韓国経済ウォッチ~半導体部門の巨額の投資
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日韓ビジネスコンサルタント 劉明鎬(在日経歴20年)
サムスン電子とSKハイニックスは、半導体部門に巨額の投資をして、その資金で国内の生産設備を拡張するという計画を発表した。
サムスン電子は、メモリ市場での首位の座を今後も確実にするため、約15兆6,000億ウォンを新たに投資し、最先端工場をつくる計画である。また、SKハイニックスも今後10年間で総額46兆ウォンを投資し、3つの新半導体工場を建設する予定である。SKハイニックスは2013年から2兆3,800兆ウォンを投資し、利川に最先端の半導体工場であるM14の建設に取り組んでいた。M14工場は15年末に完工予定で、生産能力は300mmウェハーを基準に、月5,000枚規模の量産設備である。
SKハイニックスが今回発表した投資計画の資金は、今度完工予定のM14の拡張と、NAND型フラッシュメモリの生産工場である清州工場の設備を増設するのに使われることになるだろうと専門家は予想した。M14はDRAMを生産する工場で、現在、複層になっているが、中国の追撃をかわすためにも、今DRAMに積極的な投資を断行するとのことだ。すなわち、今後追撃してくる中国企業との差を、もっと広げるための投資である。SKハイニックスのもう1つの投資先は、サムスン電子、日本の東芝などが投資を集中させている3次元NAND型フラッシュメモリの分野である。SKハイニックスは、今年の第3四半期中に2世代NAND型フラッシュメモリ(36段)の製品開発を完了し、3世代NAND型フラッシュメモリも年内に開発を完了する予定であることを明らかにした。
問題は、半導体の景気と中国の追撃である。
半導体は景気に敏感な業種で、証券業界では、今年の下半期から半導体の景気が減速する可能性も十分あると見ている。実際に、全世界の6月のDRAM売上高は37億7,000万ドルで、前月対比11.2%、前年同期対比5.2%減少している。前年対比の比率がマイナスを記録したのは32カ月ぶりである。最近、DRAM市況が悪化し始めたなかで、サムスン電子とSKハイニックスの積極的な投資決定は、果たして今後、どのような結果になるのかに市場の関心が寄せられている。とくにSKハイニックスの場合は、DRAMの約40%を中国市場に販売しているので、中国の景気失速が需要減少につながり、今回の投資で供給過剰による価格下落の懸念も排除できないと専門家は指摘している。
また、もう1つの懸念材料は、中国は景気減速のなかでも半導体分野には積極的な投資と支援を予定していて、韓国の半導体会社にとってはかなりの心理的負担である。中国の現在の半導体の自給率は20%程度で、これを2020年までに自給率を70%に引き上げるという目標を中国政府は掲げている。これは、結果的に中国での需要減少を意味するので、韓国企業にとってはただ事ではない。
中国政府は今後10年間で1兆元を投資し、半導体産業を育成する計画である。中国ディスプレイの最大手であるBOEと中国半導体企業の最大手であるチンファ・ユニグループ(紫光集團)も、メモリ半導体市場に参入することを表明した。チンファ・ユニグループは去る7月に、230億ドルで世界3位のDRAMメーカーである米国のマイクロン社の買収を提案している。
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