拝啓、楽天モバイル様~御社の社会的責任を今こそ実現してください
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楽天モバイルの不正請求事件のあおりを受けて、九州の複数の企業が正当な工事代金の支払いを受けられず、実質的損害を被っている問題について、当社は楽天モバイルの見解を聞くべく同社の九州統括責任者宛てに取材申し込みを行った。
読者のなかには、本サイトがこれまで散々掲載してきた楽天の記事を見れば、今さら楽天が取材に応じるはずもなかろうと思われる向きもあるかもしれない。しかし、それはあまりにも身も蓋もない邪推というべきである。
楽天のホームページを見ていただきたい。トップバナーに「サステナビリティ」として、持続可能な未来を実現すべく、積極的に社会的責任をはたす企業になることを高らかに標榜している。もし楽天が、これとはまったく反対に、法律だけを盾にして「我々は孫請け企業の直接の取引相手ではないから一切関わり合いはない」と理解されるような姿勢を自社方針として表明しているなら、当該取材も最初から無駄であると結論付けざるを得なかったろう。
しかし、繰り返すように、この「サステナビリティ」に表明された楽天の姿勢は、社会に対する責任を法的な強制力によってではなく、倫理的な要請に従って積極的に責任をはたす企業となることを目指しており、まさに本件の解決にふさわしい企業であることを事前に自ら表明するものである。ならば、すでに答えが予想された取材であるも同然。かくして私たち報道機関は、楽天がすでに報道機関向けにつくり上げているであろう「サステナビリティ」の方針に則った立派な回答、世の手本となるご返答を得てこれを世に知らしむべく、平伏して取材を申し込んだ次第である。
というわけで、前口上が長くなったが、楽天が世の不信感を払拭することができるよう、筆者は忌憚のない質問文をしたためて楽天の広報担当者へ送信した。その内容を下記に公開する。(【】は本記事のために加筆した見出し。)
取材申し込み文面
はじめまして、私、福岡市の報道機関データ・マックスの記者の**と申します。
御社グループの楽天モバイルが被った不正請求事件にかかわって、御社が業務を委託していたトレイルが九州・沖縄地区にて業務を委託していた複数の工事会社がトレイルからの2022年8月末からの支払いを受けることができず経営的に大きなダメージを受けている旨の報道がなされております。
本件について、一度、御社の取材をさせていただきたく、ご連絡させていただきました。
可能でございましたら、楽天モバイルの九州地区を管轄されております***様の取材をさせていただくことは可能でしょうか?
もし***様の取材が日程的にどうしても難しい場合は、ご責任がある方のお話を伺うことができましたら幸いでございます。
(中略)
質問事項を下記にお知らせさせていただきます。
■質問事項1【一部企業への交渉アプローチについて】
トレイル社から工事代金が未払いとなっている複数の孫請け企業が御社に対して、トレイル社に代わって御社が工事費用を弁済して孫請け企業を救済してほしいとの要望を出していると聞いております。しかし、当社の取材によれば、御社はそれら複数の孫請け企業の救済要望に対して、一部の企業に対してのみ工事代金支払いの可能性を含めた交渉のアプローチを行っていると耳にいたしました。まずそれについて事実でしょうか?
■質問事項2【救済の要望に応える企業と、応えない企業の区別について】
上記1の質問事項が事実である場合、御社が救済の要望に応えて交渉の相手にする孫請け企業と、救済の要望を取り合わず相手にしない孫請け企業とを区別する理由は何でしょうか?
■質問事項3【不正請求事件における楽天モバイル社の責任と、損害企業に対する社会的責任について】
この質問は、孫請け企業に対する全面的な工事代金の弁済へ向けて、御社が前向きに検討されているのでしたら回答不要です。
トレイル社から工事代金の支払いを受けていない孫請け企業は、御社からすると直接の請負契約の相手ではないと思います。よって既報の報道によりますと、御社としてはそれら孫請け企業に対しては何ら対応する立場にないと回答したと報道されております。
たしかに不正請求事件において御社は不正請求を受けた被害者でございますが、不正請求で大きな役割をはたした容疑者は御社の部長級の役職者でした。また、不正請求額が100億円とまでいわれる膨大な額に膨れ上がってしまったのは、御社内のチェック体制に何らかの甘さがあったからではないかとも考えられます。
その100億円という膨大な不正請求額の結果として、トレイル社は口座の凍結等の措置を受け、孫請け企業は工事代金の不払いに直面することになりました。よって孫請け企業と御社とが直接の請負契約の相手ではないとしても、また、御社としてはトレイル社から受けた不正請求の金額に、御社がトレイル社に対して支払うべき工事代金がすでに含まれているとして相殺を主張しトレイル社に対してこれ以上工事代金を支払う意思がないとしてもとしても、不正請求のあおりを受けて正当な工事代金の支払いを受けることができなくなった何ら落ち度がない孫請け企業に対しては、御社は道義的な責任を認めることはございませんでしょうか?
つまり、御社内の管理体制の甘さが、孫請け企業を窮地に立たせた原因の一端をつくったのではないかということです。
御社は社会に対する企業責任として、CSRの活動を立派に打ち出しておられます。大変すばらしいことと存じます。本件において、孫請け企業が陥った窮状に対する御社の責任は、CSRにおいて御社が標ぼうする社会的責任に勝るとも劣らない責任であると思います。よって御社が標ぼうする社会的責任という点からしても、御社は本件に対する積極的な救済に乗り出すべきと考えますが、どのようにお考えでしょうか?
(取材申し込み文面以上)
以上、取材申し込みに対して楽天モバイル社からの返信は次の通りである。
楽天モバイル社の回答
お世話になっております。楽天モバイル広報**でございます。
ご依頼いただいておりましたご取材の件につきまして、社内で確認したところ、
担当者への個別インタビューは辞退させていただき、書面にて回答とさせていただきたいとのことでした。せっかくのご依頼にお応えできず大変申し訳ございませんが、
ご質問いただきました件につきまして、以下メールにて回答致します。
何卒、ご理解、ご容赦のほど宜しくお願い申し上げます。――――――――――
【ご質問への回答】当社は個別の取引先からさらに業務を委託された取引先について、何等かの対応や関与を行う立場にありませんので詳細の回答は控えさせていただきます。
当社および楽天グループでは本不正行為が発生したことを厳粛に受け止め、今後も内部管理体制の一層の強化とその実効性の向上、社内規程の周知を含む従業員へのコンプライアンス教育の徹底に取り組み、グループ全体で再発防止に努めてまいります。
――――――――――どうぞ宜しくお願い致します。
(楽天モバイル社回答文面以上)
まったくもって、大方の予想を裏切る塩対応に遭遇してしまったわけだが、ひょっとすると筆者の読解力が未熟であるがゆえに、文字の運びや行間に込められた楽天モバイルの高邁な精神が読み取れないだけかもしれない。それゆえ、拝受した文面の抜粋を上記の通り公開し、賢明な読者諸氏に判断を委ねたい。
当社としては引き続き、楽天が標榜する社会的責任に賛同する一報道機関としての責務を全うすべく、取材と報道を続ける所存である。
【寺村朋輝】
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