2024年12月21日( 土 )

【福岡IR特別連載122】長崎IRの望みが断たれる

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長崎県庁 イメージ    以前から予測し、伝えていたこと、世界的な業界専門誌"Global Gaming Business“誌(6月3日付発刊号)により、‘Nagasaki IR Hopes Fading’(長崎IRの望みが断たれる)との「見出し」で報道がされた。

 主な内容は、現在、岸田政権下の内閣官房にある「特定観光複合施設区域整備推進会議」の委員(今期の候補地承認機関のメンバー)で東洋大学大学院客員教授の美原融氏(72歳)のG2E Asia conference における発言を報道したものだ。同氏は2000年以後、立法政策としての与野党における「カジノ立法法案」を推進しており、超党派議連となる「国際観光推進議員連盟」の実質的アドバイザーを務めているほか、偶然ではあるが福岡市財政局最適事業手法委員会の委員でもある。

 上記の記事によると、Fading (フェードアウト)、dissolution(崩壊、解散)との表現で、長崎県が提出済みのIRの案に関してすべての項目──誰がお金を出し、誰がその債務を負うのかなど──が不明確であると、国際的な公の席においてコキおろしているのである。

 同記事はまた、岸田政権をめぐって、すでに答えがすべて出ているにもかかわらず、県議会および大石知事らにおよぼす政治的影響というリスクを配慮し、また彼らを含め自分たちの責任回避を目的として、長崎県が申請したIRに対する承認の否決を先送りにしていると批判した。

 従って、長崎県行政が自らの責任で、IR計画の速やかな辞退を決断し、政府に上申すべきである。現在、この国のサラリーマン組織などの関係者と責任者のほぼすべてが自身の責任回避に奔走し、逃れようとする姿はなんとも哀れで痛ましい。

 自身は「最大限頑張ったけど、国が承認しないためやむを得ない」というかたちにして最終的に責任を回避したいのである。実にお粗末な考え方で、稚拙極まりない姿勢である。

 長崎県行政と大石知事、また佐世保市行政と宮島大典市長は、これらの記事を参照し、可能な限り速やかに「当事者自ら決断実行する」ことによってこそ、市民、県民、国民からの信頼が得られ、自身の政治生命を強く、長いものとすることもできる。近いうちに岸田政権からIR承認が否決、すなわち「三下り半」が突き付けられれば、正に彼ら自身のさらなる「墓穴」を掘ることとなりかねないだろう。

【青木 義彦】

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