2024年11月22日( 金 )

「もう無関心な若者ではありません」。大学生の渡邉晶さんのスピーチ全文

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 「FYM」が9月13日、福岡市天神で開いた「安保法案いけんくない?!パレードデモ@福岡」で、「安倍さん、ありがとう」とスピーチしたのが、大学生の渡邉晶さん(22)。学校で毎日学んでいる歴史と、外国でのテロや戦争がまったく繋がっていなかったと言い、「私こそが、面倒くさがって、何もかもを人任せにする、無知で無関心な若者だった」と気付いたと話した。
 そんな彼女に、自分の頭で考えることや行動することの大切さを教えたのが安倍首相や与党の政治家たちだった。「たくさんのことを教えてくれた安倍さんに、私はとっても感謝しています。最悪だけど最高!ありがとうございます!!」と訴えた。
 大学生の渡邉晶さんのスピーチ全文を紹介する。


 こんにちは、渡邉晶です。
 集会で、人前に立って、自分の言葉を話すのは初めてで、とっても緊張しています。
 この「Fukuoka Youth Movement」も、立ち上がってから2カ月が経ちました。この2カ月の間、いろんな事を考えて、いろんな経験をして、そして、今まで通りの大学生活を送っていたら、なかなか出会わなかったであろう、いろんな人と出会いました。

 先日、ツイッターで、「今だからこそ、自分の外側に語りかけて」、っていう文章を見て、目が覚めたような思いがしました。私は、自分に知識がない事ばかり気にして、いつの間にか内向きになっていた気がします。
 そこで、今日は、初心に戻って、私がこの安保法案の問題を知って、最初に思ったことと、ちょっと遡って、高校の頃の話をしたいと思います。
 話題の後藤(宏基)くんとかと違って、かっこいい話はできませんが、よかったら聞いてください。

9月13日のデモでコールする渡邉晶さん=福岡市天神<

9月13日のデモでコールする渡邉晶さん=福岡市天神

 私がこの安保法案に反対しないといけない!と思ったのは、「違憲の法案」だと聞いたからでした。
 6月に、伊藤真さん(弁護士)のお話を聞いて、憲法は、私たちが、権力を、政治家を縛るためにあるのに、違憲の法案なんかが通るのはおかしいって思いました。
 なんで今こんなことになっているんだろうと考えた時、そういえば、少し前まで、いろんな政党が自分の党で憲法草案自由に作りまくって話題になってたよね?とか、そのあと自民党は「9条の前に、お試し改憲で96条を改正しよう」とか言ってたよね?とか、そういうことを思い出しました。
 それに気づいて、あれ?そういえば、あの話どこに行ったの?って思いました。

 テレビのニュースくらいしか見ない、普通の大学生としての、素直な疑問でした。知れば知るほど、日本はアメリカの言いなりでした。基地の場所を提供し、莫大なお金を費やしているのに、さらに、日本人は血を流すべきだ!なんて言うような政治家が、うようよ、いました。

 確かに9条だけで平和が守られてきたなんて言いきる自信は、私にはないし、今すぐに全ての武器を捨て丸腰になるべきとも言いません。
 でも、9条によって達成された平和だってあるし、戦争というものに加担する限り、そこに正義はないと思います。
 どの国でどんな生活を送っていようとも、人の命は何よりも大切だからです。

 私は与党の態度を見て、今まで以上に腹が立ちました。やばいって思いました。この安保法案を知った時、今、この時が、平和の最後の砦だと思いました。この砦を守るために、何かしなきゃいけないって思いました。
 そして、今、いてもたってもいられなくて、ここにいます。

 話は変わりますが、みなさん、学生時代の歴史の授業、世界史、日本史の授業を覚えてますか?
 高校時代、大学進学のためのクラスに入った私にとって、日本史は、主に昭和の戦前期まででした。授業で学ぶ歴史は、学校の先生にとっても、そして私にとって大学に入るための道具でしかなくて、それは、教科書の内容を隅から隅まで覚えることだけで評価されました。
 毎日ニュースは見ていました。
 でも、学校で毎日学んでいる歴史と、どこかの国で今起きているテロや戦争は、私の中でまったく繋がっていませんでした。
 私は無知です。イスラム圏とヨーロッパの国々の対立の歴史もろくに学んできませんでした。常識レベルの知識もありません。そして、恥ずかしながら、この歳になるまで、知らないことを忘れていました。

 今回、安保法案の問題に関心を持つようになって、新聞やニュースを見ていて、私は、何も知らない、何もわからないということに、そして、それに気づかずに今まで生きてきたことに、気づいて、愕然としました。
 誰でもない、この私こそが、面倒くさがって、何もかもを人任せにする、無知で無関心な若者だったのです。
 しかし、私は気付きました。これはとても大きなことだと思います。今からでも遅くない。
むしろ、今だからこそ、学ぶべきであると、そう感じています。

 私にとって、どこか遠くの存在であった政治を、大学最後の夏休みを使って、こんなに我がこととして考え、行動を起こすことができたこと。そして同世代の仲間がこんなにたくさんできたこと。権力に任せたままじゃダメだってこととか、自分の頭で考えることの大切さとか、たくさんのことを教えてくれた安倍さんに、私はとっても感謝してます。
 最悪だけど最高!ありがとうございます!!

 私は未だに無知ではありますが、少なくとも、もう無関心な若者ではありません。
 かつての私のような人にとって、今日が、何か考えるきっかけになってくれたら、とてもうれしいです。
 この、自由で民主的なデモが行える幸せを噛み締めながら、今日は一緒に声上げていきましょう、よろしくお願いします!ありがとうございました。


【山本 弘之】

 

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