2024年11月24日( 日 )

アビスパ、雨中の激戦は悔しい敗戦、福岡1-3川崎

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 サッカーJ1リーグアビスパ福岡は4月29日、ホームのベスト電器スタジアムに川崎フロンターレを迎えてJ1リーグ第10節の試合を行った。

 ここまでホームでは無敗、4勝3分け2敗と好調のアビスパに対し、王者・川崎はここまで2勝3分け4敗と波に乗り切れない。三笘薫(ブライトン・英プレミア)、田中碧(デュッセルドルフ・独)、守田英正(スポルティング・ポルトガル)、旗手怜央(セルティック・スコットランド)と中心選手が次々と海外移籍し、なかなか固定した陣容で戦えないのが悩みどころ。アビスパにも勝機は十分あると思われた。

 しかし、この日の試合を支配したのは「雨」だった。試合後の記者会見でアビスパの長谷部茂利監督が語ったように、濡れたピッチでは「止める・蹴る」というサッカーの基礎技術が問われる。そこで上回ったのは、やはり王者だった。

 朝から降り続いていた雨は、試合前のセレモニーで少し勢いを弱める。「試合中は晴れるかな?」という一縷の望みを打ち砕くように、試合開始のホイッスルと同時にたたきつけるような雨粒が選手たちに降りそそいだ。

 2分、アビスパをいきなりアクシデントが襲う。突破を狙った右サイドバックのDF湯澤聖人が、相手選手と交錯。左ひざを抱えてピッチに倒れこみ、後退を余儀なくされた。中盤で攻守の切り替えを担うMF前寛之がアビスパの心臓だとすれば、無尽蔵のスタミナでサイドを走り続ける湯澤はアビスパの鋼鉄の肺だ。その湯澤が前半始まったばかりの段階でピッチを後にする事態は、アビスパにとってあまりに痛い。

ゴール前、突破を狙うMF金森
ゴール前、突破を狙うMF金森

 11分、川崎は最終ラインからボールをつなぎ、FW家長昭博からDF山根視来、さらにMF脇坂泰斗へと流れるようなパスワーク。ドリブルで深く侵入し、アビスパ守備陣の注意を十分に引き付けた脇坂が逆サイドにボールを送ると、走りこんでいたDF登里享平が無人のゴールに先制シュートを流し込んだ。
 その後もゲームは川崎のペースで進んでいく。スピードのあるパスを正確につないでくる川崎に対し、アビスパは身体を投げ出す懸命の守備で対抗。なんとか1失点のまま、前半を終えた。

相手ゴールに迫るFW佐藤だが、相手に阻まれる
相手ゴールに迫るFW佐藤だが、相手に阻まれる

 後半に入っても雨の勢いは弱まらない。47分、川崎は左サイドの突破から逆サイドに大きく展開。ここで待っていたFW家長が丁寧に折り返すと、FW宮代大聖が完璧なタイミングで合わせて2点目をゲット。アビスパは後半開始早々リードを広げられ、2点のビハインドを背負うことになってしまった。

 濡れたピッチではボールはよく滑り、パススピードは乾いた状態よりもかなり速くなる。川崎は自分たちのペースで気持ちよくパスを回し、アビスパの選手たちがその後を追って走る……という展開が続いていく。65分にはFW遠野大弥のクロスをブロックしようとしたアビスパDF奈良竜樹のスライディングがそのままアビスパゴールに入る不運もあり、3-0となって勝負あり。85分には途中出場のFW鶴野怜樹が同じく途中出場のFW佐藤凌我とのコンビで1点を返すが、反撃もここまで。雨中の激戦は、1-3と悔しい敗戦となった。

一矢を報いるゴールを決めたFW鶴野
一矢を報いるゴールを決めたFW鶴野

 アビスパが必死に奪ったボールを、川崎はいとも簡単に回収してゴール前までつないでいく。「雨」という自然現象が浮かび上がらせたボールを扱う技術の差が、そのまま点差につながったゲームとなった。

 ホーム無敗こそ中断したとはいえ、10節を終えて4勝3分け3敗の7位という結果は十分。1つずつ上の順位を目指し、チームとしての成熟をしっかりと積み重ねていきたいところだ。

 次のゲームは、5月3日(水)のホームFC東京戦。博多どんたくを楽しんだら、ぜひベスト電器スタジアムにご来場を!

【深水 央】

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