暗号資産の保管などに必要な「ウォレット」とは(後)
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日韓ビジネスコンサルタント
劉 明鎬 氏「ウォレット」とは(つづき)
先ほどウォレットはアドレスとキーで構成されていると言ったが、アドレスとは、もっと厳密にいうなら秘密鍵で生成した公開鍵のことである。それで、ウォレットを説明する際に、しばしば「秘密鍵」「公開鍵」という用語が用いられるのである。
ウォレットのアドレスとは、繰り返すように、一般に公開されるために秘密鍵でつくられた情報である。銀行に喩えていえば、アドレスは口座番号で、キーは暗証番号に相当する。ウォレットをつくる過程を見ると、1)秘密鍵を生成、2)秘密鍵の復元のためのニーモニック(Mnemonic)を生成、3)公開鍵を生成、4)公開鍵をベースにアドレスを生成、となる。
ちなみに、公開鍵で秘密鍵を調べることは不可能である。すなわち、公開鍵は誰でも確認できるコードだが、秘密鍵は公開されない仕様になっているのである。安全に暗号資産を保管するためには、この秘密鍵の管理が重要になる。ニーモニックとは、キーの復元のために必要な12個の単語のこと。これを盗まれると自分で復元ができなくなるだけでなく、自分の暗号資産を盗まれる可能性が出てくる。
ウォレットのプログラムはブロックチェーンによって異なる。加えて、ビットコインを保管するウォレットとイーサリアムを保管するそれとが別々にあるような場合もある。1つのウォレットで複数のブロックチェーンのウォレットをサポートする場合もあるが、そのようなウォレットは「マルチチェーンウォレット」と呼ばれる。
ホットウォレットとコールドウォレット
このように、ウォレットにはカギが入っていることがお分かりいただけたことだろう。ところが、ウォレットがインターネットに接続されていて初めて、カギを使って暗号資産を利用することができる。常時インターネットに接続されていて、いつでも簡単に使うことができるウォレットを「ホットウォレット」という。パソコンやスマホなどにインストールされたソフトウェアに、カギが保存されているのだ。
本人認証などをする場合もあるが、常時接続というのは、利便性は上がる反面、セキュリティ面ではやや心配な面もある。一方で、「コールドウォレット」というものがある。これはハードウェアを活用したウォレットで、カギをインターネット接続と切り離してUSBメモリ・カードなどに保管する方法である。面倒ではあるが、安全度が高い保管方法と言われている。
それでは、実際ウォレットはどのように活用されているだろうか。まずは暗号資産の保管に、次にP2P(Peer-to-Peer)暗号資産の取引に、さらに、分散型アプリケーション(Dapp, Decentralized Application)の利用に使われる。現在、ウォレットのなかではメタマスクが断トツの優位を占めているが、イーサリアムしか利用できず、かつ手数料が高いというデメリットがあり、暗号資産の交換所などでは新しいウォレットの開発でビジネスを開拓しようとする動きも出ている。
(了)
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