消費増税駆け込み反動で減収、増収店は博多阪急のみ!(前)
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アベノミクス効果で息を吹き返した百貨店業界。インバウンド(訪日外国人)消費という追い風も吹いた。ただし、この恩恵に浴したのは東京、大阪の大手百貨店。地方百貨店は、アベノミクスやインバウンドによる底上げは薄かった。2014年4月の消費増税の逆風で売上高は沈んだ。九州の百貨店が軒並み売上を落とすなか、博多阪急のみが増収となった。JR駅のターミナル百貨店が強いことを改めて見せつけた。
岩田屋本店が首位を堅持
『日経MJ』がまとめた「2014年度の百貨店調査(店舗別売上高ランキング)」(8月19日付)によると、14 年度の百貨店の総売上高(調査対象の213店)は6兆3,171億円。2期が比較可能な既存店(同207店)の売上高は13年度比1.4%減となり、3年ぶりに前年度実績を下回った。
14年4月の消費増税前の駆け込み購入後の反動減を受け、増収店は店舗全体の15%の32店にとどまる。減収店は173店で全体の8割を超えた。売上高トップは、三越伊勢丹・伊勢丹新宿本店の2,584億円(前年度比2.6%減)で、09年度以来6年連続の首位。2位は、阪急阪神百貨店・阪急うめだ本店の1,978億円(同2.9%増)。3位は、そごう・西武・西武池袋本店の1,873億円(同1.6%増)。
大きな特徴は、東京や大阪の店でインバウンド(訪日外国人)消費に支えられて増収した店が目立つこと。訪日外国人の定番コースである華の銀座に店舗を構える松屋銀座本店は9.5%増、三越銀座店は7.5%増。両店舗とも3期連続の増収だ。九州の百貨店の売上高は、1位が岩田屋本店の699億円(同1.4%減)、2位が博多大丸の574億円(同2.1%減)、3位が鶴屋百貨店の554億円(同0.2%減)だった。
1m2当たりの売上高は鹿児島の山形屋がトップ
百貨店がどれだけの競争力を持っているのか――。売上高を比較するだけではわからない。小売りの業績の目安となる指標が、1m2あたりの売上高である。日本百貨店協会の資料によると、全国百貨店の1m2あたり売上高は、1991年(暦年)の192万円が最高だった。バブルの余韻にひたっていた時期だ。だが、その後は右肩下がり、13年(暦年)は99万円と半減した。
日経MJの調査には、店舗別の売上高と店舗面積は載っているが、1m2あたり売上高の記載はない。そこで日経MJのデータをもとに、九州地区百貨店の1m2あたり売上高を算出した。その順位をまとめたのが【表1】だ。
1m2あたり売上高が全国一は、伊勢丹新宿本店の367万円である。
九州の百貨店の1m2あたり売上高のトップは、鹿児島の山形屋の151万円。2位は岩田屋本店の141万円、3位が博多大丸の130万円だった。熊本の鶴屋百貨店、大分のトキハ本店は77万円、北九州の井筒屋本店は70万円と苦戦した。(つづく)
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