建物や鉄道に欠かせない継手工事の老舗 「絶対品質」が示す理想の未来像とは
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(株)アクティス
福岡発の継手業者 鉄筋だけでなく軌道でも
マンションなど建物の構造として欠かせない鉄筋。鉄筋を組み合わせて構造体の核をつくるためには、鉄筋同士をつなぎ合わせる必要がある。鉄筋のつなぎ目こそ強度や靱性が求められ、建物全体の強靭性に大きく作用すると言っても過言ではない。そんな「継手」業界で成長を続けているのが、(株)アクティスだ。1971年に三協ガス圧接九州支店として創業した同社は、鉄筋コンクリート造の建物に使用される鉄筋継手工事や鉄道のレール継手工事を手がける。現社長・河村貴夫氏は、2004年に代表取締役に就任。先代から引き継いだ事業の拡大に努めてきた。
「絶対品質を実現できる技術力」を高め、同社が開発に成功した高強度鉄筋専用継手・3CW工法は、機械式継手と溶接継手の利点を生かした日本初の工法として注目され、販路の拡大につながった。
また、21年からは天然ガスを使用する「エコスピード工法」の採用を開始。鉄筋の溶接継手では、一般的にアセチレンガスが使用されるが、アセチレンガスの高騰や環境配慮などの観点から、福岡ではまだ取り扱いが少ない天然ガスの採用に踏み切った。「エコスピード工法は、PSリングを採用することで品質を安定させ施工者の負担を軽減し、生産性を向上してくれます。また、SDGsの観点から見ても、普及を進めるべき工法だと考えています」と河村社長。
同社の強みは、高い技術力だ。日本で一番乗降客が多い東京メトロのレール溶接工事を手がけていることが裏付けている。レールは一度敷設すればそれで終わりではなく、定期的なメンテナンスが必要となる。同社が手がけるのは、日々のレールメンテナンスが基本だが、鉄道延伸などによるレール溶接工事となると大きな仕事になる。今では同社の売上高の半分以上がレール事業によるものだとなった。「まだまだ鉄道延伸の計画はありますし、北海道での事業も始まろうとしていますので、そこに向けて集中していきたいと思います」(河村社長)。
「絶対品質」を成し遂げるには、
「人」の能力を生かしてこそビルやマンションを支える躯体、鉄道を円滑に走らせるレール、いずれも完璧な安全性が求められることから、同社は「絶対品質」を理念に掲げている。絶対品質を文字通り読み取れば、「アクティスでしかなし得ない高い技術を提供すること」なのだが、河村社長に言わせれば、「絶対品質というのは、あくまで結果。大事なのは、絶対品質を提供する人なのです」という。
「レール溶接は多くの人が利用する鉄道の根幹にかかわる事業です。絶対に鉄道を止めるようなことがあってはいけないとして、社員たちもモチベーション高く仕事に臨んでくれています。その反面で、オーバーワークになり、体調を崩してしまうというケースも起こりかねません。そこを改善しないことには、絶対品質はあり得ないと考えています」(河村社長)。
つまり、新人もベテランも関係なく、全社員が自分のもてるスキルを100%現場で発揮できるようにすることこそが絶対品質というわけだ。同社に取材に行くと、清々しい挨拶とともに、社員がイキイキと働いている様子を垣間見ることができる。その理由の1つが情報共有の活発化だ。
セクショナリズムからの脱却
今や「社内コラボ」が共通言語に以前はセクショナリズムが強く、営業所間でコミュニケーションを取る機会も少なかったという。生産性を上げるためには、営業所間の連携が必須と考えた河村社長は、営業所間の動画常時接続やチャットアプリなどでコミュニケーションが活発になる環境を整備した。チャットアプリではメンバー同士の連絡から社員の動きや仕事の予定まで、アプリ1つですべて把握できるようになっているという。それ自体は特筆するほどでもないのだが、社長自ら積極的にコミュニケーションの材料を提供しているところが肝となっている。会社が置かれている状況や社長の方針などといった情報を自らが中心となって共有し、各担当がそれぞれ実務に落としていく、担当ベースで課題が生まれた場合は全営業所一丸となって解決に努力する、こういった正のスパイラルが生まれ始めたという。
たとえば、営業所間での協力体制だ。営業所は、福岡から函館まで全国4拠点。函館は1月から3月の冬季が閑散期となるなど、それぞれで繁忙期が異なるため、忙しくなる時期にはほかの拠点から人員を補充するなどして、生産性を高める方策を互いに進める社内文化、通称「社内コラボ」が生まれた。「今や、『社内コラボ』というワードは、いつどこでもどの社員も使うようになりました。当社にはすばらしい社員がたくさんいますので、交通費をかけてでもほかの営業所と連携することはとても有益なことなのです。自分の営業所だけではなく、会社全体の動きが把握できるようなり、組織として1つ階段を登れたような気がしています」(河村社長)。
動画やチャットツールを使って、
社内コミュニケーションを円滑にDX化を推し進める同社は、新人指導にもデジタルを採用。もちろん先輩社員がしっかりと指導をするのだが、自習用として動画による研修資料も作成した。これにより作業マニュアルの統一が進んだほか、習熟スピードも向上していったという。自信をもつことで、仕事への意識も高まり、離職率の低下にもつながった。同社には、ベトナム人の社員も多い。「もちろん日本人と同条件で採用していますが、非常に真面目な社員が多く、大事な戦力となっています」(河村社長)。このように河村社長は簡単にいうが、外国人採用には大きな責任がともなうのを知っているからだ。
ベトナム人を採用する場合、河村社長は自らベトナムの両親を訪ねて行く。両親には、どんな仕事なのかどうやって日本で生活をするのか、じっくりと話して理解してもらうのだという。「まずは、家族に当社のファンになってもらえるようしっかりコミュニケーションをとっていきます。そうすると、もし本人が気持ち的に落ち込むことがあったとしても、家族の励ましで元気をもらえますからね」(河村社長)。
聞けば、過去に足し算ができない社員(日本人)を採用し、営業所長が3年かけて立派な職人に育て上げたこともあるという。そのエピソードからも「絶対品質」へかける思いの深さを知ることができる。継手をするのもそれを教えるのもすべては人だ。採用も社内コミュニケーションも、同社はそれを理解し重要視しているからこそ、活力ある現体制を築けているのだ。
<COMPANY INFORMATION>
代 表:河村 貴夫
所在地:福岡県大野城市仲畑4-2-38
設 立:1977年2月
資本金:1,000万円
TEL:092-501-5963
URL:https://aqtis.biz<RECRUIT>
募集職種:鉄筋ガス圧接工および・溶接工
応募資格:高卒以上、資格者は優遇、
鉄筋ガス圧接および
半自動溶接の資格者歓迎
問合せ先:092-501-5963
採用担当:河村
<プロフィール>
河村 貴夫(かわむら・たかお)
1961年5月生まれ。福岡大学卒業後、(株)アクティス(当時・(株)九州三協)に入社。2004年、代表取締役に就任。東京メトロGP工事に着工するなど、レール継手事業を躍進させた。趣味は音楽にゴルフ。法人名
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