半導体市場に活気をもたらすAI半導体(前)
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日韓ビジネスコンサルタント
劉 明鎬 氏チャットGPTの登場で再び注目される「AI」
コンピュータ囲碁プログラムの「AlphaGo(アルファ碁)」と韓国のプロ棋士・李セドル九段の囲碁対決でAIの凄さが世間の注目を集めてから早7年。最近の、与えられた入力から新しいデータを生成することのできるAI技術「チャットGPT」の登場は、久しぶりに一般の人々にAIに対する関心を喚起することとなった。今後AIによって、人々の仕事や生活が大きく変わることが期待されている。
家電、インターネット、医療、自律走行車など、AIは私たちが気付かぬうちに、いまや産業と生活に深く浸透している。AI技術がこうしていろいろな分野で活用されるようになったことで、活気を呈している産業といえば、半導体産業である。AIを実現するには、データ処理などに高性能の半導体が必要になるからだ。かくして、半導体企業はもちろん、グローバルビックテックも莫大な投資や買収などを通じ、AIチップの開発競争にしのぎを削っている。
AI半導体の登場背景
AIは大量のデータを学習し、それをベースに推論し、答えを出す。大量のデータを受け入れて処理するためには特別なプロセッサーが必要であるが、そのプロセッサーがAI半導体である。
AI半導体とは、これまで個別に用いられてきた中央処理装置(CPU)、グラフィック処理装置(GPU)、メモリ技術を1つのチップに統合したもの。大量のデータを高速演算処理できるようにしただけでなく、消耗電力もぐっと抑えたのが、このAIチップである。
現在のようなAI半導体が登場する以前、演算処理の頭脳の役割は中央処理装置(CPU)とグラフィック処理装置(GPU)が担っていた。しかし、このCPUやGPUは演算処理はできるが、AIに特化したものではないため、演算以外の用途に使うことができないなど無駄が多く、コストや消耗電力などでも非効率的であった。人間の脳のように瞬時に大量のデータを処理するためには、早いスピードと低消費電力は必須である。このようにしてAIのアルゴリズムに最適化された半導体がどうしても必要になり、その結果、AI半導体が誕生したのだ。
パソコンのデータ処理には今までCPUが使われていたが、CPUはデータを1つずつ順番に処理するので、AIには向いていなかった。そこで、演算の並列処理をするGPUがまずAIに活用され、最初のAI半導体の役割をはたした。しかし、GPUはたしかに並列処理は早いものの所詮はAI専用に開発された半導体ではないため、いよいよAIに最適化された専用チップが求められるようになったというわけである。
AI専用チップは音声認識のような作業をする際に、もっと少ない電力で、もっと速く作業を実行できる。つまり、AIシステムが必要とする大量の数学的計算を処理できるように設計された専用チップを使えば、格段に効率的にニューラルネットワークを動かせるのだ。
(つづく)
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