ局の上の方から」と言われました。それだけではない。その局以外にも、統一教会問題である特定の政治家と統一教会の深い関係について報道すると、その政治家が政治部の記者を使って番組に圧力をかけてきた。これは事実なのです。現場はみんな知っていますよ、言わないだけで。こんなことが起きているのですよ、今でも。

 放送法の解釈の問題だけではない。解釈変更を変えさせなければいけない。だけれども解釈の問題だけではなくて、実際に圧力がかかっているのですから。こういうことも機会があれば、語っていきたいなと思っています。「本当に日本を良くしていこう」という保守的な立場の方々も「そういうことではいけないのではないの」という多くのおじいちゃん、おばあちゃんたちも思われると思いますので、具体的にリアルなことを機会があれば、お伝えしていきたいと思っています。

 ──最後に、教団が支援した参議院議員の北村経夫さんがこの前、岸田総理がきたとき、相手(予定)候補の集会にきて挨拶をされていたのですが・・・、それについて一言。

 有田 北村経夫さんは産経新聞の政治部長のときも、国会で当選してからも私はずっと一緒に仕事をしてきて、委員会などでもご一緒しており、拉致問題でもご一緒して普通に会話をしてきたし、今もお会いしたら「やあやあ」という関係ですので、北村さん本人がどうこうというよりも、むしろ政治と統一教会という構造をつくってしまった戦後の日本の自民党政治というところに問題があると思いますので、その構造を明らかにしていこうと思っています。

 僕の知り合いが被害者になって、信者たちが莫大なお金を吸い上げられて、今でも日本の組織から韓国の教団にお金が流されていくということを断ち切らないと、日本の政治、統一教会との関係はなくなりませんので、それは北村さん個人の問題ではまったくなく、そこはシステムがそうなってしまっているので、戦後日本政治の負の側面、あえていえば、“闇”というものを、この選挙を通じて断ち切っていかないといけないと考えています。

(了)

【ジャーナリスト/横田 一】

(中)

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