反共と野党共闘は両立しない
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NetIB-Newsでは、政治経済学者の植草一秀氏のメルマガ記事を抜粋して紹介する。今回は、岸田内閣の独断専横を押しとどめるには、共産党を含む野党共闘態勢の構築がただちになされる必要があること、そして、これを阻害している立憲民主党の反共勢力、すなわち連合を、そこから分離させるべきことを論じる7月4日付の記事を紹介する。
岸田首相が解散・総選挙のラストチャンスを棄て去り、内閣消滅に向かって進み始めた。
本年前半に内閣支持率が小幅回復した主因はサミット日本開催。韓国トップとの交流再開も歓迎すべきことだが懸案解決には至っていない。広島サミットは岸田首相が大きな成果を挙げるチャンスだったが岸田首相はチャンスを掴もうとしなかった。
岸田首相は本年3月に福島県相馬市で開かれた「こども政策対話」で中学生から首相を目指した理由を問われ、「総理大臣は日本の社会の中で一番権限の大きい人なので、総理大臣を目指した」と答えた。同時に、「やりたいと思うことを実現する、やめてほしいと思うことをやめてもらうには、やはり力を付けないといけない」とも述べた。
好意的に解釈すれば、単に権限のある地位に就きたいということではなく、やりたいと思うことを実現するために権限の大きなポジションに就きたいと考えたということになる。重要なのは「何をやりたい」と考えるのか。
日本は世界で唯一の原爆被害国。広島は原爆投下の犠牲になった。広島でサミットを開催する意義は「核兵器の廃絶」、「戦争の廃絶」でしかなかった。国連は核兵器禁止条約を制定した。しかし、G7は核兵器禁止条約に背を向けている。広島サミットでG7による核兵器禁止への第一歩を印すべきだった。
広島サミットにウクライナのゼレンスキー大統領を招聘した。ゼレンスキーを呼んで協議すべきことは「停戦への具体的行程」を確定すること。ウクライナ戦争終結に向けての第一歩を印す。広島でサミットを開催する意義が発揮されたはずだ。「やりたいと思うことを実現する最大のチャンス」だった。しかし、岸田首相は何もしなかった。
何もしないどころか、わざわざ「広島ビジョン」を発表し、「核兵器は役に立つ兵器である」ことを宣言した。核独占保有による優位を維持したい戦勝国の命令に岸田首相が服従しただけに終わった。ウクライナ戦争ではウクライナに無制限、無尽蔵の武器支援を継続する方向性を明示した。「戦争終結」でなく「戦争拡大」推進を決定した。
米国は戦争を拡大、長期化させたいと考えている。戦争は米国軍事産業にとっての最大ビジネスチャンス。戦争拡大、戦争長期化は軍事産業の熱望する事態である。岸田首相は米国戦争屋の命令に隷従しただけである。
岸田内閣が発足したのは2021年10月。まもなく2年の月日が流れる。この間、岸田内閣に高く評価できる実績はない。政権発足から9カ月は何もしなかった。「何もし内閣」だった。前任者、前々任者が傲岸不遜な振る舞いを示していたから、普通に対応するだけで好感度は上昇した。しかし、何を要請されても「検討します」としか答えず「検討使」と揶揄された。
突然、独断専横に転じたのが昨年7月。安倍晋三氏銃殺を受けて国葬実施を独断専横で決めた。法的根拠がなく、財政支出根拠もなく、正当な根拠もない国葬の実施を強行した。「何もし内閣」が「とんでも内閣」、「どうしようも内閣」に変じた。年末には、軍事費倍増、原発全面推進、国民負担増大方針を明示。岸田悪政が大暴走を始動した。
サミット開催期待で支持率が小幅回復したがサミットは主権者の期待を完全に裏切った。再び岸田内閣支持率の凋落が始動している。日本の主権者は次にどのような政権を樹立するのかを考えねばならない。
※続きは7月4日のメルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」「反共と野党共闘は両立しない」で。
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