2024年07月17日( 水 )

政府は1兆ドル米国債売却せよ

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 NetIB-Newsでは、政治経済学者の植草一秀氏のメルマガ記事を抜粋して紹介する。今回は、「日本は世界最悪の実質賃金減少国に転落している」と論じる6月25日付の記事を紹介する。

 2%のインフレが持続的かつ安定的に実現するまで金融緩和を維持する。

 これが日銀の主張。日銀の植田和男総裁は5月9日の衆院財務金融委員会で「持続的・安定的に物価2%が達成されるという見通しに至った場合、現在の長短金利操作をやめ、その後、バランスシートの縮小という作業に取りかかっていきたい」との考えを示した。

 「インフレ率2%が持続的・安定期に達成されるという見通し」が生じれば金融緩和政策を修正するとの意味になる。ここでいうインフレ率とは消費者物価上昇率のこと。物価上昇率には細かくいうと3つある。総合指数、生鮮食品を除く総合、生鮮食品及びエネルギーを除く総合、の3つだ。

 生鮮食品を除く総合を「コア物価指数」、生鮮食品及びエネルギーを除く総合を「コア・コア物価指数」と呼ぶ。生鮮食品とエネルギー価格は金融政策以外の要因で変動することが多く、政策運営としては金融政策からの影響を受ける「コア・コア指数」の変動を重視するということ。

 日本の物価上昇率の現状はどのようなものか。総合指数は本年1月に前年同月比4.3%上昇を記録した。2%インフレ目標をはるかに超えている。2023年5月は前年同月比3.2%上昇。コア指数は本年1月に前年同月比4.2%上昇を記録し、5月は3.2%上昇。もっとも重要な指標といえる「コア・コア指数」は本年1月が前年同月比3.2%上昇、本年4月が4.3%上昇。

 日銀は、「2%インフレが持続的・安定的に達成される見通しが生じていない」として、大規模金融緩和を維持しているが、現在の数値推移はこの判断と異なる。2%を超えるインフレが持続し、これが長期的に持続するリスクが増大している。

 植田総裁は「今後、賃金が物価の上昇に跳ね、さらにまた物価・賃金の上昇につながっていくという循環を、確認できる状況になるのを待ちたい」と述べたが、インフレが進行する際に賃金が上昇して、最重要の指標である「実質賃金」の上昇を見込めるのかどうか。

 この点が最重要。実は、この点に関しては、インフレ誘導が実は正しくないという実証的なデータが存在する。日本の労働者の実質賃金は過去26年間、減少し続けた。日本は世界最悪の実質賃金減少国に転落している。

※続きは6月25日のメルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」「政府は1兆ドル米国債売却せよ」で。


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植草一秀の『知られざる真実』

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