中国IT関連企業で相次ぐ大量リストラ(前)
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OPPO、半導体開発から撤退
最近、中国IT市場では、「撤退」「解散」「リストラ」という情報が流れている。中国携帯電話大手のOPPOは5月12日に、傘下の半導体開発会社 「ZEKU(哲庫)」の月次報告会を開き、このなかでZEKUのCEOの劉君氏が会社の解散を発表した。
世界的な経済ならびにスマートフォン市場の凋落にともない、会社全体の売上が当初の予想を大幅下回るなか、研究開発費が極めて高い半導体開発事業の維持が極めて困難になり、解散を決めたという。
報告会のなかで劉氏は言葉を何度も詰まらせる場面を見せ、従業員に対し 「ZEKUのCEOとして、皆さんが目指していた目標に連れていくことができず、皆さんとこのようなかたちでのお別れとなったのは誠に遺憾である。ただ『申しわけない』というしかない」と、断腸の思いのコメントを述べた。
従業員への補償としてN(月給+ボーナスそのほか本来得るべき報酬÷12)+3カ月分の金額が、5月31日に支払われた。従業員のあらゆるアクセス権限ならびにプロジェクトはすべて停止しており、出社の必要もない。個人の持ち物については、指定された日にオフィスに出向いて引き取ることができるという。
グリー、スマホ開発中核部隊を解散
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中国経済新聞が見る、ソフトバンクのアリババ株売却中国最大のエアコンメーカーGree(グリー、珠海格力電器)がスマートフォン部門を解散する。グリーといえば、打倒Xiaomi(シャオミ)で女社長が雷軍を挑発、スマホに関して「在庫の山を空調施工業者に押し売りしていた」と噂されていたあの中国企業だ。
サウスチャイナ・モーニング・ポストによると、グリーは深センで最盛期には100人を雇用していたスマホ事業の中核部隊を解散したとのこと。あくまでグリーは中国の報道機関に、スマホの研究開発は進行中と述べている。
グリーは2015年にスマホ参入。シャオミを超えると挑戦的な姿勢を取っており、2021年には株主総会で幹部が「iPhoneと同じぐらい優れている」と大言壮語を吐いていた。しかし現実にはOPPO、Vivo、Huaweiなど中国で人気のあるスマートフォンブランドに大きく後れを取っている。
グリーのスマホ製品に関する公式サイトはアクセス不能に。メインサイトには販売中の2モデルのみが掲載。2020年以降、WeChatのスマホ公式アカウントを更新せず、さらに2022年の年次報告書ではスマホ事業に言及すらなかった。
中国市場は2023年第1四半期の中国のスマートフォン売上高は5%減少、2014年以来の最低水準に達した推計、調査会社Greelysによる統計では第1四半期の世界スマホ出荷台数は13%減となっており、厳しい市場環境だ。こうした背景は撤退を決断するのに十分であったかもしれない。
DAMOアカデミー、70%の従業員リストラ?
中国ネット通販最大手アリババ集団は5月15日、同社傘下の技術研究開発機構であるアリババDAMOアカデミー(達摩院)の調整を行い、DAMOアカデミーを同じくアリババ傘下の物流企業「菜鳥ネット」に統合すると発表した。
「菜鳥ネット」は、アリババ集団傘下として2013年に設立され、「中国全土24時間、全世界72時間」の配送を目指した物流ネットワークの構築とサプフイチェーンサービスの提供に注力するインターネットテクノロジー企業だ。
公開情報によると、DAMOアカデミーはアリババ集団の投資による基礎科学研究機構としても知られている。研究所は、杭州市と北京市の中国2カ所以外にも、アメリカのカルフォルニア州サンマテオとワシントン州ベルビュー、ロシアのモスクワ、イスラエルのテルアビブ、シンガポールの世界7カ所にある。
中国最大のクラウド事業を手がけるアリババクラウドは、DAMOカデミーの菜鳥網絡への統合は、事業調整の必要があったためだとしている。また、あるアナリストは、今回の統合は、DAMOアカデミーが行っていた自動運転の研究開発をラボから、実社会でのビジネスヘ移行することを意味しているのではないかと指摘している。
今年3月には、DAMOアカデミーの自動運転開発の責任者を務める陳俊波氏が退職し企業しており、DAMOアカデミーの自動運転事業が菜鳥網絡に統合されたことで、アリババの自動運転が物流において実用化される日が近づいている。今回の統合により、アリババの自動運転開発事業チームで人員削減が行われるのではないかとの憶測が飛び交い、DAMOアカデミーの自動運転事業は菜鳥網絡に統合されず、約70%の従業員がリストラされるとのニュースが流れた。これに対しアリババクラウドは、DAMOアカデミーが統合された後、自動運転事業の一部の従業員は、菜鳥網絡へ移動、その他の従業員はアリババ集団の別の事業部へ移動するとし、約70%にのぼる従業員がリストラされたというニュースは事実ではないとしている。実はアリババのリストラは、DAMOアカデミーだけではない、他の関連会社にも蔓延しているようだ。
(つづく)
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