2024年12月23日( 月 )

中国企業は海外受注分の32%を失った 中国国際貿易促進委員会元副会長が語る(前)

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 北京で4月8日から10日にかけて、中外管理伝媒の主催による「第30回中外管理官産学懇談会」が行われた。このなかで中国国際貿易促進委員会の張偉元副会長が「現在の中国の貿易とグローバルサプライチェーンの情勢や対応」とのテーマで演説をし、「3年前のやり方で海外から受注を得ようとしても結果は自ずと知れる。海外受注の32%を逃しており、この分ははたしてどこに流れたのか」と指摘した。

国際貿易にどのような変化が生じているのか

貿易 イメージ    中国では、貿易会社を中心に各企業が国内外両面で不調にあえいでいる。2022年、中国の貿易総額は貨物・サービスの両方を合わせて42兆元で、このうち貨物貿易は前年比7.7%増であり、ベースが2021年であることを踏まえれば好成績といえる。しかし2022年11月はマイナス8.7%で、ここから減少をたどり、今年の初めに持ち直したものの、3月にまた減速している。

 貿易に今、何か生じているのかが見えてこない。とくに、コロナ禍を過ぎて多くの省や市が受注を取りにヨーロッパに企業団を派遣したが、結果は思わしくなかった。中国が感染対策に追われた3年間、欧米各国は活動を続けてきた。しかるに、3年前のやり方で受注を目指しても結果は自ずと知れるものである。

中国の貿易における6つの変化

(1)貿易の中身の不均衡、国内需要の不振

 まず国内の生産過剰である。上半期は内需が60%、外需が40%であったが、外販が40%もいかずに需要がうまく回らず、重大な問題となっている。

 次に、貿易の中身の問題である。中国は技術面における「急所」問題がいまだに解消されていない。とくに2022年6月のアメリカの「チップ規制条例」により、新エネ車、チップの製造や受託メーカーが影響を受けている。これまでの問題も解決されないなかで35件の技術障壁が加わり、新素材130品目以上が規制対象となる、とのデータもある。

(2)アジア太平洋での競り合いで産業チェーンの構造的問題が突出

 中国は今、産業チェーンのハイレベルな部分で日本や韓国と激しく競争し、また労働集約型の一般品産業でもASEANと激しく競争している。つまり中日韓3カ国における競争は資本集約型、技術集約型の産業で、ASEANとの競争は労働集約型の産業で繰り広げられている。さらに中日韓は、ASEANの一般品市場の奪い合いも演じている。

(3)2番目の貿易相手先であるEUからの前例のない挑戦

 これまで中国のパートナーであったEUのフォン・デア・ライエン委員長は、2021年6月に中国を「体制上のライバル」と称したほか、先ごろの訪中でも、「今、我々はライバルに変わった」と述べている。2022年6月、アメリカが新彊ウイグル産の綿花やその関連品を取引規制の対象とした際、ます最初にそれを実行したのがEUであった。アメリカがEUの貿易をコントロールしているという裏事情があるのだ。

(4)「急所」の問題が依然深刻ななかで技術のデカップリング進む

 アメリカは、中国製チップの輸入が増え続けたことで、半導体の「首根っこ」を突くように「輸出規制条例」を発表した。これでスマート自動車が打撃を受けたほか、人材のデカップリングが進んでいった。

(5)包囲網形成への取り組みが進む

 2022年4月、アメリカのイエレン財務長官と欧州中央銀行のラガルド総裁がそれぞれ別の場で、中国に対し「線引き」をすると述べた上、価値観で「線引き」するが友人の環を結ぶ、との見方を打ち出した。つまり、40年間順調だった貿易が過去のものとなったのである。

 ラガルド氏のコメントはとくに重視しなくてはならない、経済界の専門家で、グローバル貿易についてかねてから見解をもち、この世界で発言権を維持しているからだ。アメリカはつまり、完全にイデオロギーの「線引き」という道に立ってしまったのだ。

(6)ロシアとの貿易関係や政治関係が焦点に

 中国とロシアとの2022年の貿易額は1,900億ドルで、これはかなりの数字である。このうちロシアからの輸入品目は主に石油、天然ガス、石炭で、合計がおよそ1,600億ドルである。一方ロシアヘの輸出額は700億ドル余りにとどまる上、品目は軽工業品と自動車やエコエネルギー関連品となっている。

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 2022年、アメリカやEUがロシアヘの輸出規制を講じた際に、ルノー、ベンツ、日産がロシアから撤退し、その隙を中国勢が捉えた。この年ロシアは、自動車の輸入先のうち最も多かっだのは中国であった。ただしその数はかなり限定されてしまっている。なぜならアメリカが同盟国に対しては輸出を60%、非同盟国に対しては同じく40%に抑えていたからである。中国は2022年、ロシアヘの輸出量が38%であった。ロシアはデジタル製品の45%を中国に依存しているが、今でも制限を受けている。

 このように国内外が複雑かつ混沌とした状況である中国は、突破口を目指して各企業が受注の獲得に勤しみ、輸出の拡大を目指すようになってしまっている。

(つづく)


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